小説『IS 幻想の王』
作者:沙希()

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閑話 戦闘時での刹那と箒と、乱入者の会話



冬人がセシリアと戦闘中、刹那と箒はベンチに座りモニターを眺めている
冬人が初見でセシリアを圧倒している事に、誰もが驚くであろうが別段驚きもしていな刹那と、まるで見飽きたように試合を見つめる箒がいた




「茶番、だな」




「アイツは計算で全てを解決する様なものだからな。小さい頃アイツが私に剣道で挑んだ時も同じだった。相手のパターンを読んで、そして弱い所を突いてくる」




「悪い戦法じゃない。だが本当の闘いでは計算はあまり役には立たない。戦争ならまだしも、1対1の殺し合いでは計算は意味をなさない」





(まるで、本当に殺しを知ってる言い方・・・・)





箒は心底詰まらなさそうに画面を見つめる刹那を見る
人を殺すという事を知っている物言いが、どうやら反応してしまったらしい
刹那は人を殺すというよりも、負の塊を浄化させてきた




負の塊も人の一部であり生きている
それはもう一人の自分を殺すという事であり、刹那はそれを人殺しの範疇に入れているので、浄化した後は必ず祈りを捧げる
ユエルは否定しているが、刹那の頼みなので偶に祈る事もある





「随分と癖のある闘い方をするのね、彼って」





「本人の為だ、直接ハッキリ言った方が良いぞ、紫。『随分とお粗末な闘い方ですね』って」





「あんな雑な剣技で、よくやっていけますね」




「!!??誰だ!!」





急に声がしたので箒は咄嗟に反応する
刹那は来る事を予想していたかのように振り向き、笑顔で対応する
そう、アリーナのピットに現れたのは幻想郷最強の妖怪、八雲 紫と、幻想郷神の中で2番目に最強と言われた神、ユエルに、幻想郷の西行寺 幽々子を守っている庭師、魂魄 妖夢であった





「よ、ユエルに紫、それに妖夢まで。で、連れて来るって言った奴って妖夢の事だったのか?」





「ええ、そうよ。幽々子には許可は取ってあるし、守り役は妖忌には悪いけど、また本職に戻ってもらう事にしたわ」





「帰った後酒飲みながら愚痴でも聞いてあげないとな」





「せ、刹那。この人達は?」





「ああ、紹介するよ。コイツは八雲 紫。妖怪の賢者だ。そしてそこに居る金髪がユエルで、神だ。で、その隣に居る白髪の子が妖夢。半霊だ」





「・・・・・・・は?」





あまりにも信じられない単語を聞いたので箒は思わず聞き返してしまった
何時の時代に幽霊や神、妖怪が目の前に居て、事実を述べられたら誰だってそうなるだろう
そんな事を予想していたのか、刹那は箒に一つ一つ説明をする
本来なら一般人には話してはいけないのだが、箒は能力持ちなので一応話す事は許されている




「な、なるほど。つまり刹那はその、幻想郷?の王で、その、紫さん「紫で構わないわ。その代わり私も箒って呼ぶから」あ、はい、いや、分かった。で、紫が大妖怪で、ユエルが神、そして妖夢が半霊というわけだな。」





「そういう事です。あの、一つ不躾ですが良いでしょうか、箒さん」





「ああ、別に良いが。それと、私の事は箒で構わない。皆そう言っているし、さん付けなど、私はそこまで偉い人間では無い」





「いえ、これは性分ですので。で、聞きたい事ですが、アナタは剣術をやっていますか?」





「??ああ、やってるが、それがどうした?」





「いえ、特に理由はありません。ただ聞きたかっただけですので」





そう言って妖夢は会話を終わらせる
箒は妖夢の意図が分からず、疑問を抱いたが敢えて追及はしなかった
そして箒は何か思いついた様な顔をして刹那と紫に話しかける




「なぁ、聞いていいか?」





「何かしら?」





「どうして、その神や妖怪であるお前達が態々ここに来たんだ?話からするに、ここは幻想郷と比べて綺麗なわけではないのだろう?なら、どうしてこの世界に来たんだ?」






箒が疑問に思っていた事の一つだ
刹那達の負の闘いの事を話していなかったので、疑問に思ったのだろう
その事を忘れていた紫と刹那はアッとしたような表情をして再度説明する
完璧を言われた紫や刹那でも、少し抜けている所がある
そんな紫と刹那に、箒は緊張の無い笑みを遂浮かべてしまった





「俺達がこの世界に来たのは他でも無く闘いの為だ」





「闘い?・・・・・・まさか、戦争、なのか?(もしそうなら、刹那はこの世界を恨んでいるのだろうか?なら見捨てた私も、この世界と一緒に殺されてしまうのだろうか?)」





「ははは。違うよ。俺達は負の塊って言う奴と闘う為に来たんだ」





箒は不安交じりだったのだが、またも聞き慣れない言葉に反応する





「負の、塊?」





「そうだ。負の塊。人の負の感情から出来上がり、理性無き殺戮を求めるもう一つの心と体。だが今の負の塊は、完全に理性が出来ている奴等が増えている。私と闘った『審判者』という6人は、格が違う」





「初めて聞いたな。ユエル、それは本当か?」





「ああ。私が妖夢を連れてくるために幻想郷に来た時に現れた。そして、負の塊の頭と予想される奴、ゼノは、もう一人の織斑 一夏、いや、刹那と言っていた」





「ま、待ってくれ!さっきから負の塊だの、なんだの、訳が分からない!!」





「・・・・・箒。後で俺の部屋に来てくれ。その時に話す。だから今は黙ってくれ」





「っ・・・・・す、すまない」




さっきまで見せなかった刹那の真剣な顔を見た瞬間に箒はそう言って黙ってしまった
まだ理解していない表情だったが、刹那は気にする事無くユエルの話しを聞く





「ゼノはこう言った。負の塊の原点であるその一個人を殺す事で完全体になれる、と。つまりは理性体になるまではタダの殺戮生物という事になる」





「じゃあつまりは、この学園に向かって行くのは負の塊の原点が何人かいるという訳なのね。はぁ。これだと幻想郷のフルメンバーを連れてこなくちゃいけないわね」





「ですが、ゼノと言う人はなぜ幻想郷に来てまでユエルさんを狙ったのでしょうか?それなら本体である刹那さん狙えばいいのですし、理性があるのなら最悪人質を取ってでもおかしくない筈ですが」




「おそらくだが、多分性格の表れなのだろう。刹那は人質を取る事を一切嫌うからな、それにアイツは刹那のネイティブオリオンを発動させたが、追撃はしてこなかった。甘い所も、似ているのだろうな」





「否定できないわね」




「刹那さん、人ったらしでお人よしで、そして甘いですから」




「ヒデェ物言いだな」




「「「だって事実(だもん/です/だ)」」」





3人の言葉に少ししょげた刹那だった
そんな会話をしていると・・・・・・




『試合終了。勝者織斑 冬人』






終了宣言のアナウンスが聞こえた
どうやら終わった様で刹那はベンチから立ち上がり、ボキボキと関節を鳴らす
隣に居る箒が、まだ浮かない顔をしていたのでワシワシと頭を強引に撫でる




「な、刹那何を!」



「そうしょげるなよ、箒。話しは、この試合の後で話すから、今は応援しててくれよ、な?」ムニムニ




「ひゃめろ!ほほをひっはるな!!」




「はっはっはっは。じゃ、行ってくるよ。紫、ユエル、妖夢も、行ってくる」




「ええ、行ってらっしゃい、刹那」




「20秒で終わらせろ。くだらん闘いに労力を削ぐな」




「刹那さん、応援しています」



4人が刹那を見送り、刹那はピットへと向かって行く
残された箒は立ち上がり、声を上げる




「刹那!!」




「うん?」




「勝ってこい」




「当たり前だろ?例えくだらなくとも、俺は勝つよ」ニコッ





二カッと少年の様な笑みで箒に微笑み去っていく
その瞬間、その場に居た、恋する乙女たちは顔を赤くさせ、その場でへたり込んでしまった




「やっぱり、刹那のあの笑顔は良いわね///////」




「何度も見ても、やはり慣れないな///////」




「はわわわ、あの笑顔は卑怯です///////」




「くっ、何だったのだあの笑顔は!?//////」




残された者は刹那の笑顔に魅了され、鼻血を出す者、その場で思い返している者、あまりにも不意打ちで処理が間に合っていないモノ達であるのだった


なんとも締まらない最後である





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あとがき



えぇ、次は冬人VS刹那です
圧倒的に刹那が勝ちますね、はい(笑)


幻想郷から連れてきたキャラは妖夢にしました
文句は感想にでもどうぞ

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