小説『ハイスクールD×B〜サイヤと悪魔の体現者〜』
作者:生まれ変わった人()

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駒王学園を模したフィールド

その中でゆっくりと歩む影があった。

「自由……か、リアスも気が利くじゃないか」

カリフはゲーム開始の直後にもう単独行動を取っていた。

意気揚々とフィールド内を歩き回っている。

この行動に関してはリアス承知済みだし、むしろ派手に動いてもらった方が注意の眼を引きつける役として担ってくれるだろうとのことだった。

だが、それではあまりに腑に落ちない。

カリフは色んな意味で他者を驚かせることが大好きなのだから、どう行動するかと迷っていた。

そんな中、体育館の前にまで来ると上空から声が聞こえた。

「あらあら、こんな所にいましたのね」
「……朱乃か。大分恰好が変わったんじゃないのか?」

上空に悪魔の羽を広げた巫女装束の朱乃が魔力のオーラを練っていた。

「うふふ、もうすぐで小猫ちゃんとイッセーくんが出てきますから……その時に」
「おぉ……じゃあちょっと見てこようかね」
「あらあら……」

そう言ってカリフは体育館へと入って行った。

普通に中から騒音が聞こえてきたから覗いてみると、そこには予想を越えた光景が広がっていた。

「だれだ!?……ってカリフか……」
「……なんだこれは?」

流石のカリフも困惑していた。

小猫は相手のチャイナドレスの女性を押さえつけている図からして勝ったということは分かる。

だが、イッセーの傍では真っ裸にされた双子のチェンソーを持った姉妹と小猫みたいに小柄な少女が恥部を隠してうずくまっていた。

それと同様にイッセーは嫌らしい顔しながら高笑いした。

「どうだ! これが俺の魔力の少ない才能を全て費やして編み出した洋服崩壊(ドレス・ブレイク)! しかも神器の力倍増に加えて部長から八つの駒の五つ分の力を解放してもらったんだ! 果てしない時を妄想し続けた俺に剥ぎ取れない服は無い!」

それを聞くや否や女性陣からの非難が凄まじいものだった。

「最低! 女の敵!」
「ケダモノ! 性欲の権化!」
「……見損ないました」

味方の小猫からも非難される一方でカリフは割とマジメに評価した。

「なるほど……相手の装備を全て剥ぎ取って防御力をゼロにする……お前の欲望を純粋な力にして魔力資質の低さをカバーしたいい技だな」
「あ、それはどうも……」

普通に非難されると思って開き直っていたイッセーは賞賛され、普通に返す。

そして小猫もジト目でカリフを睨む。

「カリフくんも裸にするの?」
「戦いの中ではどんなことをされようと文句は言えまい。弱い奴は何をされても文句も言えるはずが無い……こいつ等がこうなっているのはイッセーよりも弱いがためだ」

若干、ドスが利いた声にも怯むことなくカリフは続ける。

「だが、こんなに見事に装飾を剥ぐとはな……効果的ではあるが、なぜそこまで性欲が湧くのか理解に苦しむ」
「おいおい、それはひどすぎるだろ。男は誰でも女体が好きってもんだ」
「状況を考えろ。戦の最中で女の裸見て興奮するほど物好きじゃない。真っ裸なメスなどサルやオラウータンで見飽きた……俺としてはそいつらに早く服を着せてやりたい所だ。時と場所をわきまえろ」

それを聞いた真っ裸の三人は酷く落ちこんだ。

「さ、サル……」
「「オラウータン……」」

まさか、裸にさせられた上に類人猿扱いされて乙女の自信が粉みじんに砕かれたのだから。

その様子に相手の戦車も小猫とイッセーもカリフの冷徹さに身震いしていた時だった。

『イッセー、小猫。聞こえる?』

あらかじめ耳に付けておいた通信機からリアスの声が届いた。

それに対してイッセーも小猫も耳を傾ける。

「はい! 小猫ちゃんと俺も問題ありません! それにカリフも傍にいます!」
『あら、そんなところにいたのね。じゃあ話は早いわ。今すぐに予定通りに行動して』

途中でカリフにも繋いだのかカリフも首を傾げてイッセーと小猫を見ると、二人は頷き返して外へ出る。

外で朱乃の姿を見たカリフも次に何をするのかと予想は容易にできていたため、その場から離れる。

「ここを放棄する気!? 重要拠点なのに!」

ライザー眷族の一人が声を荒げても皆は無視して体育館を出る。

そして、体育館を脱出した瞬間、後方の体育館が爆ぜたのを感じた。

後ろを見ると体育館が見事に吹っ飛ばされていたのが見える。

そして、上空を見ると朱乃が舌舐めずりしながら恍惚の表情で体育館を見つめているのが見えた。

「こ、こえ〜……」
「いい性格してるぜホント……あいつはSなのかMなのかまったく分からん」

イッセーとそんな話をしていると、グレイフィアのアナウンスがフィールドに響き渡った。

『ライザー・フェニックスさまの「兵士」三名、「戦車」一名、戦闘不能!』
「よし、小猫ちゃん」

イッセーはすぐさま気を取り直して小猫の肩をポンと叩こうとする。

だが、ヒラリと避けられてしまう。

「……触れないでください」

目一杯の蔑みを込めた眼差しをイッセーに投げつけたままカリフの背中に隠れる。

「ハハハ。大丈夫だよ。味方には使わないから」
「……それでも最低な技です」

そう言ってイッセーに背中を向けてカリフの裾を握って一緒に歩くと、イッセーも苦笑してしまう。

多分、次は木場と合流する為に運動場へと向かうのだろうな。

そう思って俺は小猫ちゃんから離れたカリフと共に小猫ちゃんの後を追おうとした時だった。

「撃破(テイク)」

その一言と共にカリフの足元が突然に爆破した。

「「!?」」

俺と小猫ちゃんは爆風に体を吹き飛ばされ、すぐに起きる。

そして、すぐに上を見上げるとそこにはフードを被った魔導師の女性……ライザーの『女王』がいた! いきなり最強の下僕登場かよ!

「ふふふ……獲物を狩るときは餌を捕らえた時が一番油断する。こっちは多少の『犠牲(サクリファイス)』にして駒の少ないあなたたちの一人を狩れれば充分……あの子の女性に対する気持ちは気に入っていたのだけれど、あの子はこのゲームにてライザーさまを倒す手段を持っている。こんな早くに撃破できて心底ホっとしているわ」

やっぱり、あの部室でカリフの力を見せつけてしまったのが仇となったか……ライザーは頭打って記憶が消えているだろうけどよ……

そう冷静に思っているが、正直カリフの心配はしていない。

むしろ無駄なことだ……合宿でもこんな場面は幾度もあった。

「お前の弁は理に適っている……タイミングも手加減の無さも別格だ」
「なっ!!」

相手の女王が声の聞こえる上空を見上げると、そこには体を捻って跳躍しているカリフがいた。

俺も小猫ちゃんもカリフが一瞬だけ避けたのを見たのだから。

「それはお前にも言えることだった。相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北している……中々洒落てるとは思うだろ?」
「ぐっ!」

女王が急いで魔法陣を展開させるが、カリフはそれを逃さない。

「オラァ!」

強固な拳を固めて女王に放つが、その直前に女王の体を魔法陣から出た光が包みこみ、その場から消えた。

カリフの拳は空を切り、そのまま地上に落下するも猫のように軽やかに着地した。

「ふん、掠っただけか……まあ、あれくらいの奴が一人くらいいなければつまらんからな。結果オーライってとこか」
「おいおい、それでいいのかよ」

俺は苦笑してカリフに言うと、本人は俺の意に介さずに鼻唄を歌って先へと進む。

その姿に俺たちはカリフがやらかさないかと場違いな心配をしてしまう。

頼むからジっとしててくれ……



そう思っていたのは無理だった。

「あ、そうだ」

突然、カリフが思い出したかのように何か呟き……

「今日の深夜に『カ○ジ』やるんだったな……予定変更」

カリフは小さく「フォーク」と言って地面に自分の手を突き刺し、「ナイフ」と言ってその手の周りの地面をくり抜いた。

すると、あーら不思議、途轍もなく巨大なブロック状に大地が持ちあが……持ち上げたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

決して巨体とは言えない、むしろ小柄なカリフの片腕には三階ビルのように細長いブロックをそのまま上空へと投合!!

「カ、カリフくん……何を……」
「時間短縮だ……雑魚などオレの前に立ちはだかる資格なし。一人一人相手しようと思っていたが、んなすっとろいことやってられるか。今日のアニメは特別なんだぞ」

さっきまでドS全開だった朱乃も声を震わせる。ていうかアニメって完全にお前の趣味だろうが!! 意外な趣味で少し可愛げが出てきたな!

「それに、オレが直々に出向いてやっているんだ……なのにトリ頭は室内でぬくぬくと観戦とはいい御身分だクソッタレ」

もう逆恨み!? いや、相手は大将なんだから安全な場所で待機すんのは当然だろうが!!

「おいカリフ! 止め……!」
「と言う訳だ……死んでも恨むんじゃねえぞ!! オラァ!」

そう言って拳を握った瞬間、その高く投げられたブロックが木端微塵になり、巨大な瓦礫が運動場に降り注ぐ。

「駄目押しだ!」

カリフが片手に特大の気弾を生成して上空へと投げた。

あ、あれ? 何やら本当に嫌な予感が……

ま さ か そ ん な

「おい待て!! あそこにはこれから木場も……」
「止めてカリフくん!」
「このフィールドごと貴様等をゴミにしてやるわぁぁぁぁぁぁ!!」
「お前はどこのラスボスだよぉぉぉぉぉぉぉ!!」

そうしている間に小猫ちゃんと俺の制止も聞かずに、



その特大な気弾を



爆破させた。


まるで花火のように光の粒となって辺りに降り注ぐ光景は幻想的と言える。

ただ、花火と違う所は妙に光の粒が容赦なく落下地点の土を抉り、破壊していく狂暴な物だということ。

それは敵本陣までもアッサリと飲み込み、容赦無く破壊していく。

俺たちは塞がらない口を開けて呆然とその光景を見て数十秒が経った時だった。






『ラ……ライザーさまの『兵士』二名、『騎士』一名、『僧侶』一名……リタイア……です』

グレイフィアさんの何とも言い難い声色のアナウンスで俺たちの頭の中が一気に真っ白となった。

おい……これはやりすぎだ……

『ちょっとイッセー! 小猫! 何があったの!?』
「ぶ、部長……」

我が主の遺憾そうな声に小猫ちゃんと一緒に意識が戻った。

「あの、これはですね……その……」

俺は小猫ちゃんとアイコンタクトを取り合ってどう説明すべきかを思案していた時だった。

『さっきので祐斗が腕をやられて重傷なの!! ライザーもさっき怒り心頭で運動場へと向かったわ!! 至急、祐斗の安全を確保してちょうだい! 私もすぐそこへ行くから!!』

もう、頭が真っ白になった。

なんだか、ある意味では俺たちの計画通りに事は進み、仲間一人やられていない順調そのものだった。

だが、木場までもが負傷した……

「なに状況を悪化させてんだよぉぉぉぉぉぉ!!」
「行くぞ。グズグズするな」
「せめて謝れ!!」

駄目だ、部長……やっぱりこいつだけはどんな運命でも関係無しに進んでいきますよ……

俺たちは部長と木場を救うことだけに専念して全力疾走を始める。

「あーらら、張りきっちゃって」

この状況を作った本人はノンビリと歩いていたから普通に追い越した。

早く! 早くこのゲームを終わらせないとトンでもないことが起こり続けるぞ!!

俺たちは決戦の地、運動場へと走るのだった。

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