小説『HUNTER×HUNTERの世界で動物とじゃれあいたいです』
作者:唯野歩風呂()

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 【おい、ひと!】


 世にも恐ろしい教育的指導を体験し、ぐったりと地面に転がっていると、先に復活した子猫がトコトコと私のもとへやってきた。


 「『人』って……種族名じゃなくて名前で呼ぼうよ」


 呆れながら身体を起こすと、子猫が首を傾げた。


 【なまえってなんだ?】


 あぁ、そういえばこの子は生まれたばかり。何も知らないんだった。


 「名前っていうのはね、個々を区別するためにあるんだよ」

 【?それってひつようなのか?】

 「え、必要でしょ」

 【我等に人のような個を区別するモノはない】

 「そうなんですか?」


 母猫は地面の上に寝そべり、顔をこちらに向けて言った。


 【我は母でありその子は我の子。そしてお前は人の子。それ以外何の区別する必要がある?】


 確かに、人間ほど数がいれば区別のために名前など特徴が必要になるが、本能で生きる動物には必要ないだろう。


 「それもそうかぁ」


 まぁ、いいか。

 私たちしかいないわけだし。問題ないだろう。


 【〜〜〜〜っおい!】


 子猫がぴょんぴょん飛び上がり、叫んだ。

 実はさっきから呼んでいたのだが、母猫と話の最中だったし、あえて無視してたのだ。


 「何?」


 子猫は無視されたことに怒ったらしい。

 身体がプルプル震えている。



 か、かわいい〜〜〜〜〜っ。



 思わず飛びつきたくなるのを押さえ、先を促す。


 【おまえ、かあさまとちがうのに、なんでここにいる?】


 どうやら教えられなくても、本能で私がこの場に異質だと感づいたらしい。


 「それは神が…………」


 あ、そうだ!

 神!


 すっかり忘れてたが、母猫は神のこと知ってるんだった。


 「そういえば、何故神のこと知っていたんですか?」


 母猫に訊くと、【それは明日父にあってから話そう】と言われた。


 父。母猫のお父さん。

 どうやらここには羽根つき猫が他にもいるようだ。

 早く会ってみたいなぁ。


 【それより、人の子よ。お主、腹はすいておらんのか?】


 食欲は「ぐ〜〜っ」あるようです。

 頷くと、残された巨大鶏を目の前に置かれた。


 【さぁ、食べるといい】


 い、いや。食べるといいって……こんなに食べられません。


 【あぁ、そういえば人は生で肉は食べないのだったか】


 そう言った母猫は鶏を咥え空中に放り投げた。

 巨大な鶏の姿がどんどん離れていく。

 母猫はのっそりと体を起こすと、口を開け――。


 ゴオオオオオオオオオッ


 炎を吐いた!?


 その炎は天高く伸び、放り投げられた鶏を包み込む。


 炎がやむと、目の前にはこんがりと焼けた鶏が……。


 羽根つき猫は炎を吐ける種族らしいです。

 私の隣では子猫が目を輝かせて母猫を見ていました。


 この可愛い奴め!





 ちなみに、焼き鳥はみんなで分けて食べました。

 中まで火が通っていて、とても美味しかったです。はい。





〜あとがき〜

お待たせして申し訳ありません。
暖房といった高価なものが部屋にないので、風呂上りの体があったかいうちに書いている唯野歩風呂です。

寒さで指が動かずなかなか筆が進みませんでした。
お正月休みでいろいろな人が読んでくださってうれしい反面、筆が遅くて申し訳なく思います。
今年は四月から社会人一年目になるので、ストレスで筆が進むか遅くなるかわかりませんが、
なるべく日を空けずに更新……できたらいいなぁ。

なんにせよ、今年もよろしくお願いいたします!


唯野歩風呂


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