・疑問点の補足的な小話。
さて魔神騒動も終わって2日が経った。
俺自身結構変わった。
まず、みんなの呼び名が変えた。これは一応新しい俺の誕生の区切りとしてやったことだ。これくらいのことなのだが喜んでくれる人は喜んでくれた。
次に魔神について。魔神の輝力は俺の輝力と混ざって1つになっているらしい。だが元々俺の生命力とは別なのでうまく操れない。なので毎朝座禅を組んで輝力として馴染ませることにした。
まぁ、他にも髪の毛が伸びたとか目が赤いままとか微々たる変化はいくつかあるが主な変化はこれくらいだろう。
「私とのキスで変わったことはないのか?」
「は?」
こっちの心の声を勝手に聞かないでほしい。
ここはガレットの城の俺の部屋、何故か毎日ドルチェは俺の部屋に来て、こうやって世間話をして帰っていく。
「何故かってそりゃ、好きだから?」
「人の心を勝手に読むな。って好き?いや、意味がわからん」
こいつはどこか掴みどころがない奴だ。だからこんなこと言ってもまず信用しない方がいいだろう。ってこいつにはこれも読まれているのか。
「全く君は・・・・・・・・・・・・」
あれ?もしかして俺、これ喋る必要なしか?なんか便利だな。
「わかった。この能力は封印するよ。だからちゃんと喋ってくれ。これでは私が独り言を言ってる変な人になってしまう」
「わかったよ。それで俺が好きってなんで?」
「そんな感じで訊くのか・・・・・・まぁ、言っちゃうと、ひ、一目惚れだよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「そすっか」
「軽いな!?君もう少し深く聞かないのか?」
どうやら訊いてほしいらしい。
「で、一目惚れって・・・・・・・・・・・・あれか魔物騒動の時か」
「そうだね。あの時一目惚れしたから私は君に魔神の欠片を渡した」
一目惚れして魔神の欠片を・・・・・・おかしくないか?それってあれだよな。好きな人を魔人にして一生2人だけで生きていく気だったのか?それって俗にいう心中って奴じゃ・・・・・・・・・・・・。
「お、そうだ。そういえば俺はお前に訊きたいことあったんだ」
「なんでも訊いてくれたまえ」
魔神はない胸を張って言った。そう言ったら大変怒られた。数十分かけてじっくりと怒られた。
「・・・・・・・・・・・・で、あの本って何だったんだ?」
「何もなかったかのように始めるね。まぁ、いいか。それで、あの本かい?あれは私の友人が作った物でね、私がどうしようとも決して消せなかった物だね」
「つまり、お前はあれに手出しは出来なくて自然消滅を待つしかなかったのか」
「だね。彼女の紋章術はとても私には・・・・・・・・・・・・」
魔神の力を持った魔人にこれ程まで言わすとは余程強い人だったんだな。
「成る程、力が強すぎて周りにも影響が出てみんなも記憶を保てたのか。それでその人って?」
「私が魔人になってから出会った少女、結局忘れられたが本当にすごい人だった、アデルは」
何か遥か昔を思い出すように遠い目をしながらドルチェは言った。それにしてもアデル?これ以上キャラを増やされても・・・・・・。
「まぁ、この話はこれでいいや。後は、なんでエルディーナって名乗ったんだ?」
「う、そ、それは・・・・・・・・・・・・恥ずかしかったから・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、何回沈黙するんだよ。
「いや、それだけじゃないんだ。あの時私は実質エルディーナだったし。ドルチェというのは魔人になった時点で捨てた名だったから」
いやいや、そんな最もな理由があるならそれをまず言おうよ。
「それで、ドルチェって何者?」
「ズバズバいくね〜。私かい?何故、エルディーナを持っていたかを考えれば分かるんじゃないのかい?」
「あの国の関係者、宝剣持っているから・・・・・・あれか?砲術士のリーダーか?」
確か軍事記録にはエルディーナ使うのは砲術士だって書いていた様な・・・・・・。
「違うよ。大体君は私の日記見ただろ?」
「は?えっと、つまりお前はあの国の領主の妹?」
「正解」
本日3回目の沈黙。
「え、えぇぇぇぇええええ!!?」
「な、何をそんなに驚いているんだ?」
「いや、だってキャラとか全然違うし。え?え〜〜・・・・・・」
あの日記の主はこう、なんというか、物静かで虫も殺せないような感じがしたんだが。
「いや、人間何年も生きれば性格変わるよ」
「あぁ・・・・・・まぁ、そうか」
俺も結構性格変わったしな。
「それじゃ、最後に俺って魔神になったよな?あれって悲しみとか憎しみていう負の感情で出来る存在だろう?なのに俺はほら、この通り。どういうことなんだ?」
なんかあれを吸収したなら俺の中で負の感情が渦巻いて俺が崩壊するんじゃないのかと思ったが、俺は特に何もない。
「君は10年近く、負の感情に触れてきた。しかも他の人間とは比べ物にならないくらいのものを」
確かに思い出してみたら同年代の奴らからはいつも妬みを俺自身は親を殺されて悲しみや憎しみが渦巻いていた。
「そんな体験をすれば人はそれに飲まれて人でなくなる。でも君はどうだ?人からいくら阻害されようと信頼を忘れなかった」
俺が信頼を忘れなかった、シンク達だけは信じようとかんがえていたことか。
「絶望をした人間でありながら希望を持っている君にはあの程度の負の感情、大したことなかったのだろう」
「ふぅ〜ん、でも俺拒絶反応起きたよな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
え?何その沈黙?俺何かやばいこと訊いた?
「知らない」
「え?」
「ええい!知るか!私だって魔神継承は初めてだったんだ!あの時はああだったが結構焦ってたんだよ!」
なんだ、逆切れされた!?
「だから、私も知らん!これ以上魔神現象については訊くな!」
と、結局ドルチェは切れた上に曖昧な答えで終わらした。納得するにも少し決定打に欠ける気もするがこれ以上はどう訊いても答えてくれないだろうからしょうがないか。
「・・・・・・ところで私から質問いいか?」
大体聞き終えた時点でドルチェがそう言った。もちろん、これだけこっちが質問したからOKと言った。
「なら、君は恋とかしないのか?」
いや、そんなに顔を真っ赤にするなら訊かないでほしい。
「でも恋か・・・・・・・・・・・・」
前に言った気がするが、恋というのはお互いが信頼しきった人間に起きる現象で俺には早い気がする。でも俺は魔神になって人を信頼出来る様になってきて・・・・・・。
「いや、まだ恋ってのは分かんないな」
「そうか。なら・・・・・・ここで私が教えてやろう」
ドルチェがそう言った瞬間、俺は極寒に置いてかれた様な寒気を覚えた。そして背中に嫌な汗をかいて、椅子から立ち上がった。だがそれが失敗だった。
気づくとベッドにいたはずのドルチェは俺の目の前におり、一歩ずつこっちに近づいてきていた。俺もそれに合わせるように一歩ずつ下がってしまう。そして気がつくとベッドにまで追い詰められていた。だがドルチェは止まらない。そのまま俺は押し倒され・・・・・・・・・・・・その後はご想像にお任せしよう。