小説『ハイスクールD×B〜サイヤと悪魔の体現者〜』
作者:生まれ変わった人()

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駒王学園の旧校舎の一室

そこだけが青春をしているような放課後の部活風景が広がっていると言えば決してそうではない。

俺、兵藤一誠の前の教会関係者の醸し出す敵意と警戒心のせいかな?

うん、すごくいづれえ……

「先日、カトリック教会本部及び、プロテスタント側、正教会側に管理、保管されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」

そんな重い空気の中で紫藤イリナ、俺の幼馴染が口を開いた。

カトリック、プロテスタント、正教会のエクスカリバーって……聖剣って一つだけじゃないのか?

そんな中、部長が俺の心を読んだかのように答えてくれた。

「聖剣エクスカリバーは現存してないのよ」

その言葉を聞くとカリフがあからさまに反応した。

「そう言えば聞いたことあったっけな……先の大戦で大破、その破片がいくつかの剣として生まれ変わったのが今の聖剣……だとか」
「そう。そしてこれがその聖剣だよ」

ゼノヴィアがテーブルの上に巻いていた布を取って見せてきた。

「!!」

見ただけで分かった。

畏怖、恐怖などが俺の中を駆け巡った。

ヤバイ……これはヤバ過ぎる。

悪魔歴の少ない俺でさえも目の前の剣の恐怖くらいは分かる。

「ほう、中々の業物だ。これが元の一本に戻った剣も見たかったのだが、これはこれで……」

俺の恐怖もお構いなしにカリフは目の前の聖剣を手にとってマジマジと見つめる。

それに対してゼノヴィアは軽く注意する。

「気を付けてくれ。その破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)は破壊力もダントツだから素手でなんて……」
「知ってるよ」

尚もお構いなしにカリフは色々と弄んで観察した後、テーブルに戻す。

「通りでこの威圧があまり感じられないと思ったら……その布の効果のようだな。それらしい呪印もあるし」
「話が速くて助かるよ。この際だから単刀直入に言うよ。私たちの注文は二つ、今回の件に関わらないこと……そして……」

ゼノヴィアたちはカリフを見つめた。

「そちらの人間の身柄を私たち教会側に預けてもらいたい」
「「「「「「!?」」」」」」

その要求は部長を含めた全員を驚愕させるのに充分だった。

部長は比較的に静かに返していた。

「……前者の要求は私たち悪魔と黒への接触に対する牽制なのは分かるわ……だけど後者はどういうつもりかしら?」

部長は静かだが、すっげえ怒ってるのが分かるぜ!

そりゃあ今じゃあカリフも俺たちの中ではいなくちゃならないような存在にもなってるもんな。そんな奴を急に教会側にやるなんて俺だって納得できねえよ!

俺だって心中は穏やかじゃねえ。

「前者はその認識でいいとして、後者の方だが……正直、カリフは君たち悪魔のような欲望の権化の中に置いておくのは信徒として見捨て難い」
「どういうことだよ」

強めに返したのだが、イリナが淡々と答える。

「その子は今の教会に必要な素直で正直な心の持ち主なの。だけどその子の純粋さが悪魔側に流されたらそれこそ後戻りはできないの」
「それに、昨日一目見てまさかとは思ったが、『魔女』アーシア・アルジェントまでいるようだね」

ゼノヴィアの一言にアーシアは体を震わせた。

魔女、それはアーシアにとって辛い思い出しかない言葉だ。

「あなたが一時期噂になっていた『魔女』になった元『聖女』さん? 悪魔や堕天使をも癒す能力を持っていると……追放され、どこかに流れたと聞いていたけど、悪魔になっていたなんて思わなかったわ」
「……」

アーシアは複雑そうな表情を浮かべる。

「そんな『魔女』と一緒にいるなんて悪影響を加速させるようなものだ。その子は未だに神を信じている様子だしね」
「悪魔になった彼女が主を信仰なんてしてるわけないでしょ」

呆れるイリナだが、ゼノヴィアは当然のように言う。

「いや、この子からは微かに信仰の匂いがする。こういうのには敏感でね、背徳心や罪の意識が感じられる」
「アーシアさん、貴女は悪魔になった今でも主を信じているの?」
「……捨てきれないだけです。今まで信じてきたのですから」
「そうか……なら」

ゼノヴィアは聖剣の切っ先をアーシアに向けた。

「今すぐ斬られるといい。我等が神ならたとえ罪深くとも深き懐に迎え入れてくれるはずだ」

―――っ!

その瞬間、俺の中でゼノヴィアに対する激しい怒りが湧いたのを感じた。

そして、アーシアの前に立って思いのままに言った。

「触るな」

ただそれだけ言ってゼノヴィアと対峙する。

向けられた聖剣からの威圧は消えないが、俺の中の怒りが逃げることを拒んでいる。

俺たちは睨み合いながらしばらく対峙していると、あちらが聖剣を下ろした。

「心配せずとも私たちは問題を起こしに来たわけではない。ましてや魔王の妹の眷族を滅して戦争になるなんて望んではいないよ」
「じゃあなんでアーシアのことを引き合いにだしたんだよ!」

もしこれで何の理由も無くアーシアの辛い過去を引きずり出して悲しませ、怖い思いをさせたのに理由も無かったら間違いなく俺はブチ切れただろう。

ゼノヴィアは聖剣をしまいながら言う。

「かつては神に忠誠を誓った少女のなれの果て……そんなのは正直、カリフの悪影響になると思ってね。もちろん、そこは本人の意志を尊重するよ」

その言葉に俺を含めた全員の視線はソファーで寝転がっているカリフに向けられ、それに気付いたカリフは寝転がりながら言った。

「そうだな……貴様等の勧誘云々はどうでもいいが、聖剣のことについてはある条件をクリアしたら話しに乗ってやる」
「カリフ!? あなた……!」

部長は思わず疑問のあまり叫ぶが、人差し指を立てて有無なく黙らされた。

「条件は一つ! そこの『騎士』である祐斗と『兵士』のイッセーに二人が勝てば乗ってやろう」
「はぁ!?」

突然の人任せに俺はおろか部長たちも含めて驚いた。

いや、だってこいつが自分のことを人任せにするなんて……

「じゃ、今すぐ準備するぞ」
「ちょっ! 待てよ! なんで自分でやらねえんだよ!」
「たまには流されるままってのも楽でいい。俺個人としては今はどう転んでも変わらん」

カリフは勢い良く上半身だけの力でソファーから跳び上がって着地する。

「この件、よく見極めてから判断したい」
「だ、だからと言って……」

自分たちの行動がもしかしたらカリフの今後に影響するかもしれない。

そう思うとなんだかプレッシャーのかかることだが、この中で一人だけ反応は違っていた。

「いいんじゃないかな? それで」

突然、いつものような笑みでありながらも冷たい威圧を発する木場が立ち上がった。

そんな木場にゼノヴィアが反応した。

「誰だ君は?」
「君の先輩……とでも言えばいいかな? 失敗作らしいけどね」

その瞬間、木場は部室に無数の魔剣を咲かせたのだった。





しばらく後に俺と木場はこの前の野球の練習した広場に着いた。

何故か俺と木場はゼノヴィアとイリナと相対している。

さっき、木場の一触即発ムードに俺たちがなんとか対処しようとしていた時だった。

ゼノヴィアが俺たちの力を試したい、などと言ったためこうなった。

二人は白いローブを脱いだ。

特にゼノヴィアの方のボンテージ姿には少しそそられる物があるな……うん。

「イッセー、殺し合いではないとはいえ聖剣には充分に気を付けなさい」
「は、はい!」

そうなんだよなぁ……さっきビデオで聖剣に斬られた悪魔の末路を見せられたばっかりだった……

だけど、あれよりも濃い恐怖を後輩から浴びせられているのか、いつも通りの調子で戦えそうだ。

これってどうよ? 言いかえれば毎日後輩から命狙われてんだぜ?

「イッセーくん」

少し自分に不安を覚えていると、そこへイリナが声をかけてきた。

……なんだか悲哀の眼差しで見ているのだが……

「イリナ……でいいかな? やっぱ戦わなきゃだめかな?」

正直、昔のこともあるし、可愛くなったイリナとは戦いたくないんだけどなぁ……

だが、そんな心情もお構いなしに急に涙を一筋流し始めた。

「可哀そうなイッセーくん。なんて運命のイタズラ! 聖剣の適正があってイギリスに渡り、晴れて主のお役に立てる代行者になれたと思ったのに! ああ、これも試練なんだわ! 久しぶりに帰ってきた故郷の地! 懐かしのお友達が悪魔になっていた過酷な運命! それでもこれを乗り越えなければ真の信仰には至れないのね! さあ、イッセーくん! 私がこのエクスカリバーで裁いてあげる!」
「なんか難易度高くなってない!?」

やべぇ! 昔はこんなにも常軌を逸していなかったのに!

マジで時間の流れって残酷だよ!

俺は世知辛い世の中を変わり果て、危なくなった幼馴染を通して痛感させられたのだった。



二体二の勝負を観戦しているリアスたちやカリフは席に座って観戦している。

そんな中で小猫がカリフに疑問を投げつけた。

「……なんで戦わせたの?」
「暇だったからな。偶には見てるだけってのも悪くねえだろ?」
「……本当?」
「冗談だ」

あっさりとはぐらかしたのを認めたカリフに一同が溜息を洩らしていると、カリフは楽しそうに足を組んだ。

「見てみろ。祐斗のあの怨恨と切望が浮かぶ表情……あのやる気だけ見ても奴はこれから先伸びるのが手に取るように分かる」
「……あんな祐斗くんの表情は初めてですわ」

朱乃でさえも戦慄するような冷たい笑みに冷や汗をかかされる。

「これは分岐だ。この時期、奴の進化が試される。上手くいけば強くなり、間違えた進化なら破滅だけだ」
「あなた……それを見極めるために?」
「それもあるが、今の奴等には足りない所がある。それをこの戦いで知ってもらう」

カリフは鼻を鳴らして言った。

「目的の前で敗北を喫する……その後に残る屈辱が必要なのだ……」

カリフの言葉に全員が生唾を飲み込んだのだった。



「剥ぎ取りゴメン!」
「卑猥な!」

現在、イッセーはイリナと組み合っている最中だが、ほぼ動きは互角とも言えるほどだった。

イリナのエクスカリバーを避けながらイッセーはドレスブレイクを使おうとする。

しかし、イリナも嫌な予感を感じたのか必死に避けていた。

「なんなのそれ!? なんだか卑猥な予感がするんだけど!」
「おっぱい見せてください!」
「あぁ、主よ! このエロ悪魔を断ずる力をお貸しください! アーメン」
「こっちだって少ない魔力の才能を全てつぎ込んだんだ! 見ただけで相手の服を脱がすのが俺の理想形だぁぁ!」
「なんて性欲の持ち主なの!?」
「性欲は力だ! 正義なんだよぉぉぉ!!」
「主よ! この罪深き変態をお許しにならないでください!」

アホなことを口走りながら両者は常人には目で追いきれないほどのスピードで交戦している。

「……極東の神滅具のブーステッド・ギアに魅入られし現赤龍帝……随分と悪魔らしいね」
「ごめん」
「聞こえてるぞ木場ぁ! おめえは謝んなくていいんだよぉぉぉ!!」

ガチで謝る木場に突っ込みを入れるも、すぐに気を取り直す。

「気を取り直して行くぞ! 燃え尽きて凍れ! 『炎熱剣(フレア・ブランド)』! 『氷空剣(フリーズ・ミスト)』!」

炎渦巻く魔剣と冷気と氷霧を帯びる魔剣が木場の両手に現れ、ゼノヴィアに斬りかかる。

『騎士』の特性のスピードを駆使して四方から斬りかかってもゼノヴィアは最小限の動きだけで避けていく。

「なるほど、流石は『ソード・バース』の使い手だ。これなら並の相手なら何もできずに嬲り殺される所だが……」

ゼノヴィアはまるで予知していたかのようにエクスカリバーを振るって木場の魔剣を破壊した。

「っ!」
「怒りで動きが単調、故にどんなに目で追えなくても予想くらいできる」

そしてゼノヴィアが木場にエクスカリバーを振り上げた。

「しまっ!」
「もう少し冷静になってから向かってきなよ。『先輩』」

冷たい言葉の次に聞こえたのはエクスカリバーが木場ごと地面をたたき割った轟音だった。




「うおおぉぉぉぉ!」
「くっ! 速い!」

現在、イッセーは土埃にも目をくれずにイリナと接戦を繰り広げている。

「木場くんだっけ!? 友達がやられたのに随分と冷静ね!」

イリナの精神動揺を図る挑発もイッセーには無意味だった。

「へっ! 木場があれしきで倒れるタマじゃねえよ! あんなのよりもこええ奴とガチでやりあっている俺たちグレモリー眷族は伊達じゃねえんだよぉ!」

イッセーのアッパーはイリナの顎をかすめ、イッセーから距離を置く。

「ていうかブーステッド・ギアも使わないでなんて身体能力なの!? タフネスも並じゃないわ!?」
「今まで鬼後輩とドラゴンの地獄を味わってきた俺は強いぞぉぉぉ!」
「なにそれ怖い!」
『相棒……なんかすまん』

中からドライグが半狂気味のイッセーへ謝罪したような声がしたが、イッセーの頭の中には最早今までの命の危機とエロが混ざった極限状態の精神が蠢くだけだった。

「もう、何も怖くない!」
「しまっ!」

イリナが遂にイッセーに追いつかれ、驚愕する。

「もらったー! ドレス・ブレイクぅぅぅ!」

チャンスとみたイッセーは手に魔力を溜めてイリナに迫る。

最早このスピードは誰にも止められまい!

そう思っていた時だった。

「はっ!」

イリナが突然、剣を遠くへ伸ばして地面に突き刺し、そのまま元に戻す。

イリナも一緒に剣に引き寄せられるように移動した。

ってんなのありか!?

「はっ!? なんだそれ!?」
「これが私の『擬態の聖剣』(エクスカリバー・ミミック)の能力、形も変えることができれば長さも変えることができるの」

聖剣にも色んな種類があるとは言ってたけど、こんな使い方もあるのか!

こりゃ勝つのも至難だぜ!





ここからは俺の覚えていることを話そう。

この直後、俺はとんでもないことをしでかすことに気付いた。

最後のチャンスに全力を込めて繰り出したばかりのスピードはもう自分でも止められない。

故に、俺は勢い良く突っ込んでいった。

「イッセー!?」
「イッセーさん!」

部長たちのいる所へ勢い良く……

「え、あ!? どわぁ!」

そのまま部長たちに衝突してしまった。

たちまち勢い良く砂煙が上がる中、痛む体の悲鳴を我慢して俺は立ち上がろうとした。

「いてて……」

俺はその時、力を入れたせいで気付いた。



ムニュっと柔らかい物を掴んでいたことに。

「?」

これがなんだか砂煙のせいで見えない。

だけど、比較的速く砂煙が晴れていくと周りから信じられないと言った声が上がっていった。

「イ、イッセー……今すぐそこを離れなさい……」
「はわわわ……」
「あらあら……これは……」

なんだか部長、アーシア、朱乃さんが俺から遠ざかりながら忠告している。

え? なんだなんだ?

そんなこと思っていると、砂煙はようやく晴れて俺の握っている者が露わとなった。





なんとも柔らかい二つの……カリフのゴールデン玉が……

「へ?」
「イッセー先輩、骨は拾います」

ようやく見えてきた小猫ちゃんが合掌する姿と一緒に視界に捉えた。

「……ほほ〜う」

なんともいい笑顔で血管を浮かべたカリフの姿

その瞬間、俺の視界が暗くなり、同時に頭をしめつけられえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!」
「そんなにも飢えていたのか? 男の玉にまで欲情するほどに……あぁ?」
「ちょっとちょっと待ってえぇぇぇぇぇ! 潰れる! 味噌がはみ出るうぅぅぅ!」

カリフの五指がどんどん頭の中に食い込み、頭蓋骨が悲鳴を上げる!

ま、不味い! ここで弁明を!

「とりあえず落ち着いてくれ! お前のキ○タマは確かに握ってしまったのは謝る! だって未だになんだかホカホカしてるんですもの! だけどそれはわざとじゃない! 俺だって男のになんて興味ねえし、握りたくも無かったんだけど事故って握っちまったんだよおぉぉぉぉ! もういやだあぁぁぁ! 普通ここで部長のおっぱいとかラッキースケベがいいよおぉぉぉ! うわあぁぁぁぁぁん! 部長うぅぅぅぅ!」

途中から懺悔から後悔と世の不条理さに涙を流すが、それもだめだった。

「とりあえず、一発いくぞ」

そう言いながら殴るの止めてよ……

強烈な痛みに俺の意識は涙と共にブラックアウトしたのだった。





筋肉の浮かぶ逞しい極太の腕

その剛腕がイッセーの顔面に勢い良く突き刺さった瞬間、イッセーの身体がミサイルのように勢い良くイリナの元へ向かって行った。

「きゃあ!」

咄嗟に避けると、イッセーの体は成すすべなく地面に鋭角に突き刺さる。

あまりにもシュールすぎる絵がここにでき上がった。

「イッセー!?」
「うえ〜ん! イッセーさん!」

リアスとアーシアは慌ててイッセーの元へと駆けつける横で、カリフは拳をポキポキ鳴らしながらゼノヴィアたちに近付いて行った。

「惨敗に次ぐ惨敗か……情けないにもほどがある」
「いや、赤龍帝は君が……」
「なにか?」
「……いや、なんでも……」

有無を言わせないカリフにゼノヴィアたちもこれ以上は止めた。

自分たちまで被害は被りたくないのだから。

「それじゃあ約束だ。エクスカリバーの件は少し手を出してやる。寝床もある程度は提供してやろう」
「あ、あぁ……今更だけどなんだか悪いね……」
「気にするな。オレは宗教に入る気はないから。借り作って何も言わせないようにするのもある」
「なんて黒いのかしら! もっと清らかに生きましょう! ほら、一緒にせーの……」
「バルス」
「ぐぎゃああぁぁぁぁぁ!」

いい加減五月蠅くなってきたカリフはイリナに目潰しを喰らわせる。

喰らった側は痛そうに両目を押さえながら悶える。

「速くしろ。迷子になったら一生放っておくからな」
「ていうか些細なことで相方の目を破壊の呪文と共に破壊しないでほしいよ。こんなのと組んでると思うと恥ずかしくなるから」
「ゼ、ゼノヴィアぁ……今の言葉忘れないわよ……絶対に……」

二人のコントが繰り広げられているのを鼻で笑い、カリフはその場を後にする。

そうしようとした時だった。

「ま、待て……」

満身創痍で制服もボロボロ、頭やら腕から血を垂れ流して折れた魔剣を構える木場が立ち塞がった。

そんな木場にゼノヴィアは嘆息した。

「尚も挑んでくる気概は認めるけど、もう少し冷静になってから挑んでくるといい。今の君では赤龍帝にも劣る」

ゼノヴィアたちはリアスたちに引っこ抜かれようとしている埋もれたイッセーを見る。

「とは言っても今の赤龍帝でもまだまだ実力は不足している……彼が起きたら伝えるといい。『白い龍(バニシング・ドラゴン)』は既に目覚めているってね」
「ま、待て……」

遠ざかっていくゼノヴィアに手を伸ばしながら木場はその場に倒れたのだった。

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