小説『IS 幻想の王』
作者:沙希()

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第9話 動き出す者達『審判者(オ・クリティス)』その?






「心、だと?馬鹿を抜かすな。もしそうだとしたら、今の刹那はこの世に居ない!!仮に出来たとしても、お前自身がタダの理性無き塊となるだけだ!!」




「ところがどっこい。それが今目の前にそれが出来たその本人が要るんだ」




そう言ってゼノは証拠を見せる為に、前に出る
すると体が光に包まれ、光が段々収まると同時にユエルは驚愕した
全身が黒くそして黄色いラインが入った刹那と同じ骸殻能力の鎧を纏う
しかし根本的に違いがあるのは形が少し違う事くらいだ




「馬鹿な・・・それは刹那の骸殻能力・・・・・」




「理解してもらえたかな?私はアイツの分身の様なものであり、アイツの片割れみたいなものだ。私はアイツの憎悪、悲しみ、そして狂気の感情から生まれた究極の生態だ」




「戯言を!!負の塊はそもそも不完全な存在であり、不要な存在だ!!生きてもいない奴が、生態と名乗るな!!」




ユエルは剣を取り出し、ゼノに切りかかる
しかし、ゼノは一歩たりとも動くことなくただ手を翳した
するとそれだけで何らかの障壁が作動し、ユエルの攻撃を受け止める
だが、そんな事をお構いなしに、ユエルは術を作動させた




「『結界破壊』!!」




「・・・・・・・予想通りだ。ふんっ!!」




「なに!?ぐぁっ!!」




障壁を破壊する事予測していたのか、ゼノは破壊されたと同時に翳していた手の反対の腕で拳を固め、ユエルを殴り飛ばす
ユエルは後方に飛んでいき、なんとか体制を立て直し、フラフラになりながらも立ち上がる
そして追撃と言わんばかりにゼノは弾幕を放つ




「星符『星弓ネイティブオリオン』」




空から無数の、いや、無数どころでない、数億の光の矢がユエル目掛けて襲い掛かってくる




「くっ!!この程度の弾幕!!紫や刹那と比べればどうという事はない!!」




「俺はその刹那の半身のような者なんだ。それを忘れるな」




ユエルは矢を叩き落とし、ましては避けるという行為を幾度も続ける
矢は弾く事は出来るが、多すぎて体の至る所に被弾したりする
血反吐を吐きながら、それでも最低限死を回避できるレベルまで矢を叩き落とし、避け続けるのであった
それが数分くらい続き
















「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・はぁはぁはぁ・・・・・」




「お見事だ。まさかネイティブオリオンで生きてる奴が要るとは。他の『審判者』達でも最低限は生き残れないというのに」




「し、『審判者』、だと?」



「そうだ。私を含め、ディーヴァ、フロース、レグルス、モース、そしてユースを含めて私達は『審判者』と名乗っている。完全の存在を求め、数多の世界を滅ぼしてきた者なのだよ」



「完全、だと?負の塊は、そもそも完全という領域に近づく事は出来ない筈だ!!」



「君は・・・・・負の感情を生み出した本人を殺せば、完全になれると知っているかね?」




「なに?」




「負の感情を生み出した一個人を殺せば、その体を乗っ取り、完全体となれるのだよ!!私達はその為に、私達を生み出した本人を殺し、そして完全にならねばならない!!」




「くっ。ならばなぜ、私の目の前に現れた・・・・」




「簡単だ。お前を殺し、蒼月 刹那の行動を早くさせるのだよ。アイツの周りには、私以外にも負の感情から生まれた本体達が集いつつある。そのためにも、私はお前を殺す事に決めたのだ」




「ふっ・・・・私が・・・・そう簡単に易々殺されるとでも?」



「あぁ、できるさ。私は無限世界の蒼月、いや、織斑 一夏を殺してきたんだ。それだけじゃない。太陽神のノエル・ヴァ―ミリオン、大妖怪で妖怪の賢者と言われた八雲 紫、そして時の神である・・・・・・君だ。今の私は全ての技と、全ての戦略や闘い方を完成させている」




「ちっ。『全てを完成させる程度の能力』、か・・・・」




「いや、少し違うな。俺の能力はオリジナルと劣っているから『偽・全てを完成させる程度の能力』と言っても良いだろうね」





なるほど。それなら『藍の魔道書』も不完全、そしてさっきの骸殻能力も同じという訳か
ならばコイツの大抵のスキルは劣化版で、身体能力などは刹那の上という訳か
まったく、無駄にハイスペックな奴だ・・・・・・・・





「さて、そろそろ死んでもらおうか、ユエル。おっと。エターナルソードで次元を切り裂いて逃げるとか考えるなよ?既にディーヴァが結界を開いてるから、次元を切って逃げたとしても辿り着く場所はこの場所だぞ?」





くそ!!これで逃走手段が消えた・・・・
これは、流石にまずいな
ゼノは剣を取り出し、じりじりと私に近づいてくる
くそ・・・・・・これで終わりか・・・・・・





長年過ごしてきた人生が、この場で終わってしまうのだと、私は思った
刹那との暮らしや、幻想郷の奴らとの暮らし
どれも楽しくて、嬉しくて、掛け替えの無いモノだったな・・・・・・




「じゃあね、ユエル。私が世界を造り変える時まで、安らかに」




そう言ってゼノが剣を振りあえげる
私は目を閉じて、そのまま死を待つばかりだった



・・・・



・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




一向に何も感じない
私は不自然だと思い、目を開けると驚く光景を目にした




「おいおいおい。あまりおいたが過ぎるんじゃねぇか、ゼノ?」




「あまりこの世界に害を加えようというなら、私と刹那が容赦しないわよ?」




「私が抜けているのは気のせいですか、紫さん?」




そこには、知っている顔ぶれと知らない人物がいたのだ
ゼノの剣を片手で握っている刹那に、白い傘をさしている紫、そして腰に一本の刀を差し、右目眼帯をした黒髪の女がそこに居るのだった
3人共雰囲気が違うので、別の世界から来たのだと、私は直ぐに確信する
ゼノは3人を見た瞬間、顔色がとても優れなかった



「くっ。まさか無限世界の蒼月 刹那に八雲 紫、そして緋月 美沙耶、いや、篠ノ之 箒が来るとはな・・・・・」




「ゼノ様、ここは私が」



「やめておけ、フロース。いくら神速でも、無限世界の篠ノ之 箒ですらお前に傷一つは付けれないぞ」




「モルスの言う通りだ。この世界の篠ノ之 箒ならまだしも、無限世界の篠ノ之 箒はケタが違いすぎる。私ならまだしも、お前ら5人が束になろうと、勝てないだろう」



「ほう、私はそこまで評価されているとはな・・・・・」



「事実だ。現にその脇に差している『神輝・フトマミノツルギ』の劣化剣でさえも能力はあまり変わらないのだから。」



「ふふふ。それが分かっているなら、その剣を退いたらどうかしら?」



「・・・・・・・・」



紫の言葉にゼノは剣を納め、後ろに後退する
私でも分かるのだ
この三人は、私や刹那、今の紫以上に強いのだと
だから相手はそれに察したのだろう



「だが一つ言える事がある。この世界に同じ人間は存在できない。そしていまいる貴様等はこの世界では物理干渉はあまり出来ないという事を・・・・」



「それはとっくに承知の上だ。刹那やユエルさん、そしてノエル達を死なせない為にも、私はその物理干渉を破ってでも貴様等を倒す」



「ふっ、やってみると良い。それが出来れば・・・・・貴様はこの場で消えるだろうから」



「・・・・・・・ふん。脅しのつもりが、やはりそうはいかんか」



「ふ。お前の事など良く知っているからな。これくらい簡単な事だ」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



篠ノ之 箒という女は剣を納め、悪態をつき、ゼノの言葉に無言で殺気を出す
くっ。なんという濃厚な殺気なんだ!?
今の刹那以上の殺気だった為、私は悔しいがビビってしまった



「さて、お話しは終わった所で、去ってくんねぇか?いくら物理干渉が不可能でも、俺はそれ破る事は簡単なんだぜ?」



「・・・・・・・ふ。その通りだな。ならば、ここは引かせてもらうとしよう。ではな、ユエル。蒼月 刹那には、きっちり伝える事だな」



そう言い残し、アイツ等は消えて行った
私は気が抜けてしまったのか、そのまま力無く倒れてしまう
刹那や紫、そして篠ノ之 箒が何か言っていた様だが、私はそこで意識がブラックアウトしてしまった




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