小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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・戦興業

魔物騒動、俺自身は魔神騒動の方があって忘れかけていたが、フロニャルドにとってはとても大きな事件だった。レオ様はその時の戦興業を一度中止し、また改めて行うことにした。そうして今日5月20日、ついに戦が開かれることになった。

俺は今、ガレットの陣地でレオ様達と共に開戦を今か今かと待っている。

「駿、すごいそわそわしてるね」

「当たり前だろ、ノワ」

俺は魔神になっての初陣の上にガレットでの初陣なのでとても楽しみなのだ。正直、待ちきれない。こんな気持ち初めてだ。

そうやってずっとそわそわしているとレオ様が椅子から立ち上がり、カメラに向かった。映像ではミルヒオーレさんも同じ様にしていた。

「これより、戦を開始する!」

『おおぉぉぉおおおお!!』

戦が始まった。国民はみんな声を上げて一斉に走り出した。

「それじゃ、俺たちも行くか!」

「ああ!そうだなガウル。来い、サンダーバード!」

そう言うと俺の目の前にバイクが現れた。

サンダーバード、俺がシンクのトルネイダーを手本のして作り出したライジングモードに変わる移動手段だ。ライジングモードは疲れるからバトルの時だけ使うことにした。

「なんだそれ?」

ガウルは興味津々で訊いてきた。そりゃそうか、バイクなんてこっちには無いもんな。

「これはサンダーバード、えっとシンクのジェットボードの俺版だ」

とは言ったものの、ガウルってトルネイダーの存在知ってるのか?そんな心配もする必要がなかったようで、納得してくれた。

「それじゃ、行ってくる」

「おう」

俺はサンダーバードに跨りエンジンをかける感じでハンドルを回し、輝力を注ぐ。するとサンダーバードは景気いい音を鳴らした。そして黒い輝力を出しながら走り出した。

「うおぉぉ!」

イメージでこれを作り出したのだが、実は俺、バイクの操縦を本で読んだだけで運転したことないし免許も持っていない。だけど関係ないよね、ここ地球じゃないし。

ということで、俺はフロニャルドをサンダーバードで駆けるはずが、実践がない人のことペーパードライバーとかいうんだっけ?俺もそれだから運転はまだ安定していない。その上に道は舗装されてないのでまともに走れない。

「ちっ、ならこれだ!」

そう言った瞬間、サンダーバードの後輪部分が光に包まれて羽に変わった。これがサンダーバードタービュラーモード、気づいた人がいるかもしれないが、Wのハードボイルダーです。まんまですね、すいません。

だがこれでバイクではなくなったので俺はさっきより運転が安定した。

「ふぅ・・・・・・・・・・・・」

これでフィリアンノ城まで行けるな。そう思い、ハンドルを勢い良く回した瞬間

バシュ!
「え?」


前から紋章砲が飛んできた。

「ぐっ、この!」

俺はハンドルを切り、間一髪で避けた。だがそれでバランスを崩してしまい俺は大きく右へ落ちていく。俺は何とかそれを持ち堪えて危険なく着陸した。だが

「おぉ、駿殿」

ガレット初陣の最初の相手がダルキアンさんってのはハードル高過ぎませんか〜?と言っても逃げるのも失礼だろう。

「・・・・・・お、お手合せお願いします」

「こちらこそ、よろしくでござる」

ダルキアンさんは持っていた大太刀を構えた。俺もサンダーバードから降りて、輝力解放してタイタンソードを発動。形状は少し変わっていて形がはっきりとして刃の部分は金色になっている。ライジングタイタンソードです、またまたすいません。

まぁ、そんなこと気にしてられない。だって相手はダルキアンさんだ。少しでも気を抜いたら一瞬でやられるよ。

「・・・・・・・・・・・・よし!」

もう一度しっかりとライジングタイタンソードを持ち、ダルキアンさんへ切りかかった。まずは普通に縦切り、これは当然ながら避けられる。そしてダルキアンさんは避けた瞬間、すぐさま隙が出来た脇を狙ってくる。

「ライジングモード」

俺もそれは予測していたのでライジングモードを発動、バックステップで避けてからすぐに前へ跳びながら横切りを放った。

ガキン!

だがそれも防がれてしまった。俺とダルキアンさんは鍔迫り合いの様になった。

「中々やるでござるな」

「そりゃ、どうも。でもまだこれからですよ!」

俺がそう言ったと共にライジングタイタンソードが金色のオーラに包まれて金色の大剣に姿を変えた。次はキングラウザーだ。え?一体なにが変わったって?そら・・・・・・姿かたちだろう。それでいいんだ、俺はそれだけでモチベーションが上がるからな。

「おぉ、これはまた見たことない武器でござるな」

「でしょうね。俺の尊敬する人たちの武器ですから」

俺は鍔迫り合い(鍔ないが・・・・・・)から剣先を一気に地面に向けて、切り上げた。がこれも見事に防がれてしまった。その衝撃で俺はダルキアンさんから距離をとった。

「くそ〜、当たらないな。ならこれだ!紋章剣、ロイヤルストレートフラッシュ!」

剣を上に突き付けてそう叫んだ。すると俺の後ろに紋章が現れてそこから長方形状の輝力が5つ出現、キングラウザーへと溶け込んだ。
「うりゃぁぁぁあああ!!」

俺は力いっぱい振りかぶった。斬撃は真っ直ぐにダルキアンさんへと走っていく。

「列空一文字!」

ダルキアンさんも斬撃を放ち、相殺された。

「なら!」

俺のアルティウムはまた形を変える。次に現れたのは青色に黄色い線でWが記されている、トリガーマグナムだ。

「トリガーフルバースト!」

俺はそれをマキシマムドライブ状態(わかる人に分かればいい)にして一回転しながらトリガーを何回も引いた。すると銃口から紋章砲がいくつも放たれて、それは全て曲りながらダルキアンさんへと向かっていった。

ダルキアンさんはそれを難なく避ける。だがこれは追尾型、右に避けられても紋章砲は曲がってもう一度ダルキアンさんを追う。

「ほう、これは面白いでござるな」

「余裕ですね。さすが、ダルキアンさん」

面白い、そう言った通りにダルキアンさんは来る弾を避けて、1つ1つしっかりと撃退している。くそっ、どうする、次は・・・・・・よし、趣向は少し変わるが。

「輝力武装、ブレードチャージ!」

トリガーマグナムはライジングタイタンソードに戻り、真っ黒まオーラを纏った。仮面ライダーに続いてキングダムハーツ、パクリじゃないリスペクトだ。

「りゃ!」

オーラの刃の長さは2メートル弱、それをダルキアンさんに振るう。だがこれも全て防がれる。そこから斬っては防ぎ、防いでは斬る。中々勝負はつかない。というかダルキアンさん笑ってるんですけど、余裕綽々なんでが。

「ダルキアンさん、あなた、強すぎ、でしょ!」

「駿殿こそ、なかなかでござるよ!」

このままじゃ、負けそうだ。そうなったら奥の手でいく。

俺はブレードチャージを思いっきり横に振った。それをダルキアンさんは防ぐ。それは予想通り、その衝撃で俺はまた後ろに跳んだ。瞬間、ライジングタイタンソードはまた姿を変えて銀色の銃エルディーナ・アルティウムになった。

「アルテマ・キャノン!」

銃口から黒い紋章砲が放たれる。周り木々の揺らしてはなたれたそれは一瞬でダルキアンさんの姿が見えなくした。紋章砲が無くなったが砂煙でまだダルキアンさんは見えない。

「・・・・・・・・・・・・」

砂煙が晴れていく。そこにはダルキアンさんの姿は無かった。代わりにあったのは紫色の壁、いや違う、あれは・・・・・・

「神狼滅牙」
ダルキアンさんはたった一言言ってそれを上げた。。あれが神狼滅牙、確かダルキアンさんのみ使える輝力武装。それにしてもでかすぎないか?剣先が見えないのだが・・・・・・。

それがすうぅと振り下ろされ、俺は負けた。

*

「はぁ、強すぎだろ」

武装破壊された俺は陣地に戻り服を着直した後、そこで待機していたドルチェに愚痴をこぼしていた。

「いくらフロニャ力の加護があるからって魔神倒した技をああいとも容易く防ぐって・・・・・・ダルキアンさんまじ強い」

「あぁ、この国は私がうじうじしている間に随分強くなったな」

いや、それはお前の国が弱かっただけ、とは言わない。あ、心読まれてるのかな?

俺は横にいるドルチェを見ている。ドルチェはずっと上空にある映像を見ていた。どうやら本当に心を読むのは控えているみたいだな。

「駿はもう一度行くのか?」

「ん?ああ、まだ楽しみたいし」

俺は一度背伸びをして、映像を見た。今の戦場の一番の見所はなんと言ってもダルキアンさんVSレオ様だ。お互い一歩も譲らぬ攻防によって俺は気づくと食い入ってその映像を見ていた。

すごいな、これは俺ついていけないな・・・・・・。てかこれ見てわかったけど俺と戦った時、ダルキアンさん全然本気じゃなかっただろ。

そうして俺は2人の戦いに焚き付けられてすぐに戦場に飛び出した。

ロランさんは攻撃より防御が強かった。本気で攻撃するのだが難なく防がれてそれで出来た隙を槍で突かれる。それによりぎりぎりだったが敗北してしまった。

エクレは二刀流と紋章剣を駆使した戦い方が見事だった。近距離では攻撃は短剣で防がれて、距離をとると紋章剣で一気に決めにくる、中々の好勝負で俺はなんとか勝てた。

そうやって色んな人と戦って、勝って、負けて、戦興業は無事終了した。結果はガレットの勝利、俺が役に立ったかは・・・・・・うん、まぁ、うん!立ったはずだ、大丈夫なはずだ。

今回の戦興業、俺的な収穫はバイクの運転の練習と毎日の鍛錬が必要だということだった。

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