そう思い、廊下をとぼとぼと歩いているとふらふらしているリコッタを見つけた。
「リコッタ?」
「・・・・・・駿様?」
なにやら元気がない。どうしたものか?
「何かあったのか?」
「それは・・・・・・・・・・・・」
リコッタの話によるとどうやら帰還方法が分かったらしい。だがその帰還方法がこっちで手に入れた物や記憶を持ち帰れず、二度とこっちに来れないらしい。
「成る程・・・・・・・・・・・・リコッタ、こっちの資料で他の送還方法は?」
「これから探すであります」
「なら、俺もガレットの書斎で探してみるよ。それとリコッタ、お前はこのことをシンク以外には話すな」
「な、何故でありますか!?」
みんなを不安にさせることはなるべく避けたいし、まだ他の方法が見つかるかもしれないし、とリコッタに話した。そして最後に
「シンクもそう言うと思う」
と伝えた。するとリコッタも首を縦に振り
「・・・・・・・・・・・・わかったであります」
と答えた。
シンクパワー恐るべし。
*
リコッタとの会話後、荷物をまとめてある場所に向かった。
向かった場所はミルヒオーレさんの楽屋、問題も解決したのでガレットに行くためにビスコッティ領主に一挨拶入れておくからだ。
「すいません」
「はい、なんでしょう?」
中から聞こえた声はミルヒオーレさんのものではなく秘書のアメリタ・トランペのものだった。
「アメリタさん、ミルヒオーレさんと少し話せませんか?」
と訊いてみたものの、答えはノー。どうやらさっきコンサートが終わったらしく、まだ少し時間がかかるらしい。
どうしようか?アメリタさんに伝言してもらうか?いや、それじゃ駄目だな。
「それじゃ、待ちます。時間はあまりとらせませんのでお願いします」
アメリタさんが気をきかせてくれたようで、待って数分、ミルヒオーレさんが小屋から出てきた。
「駿さん、どうかされましたか?」
「少し急ぎの用事が出来て今日からガレットに行くので挨拶をと思いまして」
「そうですか。また遊びに来てくださいね」
はい、と言って俺は走り出した。次はレオ様だ。今日から住む国の領主にも挨拶はしておかないと。
小屋から少し走ってレオ様を発見。どうやらコンサートが終わったのでガウルやジェノワーズの3人と話していた。こりゃ、ちょうどいい。
「レオ様、少しいいですか?」
「む、どうした。さっきの続きか?」
「いえ、違います」
即答だった。我ながら凄まじい速度だった。ライジングモード無意識に使ったのかなと思うくらいだった。そして変に追撃される前に本題に入る。もちろん、全部は言わない。ガレットの書斎の本が読みたいとだけ言った。
「うむ、もちろん、了解だが場所は分かるのか?」
「あぁ・・・・・・・・・・・・分かりませんね」
「では案内役を付けよう」
おぉ、これはありがたい申し出だ。
「で、誰にする?」
「じゃぁガウr「ガウルは駄目じゃぞ」・・・・・・・・・・・・なら、一番書斎に詳しい人を」
本当にこのレオンミシェリ閣下の性格が分からない。一体何がしたいんだ?
「なら・・・・・・ノワール。お主が着いて行ってやれ」
「分かりました。レオ様」
あぁ、断るという選択肢はないのだろうか。ないだろうな、きっと。
「なぁ、ガウル。お前の姉さんなんなの?」
「なんか、すまねぇ」
ガウルが代わりに謝ってくれた。成る程、案外2人で成り立っているのかもガレットは。
「それでは駿よ。セルクルを用意するのでしばし「いえ、いいです」・・・・・・どういうことじゃ?」
そう言って俺は輝力集中、足元に紋章が現れて、雷が俺を包んだ。
「おぉ、バチバチやないか」
バチバチって言うのはやめて頂きたい。ライジングモードという名前があるんです。まぁ、言ってないから知らないのは当たり前だが。
「よし、さぁノワール乗って。走るから」
もう決まったものはしょうがない。ガレットの書斎の大きさは分からんが走って損はないだろう。
「・・・・・・・・・・・・え?」
俺がおんぶの姿勢になって言うとノワールが固まった。?、どうしたんだろうか?よく見ると他の人達も固まっている。
「ノワール、少し急ぐんだ。だから」
「きゃ!?」
こっちは少し急ぎたい気持ちもあるわけで俺は固まっていたノワールを抱えた。まぁ、俗にいうお姫さま抱っこと言うやつだ。
「よし、バス〇ーズ、レディ・・・・・・ゴー!」
2011年に生きる俺が何故知っているかって?知らんがな。