俺のライジングモード、出力を抑えることが出来る。実際、出力30%くらいでシンクのジェットボードに追いつける。流石雷だね。でも70%いくと体が持たない感じがするから実質使える範囲でいうと半分以上なわけだが。
そんな感じで俺は現在ビスコッティからガレットの道を走っています。ノワールをお姫様抱っこで。
「駿、なんでそんなに急いでるの?」
どうやら、お姫様抱っこにも慣れたらしく、ノワールは俺を見上げながら訊いてきた。
「あぁ・・・・・・・・・・・・少し言えないんだけど。まぁ、事情があるんだ」
俺がリコッタにああ言った以上は俺が話すわけにはいかない。ノワールにはすまないがここは黙っておこう。ノワールも分かってくれたようで頷いてくれた。
ものの十分程度でガレットの城に到着、ノワールの案内で書斎にも着いた。
「うおっ、でかいな」
「うん、ビスコッティに負けない」
さて、どうするか?出来るだけ早く終わらせたい。シンクが帰るまで後4日。今日と明日と明後日とで明々後日には帰るんだ。つまりタイムリミットは明日と明後日となると言っても過言でない。
「案内ありがとう、ノワール」
「ううん、別にいいよ。手伝おうか?」
「う〜ん、大丈夫だよ」
俺はそう言ってノワールの頭を撫でた。
「ん、駿って撫でるのうまいね」
そうなのかな?リコッタにも言われた気がするな、そういえば。
少しなでなでを堪能してからノワールは書斎を後にした。俺は出ていくノワールに手を振ってから改めて本棚と向き合った。
時刻は11時、シンクが帰るのは明々後日、なんだまだ50時間近くあるじゃないか。って言ってもこの量なら明日の7時には終わるがな。
俺はそんなことを考えながら目の前の本を手にとった。
*
徹夜の結果は・・・・・・・・・・・・駄目だった。本棚を全てひっくり返しても何も出なかった。いや、本当を言うといくつか本を読んでリコッタのいう送還方法は見つけれた。俺は本棚にもたれかかってそのままずるずると床に座り込んだ。
「はぁ、やっぱり無理か」
一応俺は神童と呼ばれてたんだ。もしかしたら何も見つからなくとも新しい方法を編み出すことが出来るかと思っていたが、無理だった。
「そりゃ、リコッタ達が14日間探してたんだ、8時間程度で見つかるわけがないよな〜」
だが、諦めるわけにはいかない。リコッタはたぶん、俺を信じてくれているんだ。それに応えたいと思えたんだ。ここで諦めたら俺は、昔と何にも変わらない。
「ん?封筒?」
座りこんだ手元、いつの間にか封筒があった。たぶん本の間に挟まっていて、さっき落ちたのだろう。集中していて気がつかなかった。その封筒を持ち上げて裏表を確認する。そこには
勇者について
「これは・・・・・・え?」
何かのヒントになると思い、リコッタの所に行くために立ち上がろうとしたが逆に横に倒れてしまった。そういえば、戦開始からずっと精神的にも肉体的にもやられっぱなしだったな。
「くそ・・・・・・」
体が全く動かない。腕どころか指一本動かなかった。