体が動く様になったのは17時半だった。俺は直ぐに立ち上がりビスコッティへ向かった。流石にそこまで体力は回復していなくセルクルに乗ってだったので思いのほか時間がかかった。
ビスコッティに着いたら直ぐに書斎に入る。すると中には泣きながら調べものをするリコッタの姿があった。
「駿様?」
「リコッタ、これ!」
俺はガレット書斎で見つけた封筒をリコッタに渡した。
「これは?」
リコッタは封筒を受け取り、ひっくり返して絶句した。そして直ぐに封筒を開けて中の手紙を確認する。
そこにはリコッタが見つけた送還方法は勇者と召喚主が関係を拒んだ場合であり、条件を満たすことにより再召喚が可能な一時送還に変更出来ると書いていた。
その条件は3つ。
最初の帰還から再召喚までは91日以上空ける
召喚主以外の3名以上に、また来るという誓約と共に勇者の身につけていた物を預けておく
召喚主に対しては、勇者と召喚主の名前が書かれた約束の書と誓約の品を渡しておく
それを一通り読んだリコッタはまた泣き出した。
「リコッタ?」
「駿様、本当にありがとうであります」
リコッタは持っていた紙を握りしめて泣きながらお礼を言った。
「俺がやったんじゃないよ。元からあったんだ」
「いえ、今の駿様を見たらどれだけ頑張ってくれたかわかるであります」
「そういうものなのか」
「そういうものであります」
久しぶりにリコッタの笑顔を見せてくれた。うん?なんだろうか、これは?
「よ、よし、リコッタ。シンクのとこいこう」
俺は何かを誤魔化す様にそう言った。
「はいであります!」