小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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ノワールとの死闘(でいいんだろうか?)も俺の勝利で終わり、俺はガレットの城に向かっていた。

空は完全に雲に覆われ、雷も降っている。そんな中、ライジングモードで走り続けた結果、ユキカゼとダルキアンさんに追いついた。

「ダルキアンさん、ユキカゼ。どうしたんですか?」

2人の顔は険しかった。

「駿殿。魔物の気配があるでござるよ」

「え、魔物!?」

そう言えばこの2人は魔物退治のプロフェッショナルだったな。そして今のユキカゼの言葉、これは俺が想像した最悪の予想だった。

「・・・・・・・・・・・・それじゃ、俺は他の人の避難をします」

俺は2人にそう言って方向転換をしようとした。その瞬間

「コン!」

ユキカゼの元にいたコノハが鳴き、首輪の宝石が膨大な光を放ちだした。

「魔物の反応!?」

「しかもかなり強力でござる!」

確かコノハの首輪は魔物に反応する。それにしてもさっきまで光っていた量がレオ様を危険視していたなら、今光っているのは・・・・・・

「駿殿!今すぐ避難を・・・・・・」

バサッ!

「なっ!?」

ダルキアンさんの声が全部聞こえる前に俺は謎の黒い影に連れて行かれた。

「「駿殿!!」」

2人の声はもう聞こえなかった。俺は枝に何度もぶつけられながら、森の中を連れ回される。辿り着いた場所は不思議と木々が無い、小さい広場の様な所だった。

「痛ぅ、なんだよ?」

「すまない、乱暴なまねをしたな」

木々にもたれかかり、頭を抑えていると目の前にいた謎の影がそう言いながら、黒い髪に黒い着物に狐の尻尾と耳の少女になった。

「あんたは・・・・・・魔物か?」

「魔物?いや、そうだな・・・・・・・・・・・・魔人とでも言おうか」

魔人、それはどの書物にも書いていなかった。どういうことだ?こいつは何者だ?いや、そんなことよりもだ。

「どうして、俺を連れてきた?」

「ふむ、興味が湧いたから、かな」

「興味?」

「そう、君の様子を見ていたら興味が湧いた」

さらに少女は言葉を紡ぐ。

「君はここの住人はもちろん、友人で勇者のシンク君だっけ?彼にも浅い所でしか接していないな。君は誰にも心の内をさらけ出さないし、誰の心の内にも入り込まない。何故だ?」

少女の言葉は鋭くなり俺を深くえぐっていく。

「・・・・・・・・・・・・俺の両親は殺されたんだよ。最も信頼していた助手に」

「ほう、それが、君の人を信用しない理由か」

「まぁ、それだけじゃないんだが、根本的な理由はそこかな」

少女を見上げながら瞳を真っ直ぐに見つめた。そして少女が次の言葉を出そうとした瞬間

「駿殿〜〜!!」

ダルキアンさんの声が森に響いた。どうやら追って来てくれたらしい。

「ふむ、どうやらタイムアップらしいね。それなら」

そう言って少女はこちらを指さした。その瞬間、俺の胸元を黒い何かが貫いた。

「なっ!?」

「プレゼントだよ。また会えることを楽しくにしておくよ」

少女はまた黒い影になってその場から去っていった。

「駿殿!」

少女と入れ替わりに森からダルキアンさんが現れた。

「大丈夫でござるか?」

「はい、あいつも何処かへ去っていきましたし」

俺は少女が去っていった方向を見ながら答える。一体何だったんだ?

結局何も分からないまま、俺はダルキアンさんの申し出を断ってここで暫く休むことにした。ライジングモードで肉体的に、さっきの話で精神的にボロボロだったんだ。

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