小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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魔神は俺の中の一部が反応してどこにいるか直ぐに分かった。到着すると魔神はこっちを見た。

「よぉ、魔神」

そう言ってみたが魔神は返さない。喋れないらしい。だがその代わりに

ぎやぁぁぁああああ!!!

雄叫びを上げて答えた。と同時に尖った四本の指を収束してこっちに突き付けた。

「うおっ!」

俺はそれを間一髪避ける。そして持っていたタイタンソードで腹部を切りつけた。だがそこが直ぐに再生。どうやらこれだけじゃダメージは通らないらしい。

「ちっ、なら!」

俺は切りつけた勢いで魔神から距離を取ってから右手を掲げた。

「エルディーナ!」

そう叫ぶと右手に黄色と黒で装飾された火縄銃の様な銃が出現、それを魔神に向け、引き金を引いた。

バシュン!

するとエルディーナから雷が魔神に向かって一直線に放たれた。

魔神もさすがに雷のスピードには負けるようで、直撃して吹き飛んだ。

「よし」

さすがに雷をくらえば・・・・・・・・・・・・、そんなフラグを思ったら、魔神は傷一つ付けず立ち上がった。

そしていつの間にか首を締められていた。

「がっ!ぐ・・・・・・・・・・・・」

くそっ、意識が・・・・・・・・・・・・。

『俺の一部を返せ!』

その瞬間、頭の中にそんな声が響いた。これは、魔神の声か?

「この!」

俺はなんとか顎に銃口を向けた引き金を引いた。

バシュン!

すると頭が吹っ飛び、俺の首から手が離れた。

「がはっ!はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

しかし、さっきの声は?

もしかしてこいつが完全体になれないのって、俺が一部を持っているからか?エルディーナはそれの保険で俺に?

「なら、倒す方法は、これしかないな」

俺はある一つ決意をした。それだけでいい。それだけであいつに勝てる確率はグンと上がる。

その決意をした瞬間、俺の周りにはあいつと同じように黒い禍々しいオーラが発生した。そして見えないから分からないがたぶん目は赤色に、髪は腰あたりまで伸びた。

これが本当の魔人化か。

俺は2、3度手を握ったり開いたりする。力が湧き出てくる。だがこれで勝てるとは思っていない。ここからが作戦の本番だ。

「紋章術、アブソーブ!」

そういうと同時に俺の手から一本の輝力の糸が現れて、たった今立ち上がった魔神に刺さった。

これは相手の輝力を吸収する紋章術。つまりここからは魔神との綱引きだ。

「おりゃあ!」

俺は一気に勝負を決めるために魔神の力を大量に奪い取った。しかし魔神もやり方を分かったらしく、こっち以上の力で輝力吸収を始めた。

『人間は醜い。誰もが誰かを憎み、妬み、恨んでいる』

そんな声が聞こえてくる。どうやら魔神の声らしい。

「うおっ!?」

その言葉を聞いた瞬間、力が一気に増した。くそっ、あの野郎、負の感情を力に動いてやがるな。

『貴様だって知っているはずだ。人間はそういう生き物だということが』

どうやらエルディーナの中から色々見たり聞いてたりしてたらしい。俺の事情にも詳しいな。

「・・・・・・・・・・・・あぁ、確かに人間は醜いよ」

自分の利益の為に人を陥れたり、最悪の場合殺したりもする。いつも自分ばかりで人を助けるのだって恩を売るためだ、そう思っていた。

「だけど、人間はそれだけじゃない!自分の利益が無いのに他人を助けたりも出来る。俺はこっちに来てそういう人達にもあった」

ガレットのみんなもビスコッティのみんなも誰もが他人の為に頑張っていた。そしてエルディーナもこの世界を守るために一人魔神を背負って何百年も生きてきた。

俺もそうなりたい。俺も誰かを無償で助けれるそんな人間になりたい!

「だから俺は、お前を倒して誰も信用出来ない自分を卒業する!別に誰でも信用出来なくても、せめて友達だけでも信用出来る俺になる!」

俺は叫びながら糸を引っ張った。すると魔神の胸元から大きな光が糸を伝って、俺の指にはめられていた宝剣に吸収された。そしてそこでアブソーブは切れた。

「うおっ!?」

俺は力よく引っ張りすぎた俺は後ろにこけて2、3回転がった。

「いつつ・・・・・・なんだ?」

頭を押さえつつ、指輪を見ると形が変わっていた。薄汚れていたフレームは綺麗になっており、真っ黒だった宝石はダイヤモンドの様に輝いていた。

これは、まさかあいつの中にあったアルティウムがこっちに?

それを証明するように魔神は明らかに弱っていた。

「これならいける、エルディーナ・アルティウム!」

俺はまた右手を掲げて、安直なネームを叫んだ。すると先ほどとは違う銀一色の銃は現れた。

「アルテマ・キャノン!」

引き金を引いた瞬間、銃口からは雷撃ではなく、黒い輝力が放たれた。それは弱った魔神に見事に命中、木々を薙ぎ倒しながら魔神は跡形もなく消えた。

そして俺は喚起の声を上げた。

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