小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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・魔物

6月1日、5月も終わりそろそろ梅雨が面倒くさい感じがしてくるそんな季節、まだ梅雨ではないらしく雨も降ってないので俺は外で座禅を組んでいた、のだが周りにはガウルとゴドウィンさんが激しい戦いを繰り広げているらしくまったく集中が出来ない。

「あぁ〜駄目だ。今日はもうやめよう」

俺は座禅を崩して後ろに倒れた。そして青い空を眺めた。

「・・・・・・・・・・・・」

「駿、おはよう」

気づくとノアが俺を見下ろして青い空が見えなくなった。

「ノワ、おはよう。どうしたんだ、今日は?」

「今日はお館さまやユキの魔物の調査についていくんだ。駿も行く?」

「行く!」

俺はすぐさま立ち上がり、サンダーバードを発動。ここ数日頑張って練習して乗りこなせるようになった。これで行けばすぐにつくだろう。

「ノワ、ほら乗って」

「あ、うん」

前にも言った気がするが2人のりとかノンヘルとか法律に関してはそんなものフロニャルドにはないので(法律はあるかもしれないが・・・・・・)気にしないでおこう。

ノワは恐る恐る後ろにまたがった。こっちにはバイクはないからな、かってがあまり分からないんだろう。

「しっかりとつかまっておけよ」

「う、うん」

ハンドルを回す。するとエンジン音(まぁ、ガソリンじゃなくて輝力が動力源だが)が鳴り響き、サンダーバードは走り出した。

「お、おぉ、速い」


「だろ〜」

サンダーバードは雷の輝力を使用しているから本気を出したら音速だって超えられるだろう。死ぬからやらないが。

そうやって走ること数分、すぐに風月庵にたどり着いた。俺はブレーキを踏み、ドリフト気味にサンダーバードを止めた。

そこにはすでに戦闘用の服を着た2人が待っていた。

「お、駿殿も参加でござるか」

「うん。よろしくユッキー」

ダルキアンさんによると今回は少し遠くにある砂漠地帯、そこに今魔物が現れているらしくその調査と退治だった。

そういうことで俺はサンダーバードにノワと2人のり、サイドカーを付けてユッキーを乗せた。ユッキーをサイドカーにした理由?・・・・・・無いよ。ちなみにダルキアンさんはムラクモに乗っている。

「いや〜また機会があれば拙者も乗りたいでござるな」

「おぉ、すごいでござるな」

「あはは、ありがとうございます」

ユッキーがサイドカーに乗っていると背が高い分なんか縮こまっているように感じるな。

「それにしてもフロニャルドって色んな場所ありますね」

この前地図で見たが今から行く砂漠地帯以外にも確か火山地帯とか氷山地帯とかあった気がする。

「そうでござるな」

「まぁ、人が住んでないとこはほとんど危険なんだけど」

「大変だな〜」

そんなたわいもない話を続けていると間もなくして森を抜け、砂漠地帯たどり着いた。そこはあまりにも広大で砂しか見えないと言っても過言ではなかった。

「このだだっ広い場所を探すんですか?」

「そうでござるな。もっというと魔物は砂の下でござる」

もうそれは見つかる可能性0に限りなく近いのでは?という言葉は絶句し過ぎて出てこなかった。

だがそうやって駄々をこねていても何も始まらな捜索開始、俺は特に良い方法も思いつかないのでとりあえず歩いていた。

そうして進展もなく時間だけが過ぎていき、30分は経ったところで

「見つからないでござるな」

「だな」

俺は砂漠に座り込んだ。この暑い中、だだっ広い場所で見えもしないものを見つけるのは至難の技だろう。正直、見つかる気がしない。

「・・・・・・・・・・・・そういえば魔物になる原因として禍太刀ってあったよな」

「あるでござるが・・・・・・?」

「それって誰かが作ってるのか?」

この前の魔物騒動の時の魔物もそうだったらしいが禍太刀という物がどこでどう現れるのか、俺は分かっていない。

「禍太刀というのは大昔に作られた刀というのは分かっているのでござるが、それ以外は・・・・・・・・・・・・」

大昔の誰かが作った刀、なんて迷惑な物作ってくれてんだ昔の人。

「その本数も何も分かってないでござるから拙者たちは旅を続けて探しているのでござる」

「今何本封印したの?」

「500と9本でござる」

今では7個集めれば願い事が叶う時代だぞ。509本でまだ途中とか、途方もないな。

「そっか・・・・・・魔物の封印って大変なんだな」

「そうでござるがお館さまとの旅は楽しいでござるよ」

「そっかそれは是非とも参加したいな」

俺はそう言って立ち上がった。なにやらさっきからエルディーナが赤く光っている。

「これ、もしかしたら魔物の反応?」

「確かにそれっぽいでござるな」

その赤い光は見る見るうちに大きくなっていく。そしてある程度大きくなったところで

バサァン!!

と砂を飛び散らしながら巨大な魚が現れた。目は1つ、口は人間を容易に丸呑み出来る程大きく、それは明らかにこっちに向かってきていた。

「ユッキー!」
「駿殿!」

そう叫んだのは同時、俺たちはそれぞれ左右へと避ける。魔物は俺たちがいたところの砂を丸呑みしてもう一度地中に潜ってしまった。
「あ!しまった。また潜っちゃったよ」

「いや、まだ近くにいるでござるよ」

ユッキーの言ったとおり、魔物はもう一度地上へと姿を現した。たださっきと違って明らか俺狙いで砂を泳ぎながらこっちに向かってきた。

「ちっ、エルディーナ、トライデントモード!」

エルディーナは三又のもりへと姿を変える。俺はまた魔物の突進を横に避けて、魔物の側面を刺した。すると魔物は苦しみながらもう一度地中に潜る。しかしエルディーナは魔物に刺さったまま縄を出して矛先が外れた。

縄はギシギシと音を立てながら伸びていく。

「来い、サンダーバード!」

すぐさま、もりをサンダーバードに括り付けて俺はサンダーバードにまたがった。そしてハンドルを回転させて出発した。のだがサンダーバードは進まない。そりゃそうだ、砂の上ではバイクは走れない。

「なら、タービュラーモード!」

サンダーバードの後輪が羽に変わり、前輪は横になる。サンダーバードは空高く飛んだ。そしてある程度まで上がったところで

バサァン!!

先ほどと同じように魔物が現れた。しかし先ほどとは違う、俺が釣り上げたのだ。

上空から見下げると騒ぎを聞きつけたダルキアンさんとノワがいた。そしてダルキアンさんは神狼滅牙を発動している。

「落とすぞ〜〜〜!!」

エルディーナを消して魔物を落とす。みんなが少し騒いでいる気がするが俺は気にせずターンしてダルキアンさんたちのところまで降下、その途中に見事にダルキアンさんが魔物を封印していた。

「完了しましたか?」

「うむ。終わったでござる」

その証拠と言わんばかりに下には剣が刺さっていた。

「へぇ、これが封印剣ですか」


「そうでござる」

「後は封印されている間に精霊に戻るのを待つだけでござる」

そういえば魔物化というのは一種の病気、正しく治せば精霊に戻るって前にダルキアンさんが言ってたな。魔神化と魔物化は案外似ているのかもな。

「それじゃ、帰るか」

「でござるな」

*

魔物封印の後、一度風月庵へ訪れ、今回の魔物についてゆっくりお茶を飲みながら話し合い気がつけば夜、俺はノワを送る(同じ城に住んでるからこの表現は正しいか分からないが・・・・・・)ことになり、またもやサンダーバードで2人のりで走っていた。

「いや〜今回は良い体験したな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

どうしたのだろうか。そういえば風月庵にいた時からあまり喋ってなかったな。

「ノワ、どうしたんだ?」

「・・・・・・私、全然活躍出来なかった」

あぁ・・・・・・そういうことか。そうだったな、俺とユッキーが見つけてダルキアンさんとユッキーが封印したからノワはダルキアンさんについてただけだったな。

「次は絶対に活躍する」

俺が何を話していいか考えている間にノワの小さかったが完全に決意した声が聞こえた。ノワは負けず嫌いだったな。目は見えなかったけど、確実にメラメラ燃えてるよ。

そんな感じの会話をしながらゆっくりと走っていたのだがノワが突然そういえばと言って話題を変えてきた。

「レンって帰れなくなって未練はないの?」

「・・・・・・・・・・・・今思い返せば少しあるかな」

こっちには無い物はあっちにはある。それは多分機械的な技術だろうが。友達と遊園地や水族館にも行きたいと思いだしたし。でも、それよりも大きい未練があるとしたら

「おっと、もう着くな。この話はまた後日で」

「うん」

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