小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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宴、というより祭りは盛り上がっている。俺も撃破でもらったお金(まぁ、全然無いのだが)を惜しみなく使い、出店を食べ歩いた。どれも美味しかった。そんな風に祭りを楽しんだ俺は一休みがてら、森に入った。しばらく歩いて森を抜けた時、横に人がいた。

「あれ、レオ様?」

そこには1人たたずむレオ様がいた。

「おぉ、確か駿だったな」

俺はレオ様に許可をもらってから隣に座る。

「はい、どうしたんですか?」

俺がそう訊くとレオ様は素直に話してくれた。どうやらミルヒオーレさんと仲直りしていたらしい。

そしてそれを聞いてミルヒオーレさんとレオ様の関係が気になったことが俺の運の尽きだった。

レオ様はそう訊いた瞬間、目を輝かせて思い出とミルヒオーレさんの魅力を語ってくれた。レオ様はまるでマシンガンの様に喋っていく。止まらない、息継ぎがない。止めれない、レオ様が活き活きとしている。成る程、ミルヒオーレさんがレオ様のことをとてもいい人というのは分かる。こんなにもミルヒオーレさんに溺愛しているのだから。

「す、ストップ!レオ様、ストップ!」

「むぅ、なんじゃ?まだ半分も話しておらんぞ」

まだ半分もいってなかったのか。もうお腹いっぱいなんだけど。

「レオ様、もう少しでミルヒオーレさんのコンサート始めるんじゃないですか?」

「本当じゃな。しょうがない、話の続きはまた今度にするか。お主はうちの国にくるからな」

「はは・・・・・・楽しみにしておきま〜す」

そう社交辞令を交わして、レオ様は去っていった。俺も少し経った後、立ち上がり会場に歩き出した。

俺が会場に着くとミルヒオーレさんはもうすでに歌っていた。ステージは四角い箱で形成されている。

「綺麗だな」

ミルヒオーレさんは凄いな。あんなにも輝いている。年で言えば俺より下のはずなのに一国の姫を努めみんなを導き、ああやって歌姫になって人々に元気を与える。立派な人だ。

俺がそんなことを考えているとステージの前方に大きい草の茎の様な物が生え出した。

俺はそれに完全に見惚れ、何も言えなくなった。それがなんでなのか分からない。でも言葉が出なかった。

そして気がつくと涙が出ていた。あれ?俺ってこんなに涙脆かったっけ?

俺は涙をこぼさないために上を向いた。上には涙で見えにくかったが、狐が空を駆けていくのが見えた気がした。

事情が分からない俺には分からない。でもあれは何か特別な物があることとそれはあの狐がやったってことだけは分かった。

少し疲れたな、やっぱり。部屋に戻るか。

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