小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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そんなこんなで戦当日、現在はシンク、エクレール、リコッタがガレットに攻め込み、一般参加の人や騎士達もあちらこちらで戦闘している。そして俺、俺はかというと・・・・・・
「どうしましたか、駿さん?」
「・・・・・・・・・・・・いえ」
城の前に建てたテントでミルヒオーレ姫様のお話相手もとい護衛をしていた。
せっかくの初陣、このまま俺は何もせず終わるのだろうか?俺主人公だよね?なんで戦闘パート無いの?書けないの?なんなの?馬鹿なの?っと作者罵倒はここまでにして、現実を見ないとな。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙、圧倒的沈黙!やばい、やばいやばいやばい!何か話題は、話題は無いのか!?
「駿さんは・・・・・・」
「ん?」
俺が必死に考えているとミルヒオーレさんが先手を打った。
「駿さんはこの世界に来てどうでしたか?」
どうして今その質問を?と訊こうとしたが、そんな謎直ぐに解けた。
シンクは16日で帰ると言った。今日は確か12日、後4日しか、ないのだ。つまり、その時に俺も帰る・・・・・・ことになっている。だからこんなことを聞いてくるのだ。
「どうって・・・・・・前にも言った通り、嬉しいよ。それに楽しい。この戦の最前線に参加出来ればなおさらだな」
「そうですか」
ミルヒオーレさんは安堵に顔をした。成る程、シンクが可愛いと言う意味は分かる。
「駿さ、んは帰りたいで、すか?」
ミルヒオーレさんはなんか詰まりながら訊いた。
俺は腕を組んで少し考える。
「楽しいから帰りたくはないな。エクレールやシンクと特訓するのもだし、ご飯や風呂だってまだまだ楽しみたい。特にリコッタとこっちの技術について討論が楽しいな!最近はそんなこと出来なかったし超楽しかった」
そうやって戦中にも関わらずお喋り(主にリコッタとの討論のこと)をしていたら
『姫様、ご報告があります』
テントの外からそんな声が聞こえた。
その声によると至急報告したいことがあるらしくガレットから使者が来たらしい。そしてミルヒオーレさんはそれをとおせと言った。
そこからは想像出来るだろう。テント入口からレオ様の側近のビオレ・アマレットとそのお供が現れて襲撃された。のだが
「姫様、無礼のほど、お詫びのしようもございません。ですが我らのお願いをお聞きください」
思った以上に低姿勢。どうやらこれは本気らしい。ならミルヒオーレさんは
「ごめんなさい」
「「!?」」
この言葉は予想外だった。だがその謎も直ぐに解けた。何故ならミルヒオーレさんは一瞬煙に包まれて、なんと葉っぱを頭にのせたリコッタ変わった。そう、さっきまで散々話題にしたリコッタだ。
「え?えぇぇぇえええ!?」
俺は後ろから剣か槍かを向けられているビオレさんを無視して大声で叫んだ。俺はその時、顔を真っ赤にしていただろう。実際すっごい顔が熱かったし。
「影武者作戦、まことに申し訳ないであります」
リコッタが大きく頭を下げながらビオレさんに言った。そしてビオレさんもそれを聞いて諦めるように手をあげた。どうやら俺が無視したのと同じようにこの人たちも俺を無視するらしい。
「まぁ、お茶でもお出しますからゆっくりとお話、お聞かせくださいな♪」
メイドさん、その笑顔怖いです。
その言葉の後、リコッタは大砲でピンクの花火を打ち上げた。どうやら作戦終了の合図らしい。よし、そろそろ状況を説明して頂こうじゃないか。
「えっと・・・・・・・・・・・・」
俺はわざとらしくそう言った。
「駿様も本当に申し訳ないであります」
リコッタは俺にも頭を下げてくれた。
「駿様は昨日、忙しそうだったでありましたから・・・・・・・・・・・・」
昨日は・・・・・・・・・・・・そうだ、確かに俺は初めての戦に浮かれていたんだったな。だから過去の戦を調べたり、訓練したりしてから倒れる様に寝たんだ。
「いや、俺が悪かったよ。すまん」
「あ、いや・・・・・・・・・・・・」
なんだろうか?俺とリコッタの間に距離めいた物がある。いや、本当は分かっています。先ほどの話ですよね。俺はリコッタを褒めちぎった。本人の前でこれは恥ずかしい。もっと言うと本人も恥ずかしい。
「そこの2人もいちゃいちゃしてないで、お茶にいたしますよ」
「「してませんよ(ないであります)!」」
戦中だというのに緊張感なさすぎだろう。後々、俺はそう思った。

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