最近昔の夢ばかり見る。そして今回は走馬灯に近かった。
先ず見たのは家のリビングで血だらけになって倒れている父さんと母さんの姿にそこで立っている殺し屋の姿。
次に見たのは親戚の家で暮らすことになった時の記憶、俺は自室で本ばかり読んでいた。
今思い返せば、俺がこんなにも謎と言うものを好きになったのは唯単に色んな物から逃げる為だったかもしれない。
それ以外にも色々な記憶を旅した。神童だった俺に歩み寄ってくる学者達、未来のコネを作りたいのか知らないが俺と友達になりたがる奴ら。
俺はそういった人間と接してどんどんと人間不信なった。心を閉ざして、自分を隠した。人と話す時も読んだ本の言葉使ったりして俺を完全に消していた。
なら何故、俺はここで、フロニャルドで人と接している?・・・・・・いや、分かっているんだ。俺は中途半端なんだ。たくさん裏切られてもまだ人を信用しようとしている。
だから俺はシンクと旅行しようと思ったんだ。一番近くて信頼出来るかもと思ったから。でもまだ駄目だ。俺は裏切られることが怖い。
そしてまだ親を殺した助手を恨んでいる。
信用したいが信頼出来ない。許したいが憎しみは消えない。俺は心を開きたいのに鍵を見失ってしまった。
なら俺はどうすればいい?分からない。どれだけ考えても分からない。
答えはまだ出ないでもフロニャルドにいれば答えが見つかるかもしれない。俺の中に無いなら外部から見つければいいだけだ。だからゆっくりでいいからここの人達と接していこう。
そうすればいつか・・・・・・・・・・・・
*
俺が目を覚ますと空は晴れていた。どうやら魔物が倒された様だ。
俺は立ち上がり一度背伸び、その後にもう一度上を見上げた。すると空には紫色の光の柱が点に向かって伸びていた。
「・・・・・・・・・・・・あそこかな」
俺はゆっくりと歩き出した。そう言えば最初にここの人と会ったのもこういったシチュエーションだったな。歩きながらここでの思い出を巡らせる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?俺全然活躍してなくない?てか戦にも全然参加していなくない?これは・・・・・・色々と大丈夫かな?
謎の不安だけが募る間に光の元に辿り着いた。そこにはダルキアンさんがいた。
「ダルキアンさん、お久しぶりです」
「おぉ、駿殿。起きたでござるか」
ダルキアンさんが言うにはどうやら魔物を封印し終えたらしい。
これで今回の事件は一件落着、みんな元の関係に戻ると思う。
「はぁ、俺全然活躍出来なかったな〜」
「いやいや、駿殿があそこで真相を見事に見抜いたからこそ、拙者達は魔物を封印出来たでござるよ」
お世辞どうも。俺はそう言った。
そしてダルキアンさんにさっきの奴のことを訊くことにした。もちろん、深い所は喋らない。人間そんないきなり勇気は出ないのだ。
するとダルキアンさんは一度あごに手をついて考えた。
「・・・・・・成る程、魔人か。拙者も初めてな上、分からないでござるな」
「そうですか。まぁ、それならいいんです。ビスコッティが勝ったんですから今日は宴ですし、楽しみましょう」
こうして俺の初陣は幕を閉じた。結果は撃破数2人、魔物出現よりは一切の行動無し。表でも裏でも目立った活躍無し。俺って主人公なんだよね?これ、なんなの?