小説『ハイスクールD×B〜サイヤと悪魔の体現者〜』
作者:生まれ変わった人()

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深夜の廃教会付近

だれも使わなくなった教会の近くでイッセー、木場、小猫が教会の様子を窺っていた。

ただ、イッセーだけが教会に対する悪魔の危機的本能を働かせてるため、冷や汗をかいていた。

恐怖で身震いする体に鞭うってなんとか耐える。

「気配で分かるけど、もう堕天使は結構集まってるね」
「マジかよ……人の出入りもねえと思ってたけどよ……」

だが、今は数にビビってはいられない。

今、この瞬間にもアーシアが苦しんでいると思うと恐怖よりも怒りが湧いてくる。

あのレイナーレとかいう堕天使にも一発拳を叩きこまねえと気が済まねえ!

「これ図面」

木場が教会の見取り図らしきもの広げた。

「お前、こんなもの持ってたのか?」
「ま、相手陣地に攻め込む時のセオリーだからね」
「……ごもっとも」

俺……何も考えずに突撃しようとしてたな……こりゃ反省っと

「宿舎に聖堂……怪しいのは聖堂だね」
「なんで分かるんだ?」
「こういった手のはぐれ悪魔祓いは大抵聖堂に細工を施すものなんだ」
「? なんか聖堂でないと駄目って聞こえるけど?」
「細工の条件云々じゃなくて悪魔祓いの心の問題かな? 今まで敬ってきた聖なる場所、そこで神を否定する行為をすることで自己満足、神への冒涜に酔いしれるのさ。愛してたからこそ、捨てられたからこそ、憎悪の意味を込めてわざと聖堂の地下で邪悪な呪いをするんだ」

大分歪んだ考え方だな……だけど、今の俺ならその気持ち分からないでもない。

アーシアは子供のころに教会に拾われ、育ち、神様を必死に敬ってきた。

自分の神器が発動し、それを教会側は利用した。

アーシアの神器は傷を癒す、まさに天使に相応しい神器だったため教会はアーシアを天使と奉った。

だけど、アーシアは優しかった……優しすぎたんだ……

教会前で負傷していた悪魔をも治療してしまったことから全てが始まった。

今までチヤホヤしてきた神父たちのアーシアの見る目が一気に覚めたらしい。

彼女を……魔女呼ばわりして追い出しやがった……

だからアーシアはこうして堕天使側に身を置いていたと言う訳だ。

裏切られて当然だ、神様を今でも信じてるアーシアを助けてくれなかったんだからな……

俺がそう考えていると、木場が震える俺を制した。

「早まらないで、無闇に突っ込んだら地下への入り口を見つけ、待ち受ける刺客を退けるのは難しくなる……冷静に作戦を練ろう」
「あぁ、分かってるよ」
「それに……カリフくんがここに来るらしいから」
「カリフ? あいつもか?」
「うん、彼の前に行くと死ぬって言ってたからね……心配なんだよ」

木場は木場で俺を心配してくれてるんだよなぁ……性格のいいイケメンってのはなんか気に食わんが、今は感謝しかない。

だけどカリフか……今考えるとよく分かんねえ奴だな……俺たちとは仲間じゃないとか言って助けようともしなかったり、堕天使に相当怒りを燃やしてクソ神父をメッタ討ちにしたり……あいつの行動ベクトルが分からねえ……

「……カリフくんは昔から仁義に厚いですから。今回の件でカリフくんの親を狙った堕天使が憎くて仕方ないんです」
「え? あいつの親が?」

今まで黙っていた小猫ちゃんが開口した。

そういえば小猫ちゃんと朱乃さんとは幼馴染だって言ってたな……だから知ってるのか。

しかもそこに親が絡んでくるとは……なるほどそれなら怒るわけだ。

「それに、カリフくんは一度言ったことは何が何でも実行するはずです……そこに注意しましょう」
「小猫ちゃんが言うならそれもそうなんだろうな」
「だね、それに彼がなにしても不思議じゃないって最近思ってきたよ」

にこやかに怖いこというんじゃねえよ……でも、あいつが一向にくる気配ねえよな……早くしたいんだけどよ……

そう思っていると、突然、小猫ちゃんが上を見上げて呟いた。

「……何か上から来ます」
「!?」
「なに!?」

いつものようにクールに言いながらファイティングポーズをとる小猫ちゃんに吊られて木場も剣を抜き、俺も神器を展開させる。

まさかここで来るなんてよ……いいぜ、返り討ちにしてやる!

内心でそう思っていると、小猫ちゃんがまた続けた。

「……結構大きいです」
「大型の堕天使かな?」
「……すごいスピードで落ちてきます。このままでは地面に落下します」
「奇襲かけようとしてんじゃねーの?」
「……奇襲にしても正直すぎます……文字通り落ちてます」

ここまで来ると、もう小猫ちゃんも素っ頓狂な声を出して驚いている。

そのことに俺も木場も奇妙だとは思った。

そして、小猫ちゃんが目を丸くして呟いた。

「……教会に向かって一直線に向かってます……」
「? あれじゃないかな?」

木場が遥か上空を指す方向へ凝視する。

「あぁ、確かに何か光ってるあれか?」

たしかに何かあるな……音も段々と近づいてきてるし……

「……これはまずそうだね」

突然、木場が冷や汗をかいて呟いた。

なんだ? 目がいいからあれの正体が分かったのか?

「……非常識」
「え? なに? なにが見えるの?」

なんだか二人の反応で心配になってきた俺は注意して上空を見る。

大分、近付いていたから二人にも見えたんだろうな……ようやく俺にも見えたよ











三台の大型車が落ちてくるのを







「……は?」

え? なにこれ? 意味がわからない

なんで上空からトラックが降ってくるの?

「トラックじゃなくてタンクローリーだね……」

勝手に心を読むな! だけど教えてくれてありがとう!!

ていうかなんで上空からタンクローリーが!?

「……まだ他にも降ってきます……全て教会に」
「マジかよ!?」

確かに何か大型車が見えて……ってえええええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!? なんだよその状況!

なんで大型車が遥か夜空から教会にナイトダイビングしてんだよおおぉぉぉぉぉ!!

「驚いてる暇はないよ!! もうすぐ落ちてくる!!」
「……避難」
「あ、ちょっ! 待ってよ二人共ー!」

よほど余裕が無くなったのか二人は急いでその場を離れる。

ですよね! なんかここ危なそうだもんね!

俺も急いでその場を駆けた瞬間だった。






第一陣に落ちてきたタンクローリーが






教会を






圧し潰した。













「どわああぁぁぁぁ!!」
「くっ!」
「……!」

俺と木場と小猫ちゃんは落ちてきたタンクローリーの衝撃に踏ん張る。

辺りの木々がなぎ倒され、教会が瓦礫を飛ばして瓦解していく。

そんな中、他にも二台の大型車がたて続けに落ちてきた。

順にロードローラーとブルドーザーが地面に落ちてきた。

三台それぞれの形がひしゃげ、明らかに交通事故の時とは比べ物にならないほどの惨状を表していた。

そんな時、教会があった場所の地面が三台の重さと落下の時の衝撃に耐えきれず、地盤ごと地下へ落ちていった。

煙を上げて落下していった三台を俺たちはポカーンとした表情で見つめていた。

「……地下への入り口と、刺客についてはクリアだね……はは……なにこれ?」

木場は爽やかな笑顔を保とうとしていたが、既に顔面が変形しておかしな顔になってる!! もうイケメンの面影がねえ!!

最後については俺が聞きて―よ!! なんだよこれ!! これも悪魔の力だってのかよ!?

「祐斗先輩、兵藤先輩……上……」
「「え?」」

小猫ちゃんに言われて上を見上げた瞬間だった。

視線がすれ違うように俺たちのすぐ傍に何かが上空からダイナミックに落ちてきた。

すぐ近くで砂煙が上がり、地面が沈んだことが足から伝わってきた。

俺たちは冷や汗をかきながら上げていた首を目の前に向けると……

「いいねぇ……オレのコントロールテクニックもまだまだ捨てたもんじゃねーな」

悠々と不敵に笑う未来の後輩……カリフがいた。

「……カリフくん……いまさっき車が落ちてきたんだけど……」
「あぁ、廃車が集まってる所からギってきたのをすぐ近くに置いておいた」
「……それがなんで空から落ちてくるの?」
「投げた」

それなんて日本語!? てかこいつ、こんな重い三台の車を投げたってのか!? 悪魔の俺でさえもできねーよそんなこと!!

「てかお前、中にアーシアがいるんだぞ!?」
「問題ない。気が集中してる所を避けて投げたんだ。これからのエクササイズ前に死なれては困る」
「アーシアは殺すなよ!!」

本当に人間かこいつ!? てか、もう人間ってどんな生き物だっけ!? 車投げるっけ!? バケモノを片手で吹っ飛ばしたっけ!? 車ブン投げるっけ!?

「こ、これはまた……」
「……規格外ここに極まれり……」

木場も小猫ちゃんの反応が正しい! 俺も同じこと考えてたから!!

そんな俺たちをカリフは無視して沈んだ地下へと体を向ける。

「それよりも気を引き締めろよ……この中にいるのは紛れもなくオレとお前たちの共通の敵だ……」

……そうだ、カリフのハチャメチャには驚かされたが、これはこれで楽になった。

本当にアーシアが無事かどうかは分からないが、今は助けるしかない!

「三十秒だ……用があるなら三十秒で全て済ませろ」
「それだけあれば充分だ!!」

俺が走ると、木場も小猫ちゃんも一緒になって走りだした。

そして、そのまま地下へと降りると、案の定集まっている神父、部屋の奥にはせき込む黒い翼の女……レイナーレと磔にされているアーシアがいた。

「アーシア!」

俺の声にアーシアは俺を見て嬉しそうに笑ってくれた。

「イッセーさん!」

それと同時に近くにいるレイナーレは俺の姿を見て憤怒の表情を浮かべる。

「この……下級悪魔があぁぁぁぁ!! お前のせいで儀式が止まっちゃったじゃないのおおおぉぉぉぉぉ!!」
「知るか馬鹿野郎!! アーシアを返せえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

着地すると同時にアーシアの元へと駆け寄ろうとするが、その先を神父が塞ぐ。

「邪魔はさせん!」
「悪魔め! 滅してくれる!!」
「どけクソ神父ども!! お前等に構ってるヒマはねえんだよ!」

その時、小猫ちゃんが自分の怪力を活かして神父を殴り飛ばしていた。

「……触れないでください」

続いて木場も剣を構えると、剣が黒くなっていく。

「最初から最大でいかせてもらうよ。僕、神父が嫌いだからさ。こんなにいるなら遠慮なく光を食わせてもらうよ」

あれは……まさか俺と同じ神器か?

気になることはあるが、今はそれどころじゃねえ!

すぐにアーシアの元へと走る。

途中で神父が邪魔してくるが、木場が光の剣を吸い込み、武器を失った神父に小猫ちゃんが殴り飛ばす。

二人の洗練されたコンビネーションに助けられた俺はアーシアの元へと向かう。

そして、すぐにアーシアの元へ辿りつけた。

『Boost!!』

俺の神器から電子音みたいな声が聞こえるが、それを確認する間も無く拘束を半ば無理矢理引きちぎる。

「イッセーさん!」
「アーシア!」

互いの無事を確認するように抱きしめ合って喜びを再確認していると、空気の読めない堕天使が怒りやがった。

「この腐れクソガキがあああぁぁぁぁぁ!! アーシアを返せええぇぇぇぇぇ!」
「誰が!」

レイナーレが光の槍を俺に振るってきた時、また神器からあの声が聞こえた。

『Boost!!』

それと同時に俺はアーシアを抱きかかえてレイナーレの攻撃を跳んで避けた!!

「ちぃ!」

悔しそうに表情を歪めてこっちを睨んでくるレイナーレに俺は内心で良い気味だと思った。

「レイナーレ! 本当はお前をぶん殴ってやりたかったが、また後にしてやるよ!!」
「私の名を気安く呼ぶんじゃないいいいいいぃぃぃぃ!!」

怒りに支配されたレイナーレだが、なんとしてもこの地下から出なければならない! そろそろ三十秒経ったか!?

「兵藤くん!!」
「……兵藤先輩……速く」

黒い翼で飛んでいる小猫ちゃんと木場が俺を待っててくれていた! ちくしょう! 嬉しいじゃないか!!

「木場! 小猫ちゃん! これからは俺をイッセーって呼んでくれー!」

木場の方が手を伸ばしてるから掴んだ。本当は小猫ちゃんの方がよかったのだが、そんなことは言ってられなかった。

「逃がすもんですかああぁぁぁ!!」

さっきの衝撃で階段を崩された神父は地下から出られず、代わりに唯一飛べるレイナーレが向かってきた。

「くそ! しぶてえ!」
「イッセーさん!!」

俺とアーシアを担いでる分、木場も体力を消耗して普段の速さが出せないのか、レイナーレに追いつかれそうになってる。

このままじゃ追いつかれる!

そう思っていた時、木場が突然に小猫ちゃんと別れて左右に逃げた。

「き、木場?」
「やっと……三十秒か」

安堵する木場の言葉に俺の疑問が氷解した……それと同時に月明かりが何かに遮られて暗くなった。

その上を見上げると……

「三十秒だ……ロードローラー!」

片手にロードローラー、もう片手にはブルドーザーを“持って”舞空術で浮かんでいるカリフがいた。

カリフはロードローラーをレイナーレに向けて全力で投げた。

「な、なにぃ!?」

咄嗟に結界を張って直撃は避けたが、その物量差にレイナーレは受けきれずに後ろへ飛ばされていく。

その延長線上にいる神父たちが何やら悲鳴を上げているが、それを無視してカリフが第二陣を投入した。

「ブル・ドーザーーー!」

片手で再びレイナーレに投げつけると、更なる質量差にレイナーレも苦悶の表情を浮かべ、やがては地下室へと強引に戻されてしまう。

「ぐあああぁぁぁぁぁ!!」
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

潰される神父の断末魔が響き渡る。

そこへ、カリフは地上に戻って余っていたタンクローリーを持ち上げて空へ飛ぶ。

そして、レイナーレが未だに生きてることを気で確認すると、今度はタンクローリーを持ったまま突っ込んでいく。

「タンクローリーだぁ!」

再び圧倒的な質量差で圧し潰す。

下からロードローラー、ブルドーザー、タンクローリーとサンドイッチ状態にされた廃車の底ではレイナーレが未だに足掻いていた。

「こ、こんな……こんなことが……」

体力も限界に近付いてきた時、カリフは手を離し、拳を握ってタンクローリーを攻撃した。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄っ……!!」

タンクローリーのタンクが彼の拳によってひしゃげていく。

「URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!! ブッ潰れろぉぉ!!」

そして、彼の拳がタンクを貫き、中に気弾を撃ち込んだ瞬間





光が収束し





辺り一帯が爆発した










「「「……」」」

……今俺たちは目の前で教会が“あった”場所から爆風に包みこまれている。

目の前で燃え盛る巨大な火柱から推測して神父たちは全滅したのだろう。

再び嫌な予感がして離れてみれば、この有様だった……本能ってすげぇ……

「あわわわ……」

アーシアは俺の背中で震えながら涙目になっていた……俺も怖かったよ……

「あらあら、これはなんなのかしら?」

そして、後ろから聞こえた聞き覚えのある声に反応して全員が振り返ると、そこには朱乃さんがいた。

「朱乃さん!!」
「私もいるわよ?」
「部長!!」

まさかの二大お姉さまの登場に俺は体が固まってしまった。

そうだ! 俺は部長たちの言いつけを破って……!!

だが、部長たちは俺のことよりも目の前の惨状について表情をひくつかせていた。

「イッセー……これは?」

部長が俺に聞いてきたのだが……どう説明しろと?

「あ、ありのまま今起こったことを説明します……カリフが教会に向かってタンクローリーやロードローラーやブルドーザーを投げて、俺がアーシアを助けたらタンクローリーを殴って爆破させました……何を言ってるか分からないと思いますが俺自身もよく……」
「いや、それでいいんじゃないかな?」
「……奇妙奇天烈」
「ありがとう……もう充分よ」

三人の答えにリアスは表情を引き攣らせ、朱乃も「あらあら」と言いながらどう返していいのか困惑していた。

まさかこんな大騒動を起こすとは夢にも思っていなかったのだから対処に困る……

呆然とする中、炎の中から人影が勢いよく跳び出してきた。

皆がそこへ注目すると、一人の少年がいつもと変わらない様子で降り立った。

「よ」

そして、カリフは女性を髪の毛ごと引きずっていた。

「止めろ!! 至高なる私の髪をたかが人間如きが! ごはぁ!」

だが、カリフは女性……レイナーレの腹に蹴りを入れて集まっていたリアスたちの前に引き立てた。

「ごほっ! げほっ!」
「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」

悶絶している中、部長が見下ろす。

「……グレモリー一族の娘か……」
「はじめまして、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の時期党首よ。短い間だけどお見知りおきを」

笑顔の部長にレイナーレは睨めつける。

「貴様等がカラワーナ、ドーナシーク、ミッテルトを……!!」

ん? ドーナシークって俺を殺そうとした奴だったっけ?……

「それはあなたの想像にお任せするわ」

面白そうに言う部長を一層睨めつける。

「上にも秘密裏に計画してきたのよ……アーシアの『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』を抜き出してアザゼルさまやシェムハザさまに愛してもらおうと……」
「……言質は取れたわ……これであなたたちの独断行動ということが証明されたわ……」

そう言って部長は黒いオーラを手から出すと、レイナーレが途端に怯え出す。

「い、いや……止め……」
「消し飛びなさい」

そう言って部長が構えた時だった。

「おっと待った」
「「!?」」

突然、部長とレイナーレの間に現れたカリフが仲裁に入るように遮った。

急に現れたことに驚いた二人だが、部長は機嫌を悪くし、声を低くして問う。

「……なんのつもり?」
「なんでもない。ただの興味本位さ」

部長の怒りにも動じることなく不敵に笑って返し、俺に視線を向けて言った。

「イッセー、お前がやれ」
「な!?」

突然のことに俺も、部長も、皆も驚愕していた。

それについて部長が未だに問い続けた。

「……なんのつもりかしら? あの子とこいつの差は違う……下僕を危険に晒すようなことは……」
「それが本心か?」
「……どういう意味?」

疑るように部長が眉を額に寄せると、カリフは一息入れながら言った。

「オレは兵藤一誠の中に眠る真の力がどんなのかを見てみたいだけでね」
「!!」

部長が目を見開き、黒い魔力を治めた。

なんのことだ? 俺の真の力?

「……どうしてそれを?」
「認めたな? 今、お前は認めた……最初は推測だったが、これで分かった。やはりイッセーを生かして正解だったかもしれん」
「……」

二人は一体なんの話をしているんだ? そんなことを思っていると、カリフは俺の方へと視線を向けた。

「お前はどうしたい?」
「え?」
「こいつの目的のために利用されて殺されて……挙句に侮辱されてその女をラチられて……一発殴ってやろうとかそういうのはないのか?」

……カリフの言葉に俺の中の何かがうずいた。

そうだよ……俺はそれも含めてここに来たんだ……アーシアは助けた……ならやることは一つ。

「部長……お願いします! あいつと……レイナーレと戦わせてください!」
「イッセーさん!?」

傍で聞いていたアーシアが悲鳴混じりに心配してくれる。

それを聞いた部長はしばらく考えて……

「……いいわ。あなたの想いに応えてあげる」
「ありがとうございます!!」
「ただし……」
「?」
「絶対に勝つのよ? あなたはグレモリーの眷族だから」
「はい!!」

それが条件なら望む所だ!! 今の俺は怒りでどうかなっちまいそうだからなぁ!!

「カリフ……これが望みかしら?」
「あぁ、あいつを強くして力を無理矢理引き出す……本当ならあのイカレ神父の時に引き出す予定だったけどな……」
「あなたがどこで勘づいたのか聞かせてもらえる?」
「いいだろう。暇つぶしにはなる」

部長とカリフが話しているが、俺のことだろうな……だけど、今、俺はカリフに感謝している……こんな絶好の機会をくれたんだからな!

「立てレイナーレ!! 俺と戦って勝てば見逃してやる!! いいっすね部長!?」
「構わないわ。ま、どうせ見えてる結果ですもの」

俺の提案に部長が了承すると、レイナーレは一筋の光明を見出したかのように、それでいて狂気に染まった笑みを浮かべる。

「いいわ! 乗ってやろうじゃないの!! 今度こそ殺してあげるわ!!」
「逆だバカ!! 一発でいい! ぶん殴ってやる!!」
『Boost!!』

俺の心に呼応するかのように再び神器が啼いた。

覚悟しろレイナーレ!! ぜってーぶん殴ってやる!!

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