小説『ハルケギニアに蘇りし紅き狼』
作者:大喰らいの牙()

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第十二話  さぁ、歯車は動き出す


〜真紅狼side〜
祝儀からあっという間に二週間が経ち、今日はトリステイン来日の日である。
といっても、他の国と違ってアホみたいに華びらかな服を着ていくわけも無く、いつも通りの服なんだよね。
カトレアも普通どおり、ウチの国の連中は至って普段通りの格好である。
今回は旗艦で行くことにした。
旗艦にもランクがあって、上に行くごとに強化されている。



Cランク…………………………………ロアル級



C+ランク…………………………………ガノトトス級



Bランク……………………………………ウラガンキン級



B+ランク…………………………………アグナコトル・ベリオロス級



Aランク……………………………………ジンオウガ・ドボルベルク級



A+ランク…………………………………ディアブロ・レウス・ラギアクルス級



Sランク……………………………………希少種及び古龍種、一部の飛竜種のみ。



と、なっている。
これは作者が実際に狩ってる時に付けた強さのランクだ。
なので、やってる人やこれからやる人に言っておくがあまり当てにするな。
あくまでも作者が感じた強さランキングだからな。
今回は、A+ランクの“砂漠の暴君(ディアブロ)”に乗っていく。
この旗艦の目印はなんと言っても、船首に付けてある極大な二本の角。
敵の艦隊を軽々と貫ける事が出来、加速した状態で激突されたら、間違いなく敵の艦隊は串焼きみたいに出来上がるだろう。
と、皆には説明してるうちにどうやら全員乗り込んだらしい。


「では、トリステインへ出発!!」


旗艦専用の出入り口から、空に浮き上がり時間を懸けて動き出した。
どんなに時間を懸けても、前回行った時と変らず、5分ちょっとなんだけどねー。
〜真紅狼side out〜


〜アンリエッタside〜
今私達は、これから来るトゥルゥーガ公国の方達を迎える為に、色々と準備を始めていたが………枢機卿が王室に入ってきた。


「……姫様」
「あら、マザリーニ。準備の方は?」
「ただいま終わりました。しかし、この書通は本当なんでしょうか?」
「私も嘘臭いと思いますが………」


そこには、今日向かうことと着陸地点はこちらで勝手に判断するから、目印は要らないと言う事だった。
すると衛兵の一人が血相を変えて入ってきた。


「姫様、大変でございます!!」
「こら、必ずノックするようにと………」
「いえ、大丈夫です、枢機卿。それで何でしょうか?」
「前方に巨大なフネみたいなモノがやってきてます!!」


私達は顔を見合わせ、城下町を一望できるバルコニーに向かうと確かに衛兵の言う通り、巨大なフネ(?)らしきものがこちらにやってきている。


「まさか他国が攻めてきたのでしょうか?!」
「いえ、違います。アレはおそらくトゥルゥーガ公国のフネですね。兵の皆さんは迎える準備をしてください」
「は、はい!!」


駆けこんできた衛兵は急いで出ていった。


「姫様………………ついに来ましたな」
「ええ。マザリーニ枢機卿、遂にですわ」


私達は王の間で彼らを待つことにした。
〜アンリエッタside out〜


〜真紅狼side〜
ディアブロの艦長は、もちろんクイラである。
クイラは他の操縦士に命じた。


「エンジン停止!」
『了解、エンジン停止!!』
「着陸地点に異常がないか、確認!!」
『了解、確認します!! …………異常ありません!!』
「よし! では、これより降下する!! 降下開始!!」
『了解、降下開始!!』


ゆっくりと降下し、無事に地面に着いた。


「ハッチ開放しろ!」
『了解、ハッチ開放します!!』


さて、そんじゃまぁ、俺達流に登場しますか!


「では、クルーはしばらく休憩だ。各自、自由に過ごしてくれ。城下町に出る者は、艦長に申し出てくれ。あと、迷惑はかけるな。ただし、あちらから喧嘩を吹っ掛けてきたなら……………そうだな、腕の骨もしくは足の骨を折る程度までだ」
『了解!』


城に向かうのは俺とカトレア、リュオン、クイラの四名だ。
ぶっちゃけ、襲われても負ける気はしない。
カトレアは俺が絶対に護るし、リュオンに刀を持たせたら敵なしだし、クイラは元傭兵だ。形だけの兵隊どもに負ける筈がない。


俺達が城下町に入ると、目の前に女性の騎士が何人か立っていた。


「失礼、貴方かたがトゥルゥーガ公国の者ですか?」
「ああ、そうだが?」
「姫より案内を頼まれている銃士隊隊長アニエスです。姫の所までご案内します」


そういって、俺達は城下町に住んでる国民は騒ぎに駆けつけて、自分達も騒ぎの内容を知ろうとしていた。
そして、俺達は城の中に入り、アンリエッタ姫と再び出会った。


「どーも、アンリエッタ姫殿下! 城までの案内を有難うございます」
「それは良かったわ。彼女達を送っておいて! カトレアも久しぶりの故郷ですがいかがです?」
「懐かしいです。ほんの前まで住んでいた国なのに、何もかもが懐かしく感じます」
「ところで、城下町の外にあるアレは一体何なのでしょうか?」
「姫殿下たちがいうフネですよ。私達はアレを“旗艦挺”と呼んでいますが………」


軽く教えると、アンリエッタ姫は驚く。
『アレがフネなのですか?!』と心底驚いていた。
さっさと、済ませよう、面倒になってきた。
“ラ・ヴァリエール家”に向かうか。


「カトレア、ラ・ヴァリエール家の位置を教えてくれるか?」
「ウォルフガングで行くんですか?」
「ああ、ディアブロは動かせないしな、もう一隻持って来てるんだよ」
「なら、クイラさん」
「なんでしょう? カトレア様」
「位置を教えるから、操縦お願いできるかしら?」
「喜んで引き受けさせていただきます」


こちらで、勝手に話を進めてるとアンリエッタ姫がこちらに気が付いた。


「どちらに行かれるのですか?」
「ラ・ヴァリエール公爵家へ、カトレアが挨拶したいと言うので…………」
「なら、私も一緒に行きましょう。貴方達では誤解をしてしまうかもしれません」


アンリエッタ姫は着いてくる気マンマンだった。
えぇー、この姫も俺の飛空挺に乗せるのかよ〜〜〜、はぁ、やだなぁ。
というか、この姫は何故馬を呼んだんだ?


「アンリエッタ姫、何故、馬をお呼びになったのですか?」
「馬車で行くのでしょう? その為ですわ?」
「馬車で行くなど、時間がかかるではないですか!! こちらは飛空挺で行きますよ、そんな二、三時間もかけて向かうよりかは、こちらの方が時間も短縮できるし、効率がいい」


馬で向かったら、帰って来る時には真っ暗だよ。
だったら、こっちの方が良い。
乗せたくないけど、乗せることにしよう。
ただし条件付きで。


「アンリエッタ姫も乗せますので、支度をしてください。ただし、乗ったら一室用意させますのでそこで何も触らずに居て欲しいのですが、よろしいですかな?」
「ええ、よろしいですわ。枢機卿」
『はい、何でしょうか? 姫様』
「私はこれより出掛けます。枢機卿も準備を」


俺達は簡単にアンリエッタ姫との挨拶をし、ウォルフガングに乗りこんでカトレアの案内の元、ラ・ヴァリエール家に向かった。
〜真紅狼side out〜


〜カトレアside〜
私の案内の元、ウォルフガングは動いていき、たった3分で着いてしまった。


「真紅狼さん、着きました」
「では、挨拶に行こうかね」
「はい」


私達はウォルフガングから降りて門の前に立つ、すると橋が降りてくる。
真紅狼さんの顔を見ると、さすがにこれには驚いていた。


「おいおい、ここは橋まであるのかよ」


橋が完全に降りた事を確認した後、私達は橋を渡っていると向こう側からメガネをかけた金髪の女性がツカツカと歩いてきた。


「エレオノール様(・)!」


挨拶しようとしたら、通り過ぎられ真紅狼さんの方に一直線に進み、叩かれた。


「この外道!」


バシンッ!


真紅狼さんは避けるそぶりも見せずに黙って叩かれた。
その行動に、リュオンさんは腰にかけていた刀の柄に手を置く、タマモちゃんも姿を現して、戦闘態勢を取った。


「「………貴様!」」


二人とも物凄い威圧感滲みだしていた。


「落ち着け、リュオン、タマモ。俺は大丈夫だから、構えを解け」


すると、エレオノール様を睨みながらも構えを解いた。
そして、ようやく私の方に向いて話す。


「カトレア、貴女大丈夫? この外道に変なことされなかった?」
「ええ、私は大丈夫です」
「お父様もお母様も心配してたのよ?」
「あの……………」
「こんな男の元に無理に嫁がなくてもいいわ。お父様が抗議してくれるから」
「エレオノール様! そうじゃないんです」
「なによ、突然、大声出して………びっくりするじゃない」
「今日、伺ったのは別れの挨拶をする為に来たのよ」


エレオノールは、今私が言ったことに聞き取れなかったらしい。
非常に困惑していた。


「ど、どういうことなの?!」
「真紅狼さんとの結婚は無理矢理じゃなくて、お互い総意なのよ。もう祝儀も上げたわ」


エレオノールは信じられず、城の中に戻っていった。


「おいおい、彼女、大丈夫か?」
「エレオノールは何度も婚約を破棄されてますから、ちょっとこの手の話題はタブーなんです」
「まぁ、一目見て分かったが、あんな高圧的態度を常に振る舞っていれば、そりゃ愛想つかれるな。それにあの目もダメだな。おもいっきり人を見下してやがる」
「その辺を直す様に言ってたんですけどね………」
「ここで、話してるのもアレだし、中に入ろうか?」
「はい」


私達はラ・ヴァリエール家の方達に見せつける様に、腕を組んで城の中に入った。
〜カトレアside out〜


〜真紅狼side〜
城の中に入ると、ホールに案内されそこにはどっしりと構えたヴァリエール家公爵と夫人、そしてエレオノールが座っていた。
アンリエッタ姫が真ん中に座り、俺達の事を簡単に説明してくれた。
そしてカトレアが…………


「私、カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌは今日よりカトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・蒼騎として生きていきます。今まで私に目を懸けて頂きありがとうございました…………公爵様、公爵夫人」


カトレアは今の言葉で完全に決別したこと自分の意思で三人の前で告げた。


「ちょっとお待ちなさい!」
「………なんでしょうか、公爵夫人?」
「貴女の病はどうしたのですか?!」
「私が治しましたが?」
『なっ?!』


おお、驚いてる。
まぁ、そりゃそうだよねー。
そちらの優秀な水の治療士ですら、手こずった病を簡単に治されちゃ、メンツ丸つぶれだよね〜。


「ど、どのように治したか、聞いてもよろしいか?」
「我が国の秘薬ですよ、ヴァリエール公爵」
「その秘薬とやらを教えなさい」
「お断りします」
「なんですって?」


エレオノールが上から目線で要求するが俺は断る。


「言った筈です。『我が国の秘薬』だと。そう簡単に秘薬の材料を明かすと御思いですか? それに私は秘薬じゃなくても明かすつもりはありません」
「どういう意味ですかな、それは?」
「初対面の相手をいきなり叩くなんて、アナタ方はどういう教育をしているんですか? それに自分が悪い事をしたにも関わらず、未だに謝ることすらしない。そんな態度の悪いアナタ方に明かす義務はないでしょう?」


エレオノールは顔を真っ赤にしていた。
今にでも、杖を抜こうとしているが、それを公爵夫人は抑えつけていた。
その行動にエレオノールは目を見開いていたが、何か小声で言われたのか、抜くことは永遠になかった。


「では、蒼騎陛下、病の事はもうよろしいです。カトレアの別れの挨拶も済みましたし、後の御用件はなにかな?」
「ここにあるカトレアの私物を引き取りに来ました。それで終わりです」
「もう用意してあるから、それを持ってお引き取りを」
「これはこれは、手間が省けます。ヴァリエール公爵」
「……………フン!」


あらら、こりゃまた随分と嫌われたものだ。



20分後……………



「真紅狼さん、運び終わりました」
「じゃ、これで失礼します。ヴァリエール公爵と公爵夫人」


カトレアはなにも言わず、頭を下げた。
ただただ、深く頭を下げた。
そして、俺達はアンリエッタ姫達を乗せて、トリスタンまで送っていき、ディアブロにリュオン達は乗り、俺とカトレアの二人はウォルフガングで自宅まで帰っていった。



それから二年後……………



いつも通りの日常で書類に埋もれながらも、カトレアとは甘い空間を作りながら過ごしていった。
フェオの月の第二週ヘイムダルのマンの曜日の昼ごろ事態は起きた。


『陛下!』
「んぁ、なんだ?」
『大変でございますってなんで、書類に埋まってんですか?』
「ちょっと仮眠してたら、書類が崩れてこうなった」
『そりゃ、天井まで積んでたら、そうなりますよ…………』
「で、なんか用があったんだろ?」
『あ、そうです! 先程、先鋭都市インタクルを警備していた“翠鳳隊”隊長のルクスからの報告で「いきなり空からメイジと思われる女の子と普通の青年が降ってきた」とのことです』
「容姿とかは分かるか?」
『おそらく、マントを羽織っていたのでどこかの貴族ではないかと………』
「あー、じゃあ、二人を保護して王都まで輸送させろ」
『城でよろしいですか?』
「おう。城で頼む。着いたらまた連絡してくれ」
『了解しました!』


そう言って、クルスは去っていった。
クルスは俺への言伝などの連絡係で翼人、モデルは燕だ。
さらには、郵便局でも働いている。


「まさか、こんな形で俺の国に来るとは…………」


また、トリステインに向かう事になるのか………。
まぁ、いいや。
魔法学院にちょっとばかし、“お礼”をしたいヤツがいるしね。
あー、楽しみだ。
カトレアもビックリするだろうな。
と、そんなことを思っていたら…………


「ルゥちゃん♪」
「おわっ?!」


耳元に息をかけられて、ゾクッとした。


「ななななな、なんだ、カトレア!?」
「え〜〜〜い♪」


肩を掴まれて、そのまま倒された。


「え、ちょ、なに////?」
「少し寝ないとダメよ♪ 寝てないんでしょ?」
「いや、大丈夫だk………」
「ダ〜〜〜〜メ♪」


カトレアの膝に再び頭を落とされた。
すると、次第に眠気が襲ってきていつの間にか寝ていた。


「お休み、ルゥちゃん♪」


俺が意識を離す瞬間、唇に柔らかい感触が当たった。
〜真紅狼side out〜


zzzzz……………////

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