小説『不思議な話』
作者:あさひ()

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第四話 世にもグロい話


科学の発達がすさまじいある国で、恐ろしい生物のことが話題に上っていた。それは、
「ウミイヌ」。

普段は岩や海の底に張り付いているが、気を荒立たせると人にかみつき、歯から滲出する毒によって人を死に至らしめる。全然イヌの要素がない。すでに、海水浴を楽しんでいた3名の死者が出ていた。科学者によると、イヌが突然変異を起こした結果現れた生物であり、首がイヌ、それより下はたつのおとしごの形をしていて、身長がおよそ150cmであり、なめくじのような色をしているということであった。


この国には、人魚族というのが存在していているが、ウミイヌは彼らには攻撃しない。陸上に生息する人間の血にしか興味がない。人魚族には王家が存在しており、ある日彼らによるパーティーが開かれることになった。

そこで、科学を発達させた陸上の人間にウミイヌ退治が依頼された。パーティー会場に何人か陸上の権威が参加するということであった。


そこで退治に駆り出されたのが、ウミイヌ退治のためのウイルスを開発したイアン博士の養子であるスピカであった。スピカは酸素ボンベを取り付け、博士とともに海の中に潜っていった。博士はウミイヌのいない控室に控えていることになり、ななな、なんと、スピカにはこのことが知らされていなかった。
博士には、「パーティーがあるからスピカも参加するように。」としか言われていない。

スピカは海の中のパーティー会場にたどりついてから、やっとそのことを知り、注射器を手渡されることになった。パーティー会場は陸上の人間も酸素ボンベなしに過ごせるようになっていて、スピカはさっきまで取り付けていた酸素ボンベを博士によって隠されてしまった。まさに、スピカにとって大きな大きな危険の到来である。

ウミイヌは何もしなければ攻撃してこない。普段は後ろを向いてどこかに張り付いているだけであり、それをいいことに少しばかり恐れながらスピカは次々とウミイヌに注射をほどこし退治していった。スピカはこんなおとなしい生物を殺してしまうのはどうかと考えたが、みためからして異常であり、攻撃が死に至らしめるほどのものであり、正当防衛も兼ねてこの任務をしっかり果たすことを心に決めていた。

ウミイヌによる被害者が一名もなく、その任務が終わりに差し掛かっていたころ、スピカは不思議な機械を発見した。海の中で働く機械なんて初めて見た。きっと最新型の機械に違いなかった。陸上の人間が持ち込んだものに違いなかった。

イアン博士だろうか?いや違う。博士はウイルスを専門とした博士だ。じゃあ誰?
でも、こんなところに機械があるのはおかしい。


とにかく犬小屋3つ分の大きさでウィンウィン勝手に動いており、気持ちの悪いものであった。機械がある部屋には、ウミイヌがいなかった。

あやしい・・・。


そう思ったスピカはその機械に注射を打った。

すると、
「人を捕食させてください。」

と機械が壊れながら大声を上げ始めた。



終わり

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