小説『ハルケギニアに蘇りし紅き狼』
作者:大喰らいの牙()

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第八話  この流れはさすがに読めなかった・・・orz by真紅狼


〜ジョゼフside〜
今俺達は真紅狼の国、トゥルゥーガに向かっている。
色々と片付けなどをやっていたら、だいぶ時間がかかってしまったのである。
シャルルの娘である、シャルロットはトリステインの魔法学院に留学している。
外では、タバサと名乗っているらしい。


「兄さん、見えたよ。トゥルゥーガだ!」


シャルルの声で俺達は、甲板に出て真紅狼の国を眺めた。
大自然が残りながらも、発展した街並みに国を象徴するような城。
見事なものだ。
すると、目の前に騎竜兵なのかわからない奴が飛んで来た。


『そこの空船! 止まれ!! 何者だ!!』
「こちら、ガリア王国のジョゼフとシャルルだが、真紅狼に取り次いでもらいたい」
『しばし、待たれよ。現在確認中だ。………はい、分かりました。失礼しました、ガリア王国ジョゼフ様、シャルル様。これより、着陸場所にご案内します。私の後について来てください』


一人乗りの空船に乗っている獣人が旋回しながら、我々を着陸地点まで連れていった。
すると、目の前に見たことの無い程の空港があった。
そして、俺達と乗っているフネとは全く違う形のフネがずらりと並んでいた。
案内人の者が、先に降下して我々の着地地点を示していた。
俺達のフネはそこに着陸し、フネから降りると真紅狼が待っていた。


「よぉ、真紅狼! ようやく来たぞ!」
「前もってくるのを知らせろよ、バカ野郎。おかげで戦闘準備しかけたじゃねぇか」
「それにしても、これはフネなのか?!」
「お前達の言う“空船”だよ。俺達の国では“飛空挺”と呼ぶがな」
「どう違うんだ?」
「そうだな………飛空挺は空戦における高速戦闘型と言うべきかな。空船とは性能も強度も全てにおいて天と地の差がある」
「あのデカイのはなんだ?」


俺は、その辺にある飛空挺よりも二倍以上あるフネ………いや、飛空挺を指差した。


「ああ、アレは“旗艦”だ」
「“旗艦”?」
「簡単に言えば、総司令艦かな。あの艦は、小型艇を収納しつつ、特殊大型武装を装備させている」
「小型艇というと、俺達を案内した者が乗っていたヤツか?」
「そうだ。アレを150機ほど、収納できるスペースと特殊大型武装のスペース、治療室(メディカルセンター)、居住区などもあるな」


俺は、目の前の光景に目を輝かすことしか出来なかった。
〜ジョゼフside out〜


〜真紅狼side〜
ジョゼフは、飛空挺を見ることになっていたので案内の者を付けておいた。
シャルルは黙っていたが、口を開いた。


「真紅狼、僕達の国にも飛空挺を作ってくれないだろうか?」
「貿易だな、そりゃ。まぁ、親友価格(・・・・)で作ってやるよ」
「どれぐらいの値段だい?」
「本来なら、これ一艇、ざっと5000エキューだが、親友価格として750エキューでいいぞ」


めちゃくちゃ破格の値段だ。
まぁ、ガリアだけにしか飛空挺は売らない。
小型艇のお古ぐらいなら、トリステインとかに売ってもいいけど現在の小型艇とは段違いの性能な為、大した損害も受けない。
むしろ、上手くやればボロ儲け出来るかもしれないし〜〜


「儲けは出るのかい?」
「んにゃ、出ないが代わりに、ガリアの特産品を安値で売ってくれ」
「抑える所はきっちりと抑えるね。でも、お互い良い取引だ」
「んじゃ、頼むぜ。………シャルル外務大臣?」
「ええ。そちらもお願いしますよ、蒼騎陛下?」


お互いに笑いながら握手した。


「で、ジョゼフはシェフィールドに食われたの?」
「中々、上手くいかないみたいなんですよ。毎晩、決戦らしいんですけど………。そういう真紅狼は、気になる相手とかはいないの?」
「………毎日、そういう書通が来てるから嫌気がさしてしょうがない。手紙とかが送られてくるんだけどよ、どいつもこいつも上っ面の言葉を並べている手紙ばっかでいやになるぜ」


そういうと、シャルルは苦笑している。


「つーか、ジョゼフはドコ行った?」
「そういえば見当たりませんね………」


俺達が周りをキョロキョロと見渡していると、上から声が聞こえた。


『おーい、真紅狼にシャルル! ココだ!!』

小型艇に跨ったジョゼフは手を振っていた。
初見で運転出来るとか、アイツ才能あるなぁ。


「おい、ジョゼフ!! そろそろ移動するから、降りて来い!!」
『真紅狼! これ、俺用にカスタマイズして創ってくれ!!』
「その辺の話を道中するから、降りて来い」


ジョゼフは、目の前で降りてきて俺達は次々と各都市に回っていた時に事は起こった。


「ここが最後だな、王都“フォルティウス”だ。で、アレが城だけど基本使ってないね」
「「使ってない/の!?」」
「基本、仕事なんて自宅で事足りるから。城なんて所詮、お飾りだから」


二人はポカーンと口を開けたままになってる。
その時、来訪者が来た。


「おーい、蒼騎………殿………………………」


向こう側からやってきたのは、モードだ。
そして、ジョゼフとシャルルも声につられてモードを見て驚き、三人は間抜けた声を出した。


「「「あ………」」」
「あーあ、出遭っちまったか(笑)」
「お、おい、真紅狼! なんで、ここにアルビオンの皇帝の弟がいるんだ!?」
「蒼騎殿、何故ココにガリア国王の兄弟が居られるんです?!」


ええい、一片に訊ねてくるんじゃねぇ!!
俺は聖徳太子じゃねぇんだよ。


「ぶっちゃけると、亡命させた」
「「ぶっちゃけすぎだ!!」」
「で、モード。コイツ等とは、親友。OK?」
「あ、はい。十分に分かりました」
「「そんなんで納得できんのか?!」」


ガリア兄弟は、ノリのいいツッコミが炸裂した。


「ジョゼフ王とシャルル外務大臣、私はもはやアルビオンの皇帝の弟ではなく、トゥルゥーガ公国の一国民です。“モード大公”は死んだんですよ」
「何があったんだ?」
「色々(・・)と合ったんだよ………色々(・・)とな」


含みのある様な言葉で言うと、二人は黙った。


「では、モード氏、今のお名前は?」
「モード・ウッドモックです。そう呼んでください」
「では、ウッドモックさんは、なんでさっき真紅狼が言ったことに簡単に納得したんですか? 普通なら、そう簡単に納得なんてできないですよね?」


シャルルが、先程の会話を訊ねる。
すると、モードは………


「この国に住めば、誰でもああなりますよ。この国は基本やる事が大概ですから、一々驚いていたら身が持たないんですよ」
「………ひでぇなぁ」
「蒼騎殿は、重要なことは軽くさらっと言い、どうでもいい事を真剣に言いますからね」
「人生は楽しまなきゃ損だと思うのだが………」
「「「蒼騎殿/真紅狼は、楽しみ過ぎだと思う」」」


なにこの四面楚歌?
俺には味方がいないのか?


「兄さん、そろそろ帰ろうか?」
「ああ。随分と楽しませてもらったし、小型艇や飛空挺の取引も出来たしな」
「なんだ、もう帰るのか? なら、ほれ、ウチが創っている地酒だ。持ってけ」
「おお、すまんな。真紅狼」
「度数はちょいと高いが、味はすっきりとして美味いぞ。あと一つ言っておくと下手にハマるとエライことになるから、気を付けろよ?」


ジョゼフ達は頷いていたが、多分どういう意味か分かってない。
よくあるじゃん?
酒の勢いって怖い………………ってさ。
まぁ、それはそれで面白いから、別にいいや。
そして、モードとは途中で別れ、ジョゼフ達は空港まで見送り、フネが完全に見えなくなった時に新たに『面会を求める者達がいる』とライフェンから連絡を受けて、城に向かった。
こんな、夜遅くに誰であろうか?
〜真紅狼side out〜


〜???side〜
私は娘の為に、ここまでやってきた。
ここに来るまでは、娘の病気を治療する為に水の治療士に頼んだり、噂で聞いた事を試したが、効き目は無かった。
もう、国で五本指に入る程の貴族……………“ラ・ヴァリエール家”に頼もうかと思った時に、ある噂を耳にした。


“海の向こう側の国、トゥルゥーガ公国は技術が発展している”


と、そんな噂を耳にし、最後の一縷の望みに掛け、はるばるここにやってきた。
やっとの思いで、この国に着いたがその時はすでに夜でさすがに王様に謁見出来ないかと思ったが、訊ねてみると思いのほかうまくいったことに驚いた。


「えっと、案内有難うございます」
「いえ、お気になさらず。どのような御用件で陛下に謁見を?」
「娘の病気を治して欲しいのです。水の治療士に頼んでも、治る気配が見えず、色々試しても………」
「なるほど、結果はよくならなかった……と」
「はい。最後の望みを掛けて、ここに来ました!! お金なら幾らでも出します!! だから、娘を………! 娘を助けてください!! お願いします!!」


私は強面の獣人に頼みこんだ。
すると………


「これは、陛下の受け売りなんですが………『“奇跡”なんて言うモノは最後まで諦めなかった者にしか、起こせないものだ』と言っておりました。貴方は最後まで神に頼らず、自分の足でここまで来られた。なら、あなた方の努力は報われるでしょう。………陛下、内容を聞いていましたね?」
『ああ、聞いていた。準備も整っている』


王の声が後ろから聞こえてきたのである。


「こちらが、トゥルゥーガ公国の王 蒼騎 真紅狼様です」
「私はスタンフォード・ラ・フォンティーヌで、娘のカトレア・ラ・フォンティーヌです」
「………彼女はどこを患っているんですか?」
「心臓を………」


王は、『なるほど』と言った後、こちらを見て………


「取り敢えず、中に入ってください。ここでやるってのもマズイですし」
「あ、はい」


私達は中に入り、案内された部屋はなんかの器具がたくさん置かれた部屋だった。
〜スタンフォードside out〜


〜真紅狼side〜
まさか、カトレアの父親が訊ねてくるとは………マジビックリ。
母親がいないってことは………病かなんかで早くに去ったと言う事か。
それよりもアレはどこにやったかな?


「こ、ここは………?」
「治療薬を創る、調剤室ですよ。さて、カトレア」
「は、はい!」
「ああ、そんなに固くならなくていい。質問に答えてくれればいいぞ」
「あ、はい」
「心臓を患ったのはいつから?」
「えっと………」


口を濁すと父親が答えてくれた。


「産まれてからずっとなんです」
「なるほど………なら、決まりだな」
「な、何がですか?」
「治療薬の材料だな。今調合して持って来るんで、待っていてくれ」


俺は保管室に入り、三つの材料と純水が入った小瓶二つを取りに行く。
えーっと、“ディアブロスハート”と“不死鳥の羽根”、“ユニコーンの角”をすり潰して、粉状にする。
それを二つ分創って、火にかけて混ぜ合わせるだけと。


“ディアブロスハート”は、弱った心臓の力を取り戻す効果があり、病に冒された心臓も治す力があ
る。


“不死鳥の羽根”は、活性力を高める。


“ユニコーンの角”は、増強剤と二つの成分を失わせない為のフィルター兼クッションの役割を持っている。



15分後……………



「すまないな。待たせてしまって」
「それが………?」
「そうだ。左手に持ってるのは今飲んでもらいたい物で、右手に持ってるのは、明日の朝、つまり目覚めた時に飲んで欲しい方だ」


彼女に一つの小壜を渡し、ちょっと舌で舐めると目をつぶっていた。


「結構苦いが飲んでくれ。じゃないと、効果が出ない」
「はい、分かりました」


返事をすると彼女は一気に飲み干した。
おお、すごいな。


「さて、もう夜も遅いですし、今晩は城に泊まっていってくれ。部屋なら余ってるしな」
「よろしいのですか?」
「ああ、構わない。リュオン、案内を頼む」
「了解です、陛下」
「ああ! これは、渡しておくから朝起きたら飲んでくれ」
「あ、はい。有難うございます」
「して、効果はどれぐらいで出るのでしょうか?」


スタンフォードは不安な声で訊ねてくる。


「明後日には出てると思うから、ゆったりと待ってくれ」


後の事をリュオンに任せ、俺も家に帰り寝た。



二日後………



カトレアは完全に心臓の病が消えてなくなり、心臓に病を負っていたとは思えないほどに強く脈打ってると医者………ここでは人魚が喋っていた。
そして、スタンフォードは泣きながら、何度も俺にお礼を言ってきた。


「有難うございます! 有難うございます!!」
「そんなに礼を言わなくてもいいって。カトレアも治ってよかったな」
「あ、はい。……有難うございます///」
「陛下。急な話なんですが………娘を陛下の妻に娶ってはもらえませんか!?」
「お父様?!」
「おいおい。さすがに急過ぎるし、カトレアにも気になっている相手と言うものが居るから無理じゃないか? なあ?」


そう言って、カトレアの方を見ると急に顔を赤くして、俯いた。
え、なに、その反応?


「………………その、私は………陛下が………嫌じゃなければ………////」


小さな声だったが、俺には聞こえた。
………マジッすか?
いや、助ける気マンマンだったけどよ、こんな形で完了かよ?


「まぁ、そうだな。カトレア」
「………は、はい///」
「俺は今日の夜、城下町が一望できるテラスにいるから、嫌じゃなければ来てくれ」
「……………はい///」
「ということで、スタンフォード。もし帰国するなら、明日まで待ってくれないか?」
「ええ、もう喜んで待ちます!」


スタンフォードは歓喜していた。
そうだ、言っておこう。


「スタンフォード、この話に口を出さないでくれよ? 俺はカトレアの素直な気持ちが知りたいからな。親であるお前に後押しされちゃ、分からなくなっちまう。カトレアも純粋に自分の気持ちに答えを出してくれ」


俺はその場を後にした。
〜真紅狼side out〜


答えは次回だ。




―――あとがき―――
キャラ紹介。

名前:リュオン
種族:獣人 モデルは白虎
性別:男

詳細:真紅狼のサポート役。
キャラでいうと、バサラの片倉小十郎。ってか、そのまんまな感じで。
ただ、違うと言えば右目に刀傷が入っている。
キレたら超怖い。
極道が裸足で逃げだすほどの迫力持ち。
国内で喧嘩を売ってはいけない人、第二位。


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