小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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・恋愛とは・・・・・・


「好きって何なんだろう」

「はぁ?」

ここはガウルの部屋、俺はベルが出してくれたジュース(一度こぼされかけた)を飲みながらふいに呟いたのだが、ガウルはそれに対して何を言っているのか分からないという顔をした。

「どうしたんや、いきなり?」

ガウルの代わりにジョーが訊いてきた。

「いや、ドルチェに異性として好きだと言われてな。でも俺はいまいちそういうのが分かんないっていうか・・・・・・」

恋愛感情いうものがまだ全然分からない俺はそういうことを言われても反応の仕方が分からない。

「で、なんでここに来てそれを言ったんだ?」

「なんでって、そりゃ、女の子3人も直属親衛隊にしているモテモテガウルさんに是非とも恋愛をご教示してもらおうと」

「なっ!」

そういうとベルは慌てだしてこけた。なんだか、あわわわ言っている。ジョーとノワは顔を少し赤くして喋らなくなった。

「お前、別にこいつらとはそんな・・・・・・」

「え?違うのか?てっきりゼェノワーズってのはガウルを好きな女子で作られたものだと思ってたんだが」

たぶん、美少女と呼べるであろう少女を3人も配下に置いているからてっきり・・・・・・・・・・・・。

「と、とにかく!そんなんじゃねえって」

「そうか・・・・・・・・・・・・」

「そ、そうですよ。駿君何を言ってるの!」

俺は自身の恋愛感情は全然分からないのだが、母が残していた少女漫画から恋愛ってものは知っている。そこから察するに、あの反応は怪しいな。

まぁ、人のそういうのを勘ぐるのはいけないのでここらでやめておこう。

「ん〜、それじゃみんなは誰が好きなんだ?異性として」

「駿、そういうのを直接訊くのはデリカシーが無いって言うよ」

いつもと変わらない口調、特に変化のない表情でノワから放たれた言葉はどこか逆らったら死を覚悟しなければいけない気がした。

「イ、イエッサー・・・・・・今後気をつけます」

そういえば聞いたことある。男性は女性にはどうやっても勝てないと。ノワはもしかしてその言葉に当てはまるんじゃいか?

とりあえず、今日のノワは怖かった、それは魔神に匹敵するくらい。

*

ガウルの部屋を後にして俺はビスコッティ遊びに行くことにした。急ぐ理由はないのでセルクルでゆっくりと向かう。道中は少し暑くなっており、季節は巡り始めていることを自覚させられる。

ビスコッティに着くと俺はいつも通り書斎に向かう。辿り着くとリコは見当たらなく何人か研究士がいた。

「あ、駿さん。お久しぶりです」

「久しぶりって、来たの3日前だろ」

研究士の1人、確かアイサだっけ?が話しかけてきた。俺はこういうのが慣れてきてアイサの頭を自然と撫でた。

「あぁ・・・・・・。駿さんは撫でるの上手ですね」

「そうか?っていうか撫でるのに上手いとかあるのか?」

「ありますよ。駿さんのなでなではすっごい気持ちいいですもん」

気持ちいい?なでなではそういうものなのだろうか?モヤモヤ解決の為に来たはずがモヤモヤが増えてしまった気がする。

「そういえばリコは?」

「また主席ですか?」

アイサは不満そうに頬を膨らませながら言った。どうしたんだ?

「ああ、今ちょっと分からないことがあってな、リコにも訊きたかったんだが・・・・・・」

「それなら私にも訊いてください。答えられるかも」

「お、そうか。ならお言葉に甘えて・・・・・・恋ってなにかな?」

言った途端、アイサは完全に固まった後、カァ〜という効果音が聞えてきそうなくらい顔を赤くした。

「ど、ど、どどどうしたんですか、いきなり!?」

「ん?いや、ドルチェっていう奴に好きだって言われてんだがいまいち分からないからこうやって訊いてまわってるんだ」

「駿さん、告白されたんですか!?」

アイサはグイッと俺の顔に顔を近づけて大声で言った。

「うおっ!?ま、まぁ、そうなるのか・・・・・・」

告白、母さんの少女漫画に載っていたな。そうか、そういえば俺はあれをされたんだな。あれをされた男子は・・・・・・・・・・・・あれ?なんか鼓動が早くなったり、顔が熱くなったりするじゃなかったのか?全然何にもない。

「で、返事は?返事はどうするんですか?」

「返事、今は俺自身恋愛ってのが分かんないし、保留かな?」

「そうですか・・・・・・」

話はここで終わった、というよりここで扉が開いてリコが帰ってきたので半強制終了気味だった。

「あれ、駿様?どうしたでありますか?」

「おお、リコ。実は恋について訊いて回ってたんだ」

「こ、恋でありますか?」

リコは少し頬を赤らめた。なんか、みんな似たような反応をするな。リコが少し黙るとアイサは何かを思い出したようにしてから一言言って去っていった。
「それでさっきの質問だけど・・・・・・」

「そ、そうでありますね!う〜ん、そういうのものって考えても分からないと思うでありますよ」

「考えても分からない?」

そんなものが存在するのか?全ての物は考えれば分かると思っていたのだが・・・・・・・・・・・・。

「そうであります。考えなくても気がつくとそうなっているのだと思うであります」

気がつくと恋に落ちている。う〜ん、まだいまいちよく分からない。

「う〜ん・・・・・・リコはそういうのあるのか?」

「駿様、デリカシーって言葉知っているでありますか?」

なんか感じたことのある恐怖を感じた。

*

続いて訪れたのは風月庵、年長者の意見を聞こうと考えたからだったのだが・・・・・・・・・・・・。

「恋ってなんでしょうか?」

と訊いたのだが

「う〜〜む、分からないでござるな」

とダルキアンさんの答え

「拙者も恋はあまり・・・・・・」

とユッキーの答え

と、まぁ、結局何も分からず、縁側でいつもの感じでお茶を飲んで落ち着いていた。

「それにしてもどうしていきなりそんなことを知りたいのでござるか?」

「あ、それは・・・・・・・・・・・・」

と俺は先ほどしたような説明をダルキアンさんとユッキーにした。

「それで、駿殿はドルチェ殿と付き合うのでござるか?」

なんか文字だけではダルキアンさんとユッキーが見分けにくい気が・・・・・・・・・・・・ん?あれ、なんか変な電波が・・・・・・まぁ、いいか。

「う〜ん、俺はドルチェを好きかと言われればどうか分からないですから今のところはノーで」

好きでもない人間と付き合う、そんなことを高校にいた時に周りがやっていたとか小耳にはさんだ気もするのだが、それの意味が分からない。

「・・・・・・・・・・・・なぁ、ユッキー。ここで俺がお前を好きだって言ったらどうする?」

「へ?」

「ほう」

お、ユッキーが赤くなった。そしてダルキアンさん、面白くなってきた的な感じで目を輝かせないでほしい。

「・・・・・・・・・・・・そう言われると拙者も分からないでござる」

「そうか」

湯のみを置いて縁側から空を見上げる。そこには俺の悩みなどちっぽけに感じるほど、大きな青空が広がっていた。あぁ、このセリフを本当に言うことになるとは・・・・・・。

「駿殿、恋というのは考えるものではないと思うでござるよ」

「へ?」

唐突にダルキアンさんが言った。考えることではない、なんかそんなこと聞いたか見たかで覚えがある気がする。

「たぶん、気がついたら落ちているものだと思うでござる」

リコと似たような答えだった。もしかして、あれか?常識なのか?この考え方。

「たぶんって、だ・・・・・・」

ルキアンさんはそういう経験はないんですか?と言おうとしたのだが声には出なかった。何故か喉もとに鋭利な刃物を押し付けれてる感覚がしたからだ。俺の少ない本能がこれ以上は言うな、と言っているからだ。

「どうしたでござるか、駿殿?」

「いえ・・・・・・・・・・・・」

とりあえず、風月庵ではデリカシーの意味が少し分かった気がする。

*

結局恋というものは分からなかった。

ミルヒオーレさんに訊いてみればシンクが好きだと言われたが、何故と訊いたら、ダルキアンさんやリコと似たような答えが返ってきた。

エクレに訊いてみれば顔を真っ赤にしながら切り付けてきた。

ガレットに戻ってレオ様に訊いてみたら、今度ご教授してくれるらしいが、期待が出来ない。レオ様は恋したことあるのだろうか?

そうして時間は過ぎていき結局何も分からず、俺は自室のベッドで寝転んでいた。

「分かったかい?恋について」

「分からん」

気がつくと横にはドルチェがいた。こいつ、魔人じゃなくなったくせになんで能力が所々残ってるんだ?

「ふふ、まぁいいよ。ずっと私は君がそれに気がつくのを待つよ」

「それはありがたい」

と突然ドルチェは俺に抱き着いてきた。俺はそれを受け止めれず後ろに倒れこんでしまった。

「むしろ、私が気づかせてあげるよ」

こうして今日も夜が更けていく。この後、ドルチェはすぐに寝てしまい、俺は身動きとれず、寝るしかなかった。

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