小説『dog days not勇者』
作者:maguro328()

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美保side

7月22日、今日この日私は旅行に行きます。しかもただの旅行では無く異世界、フロニャルドというこことは違う世界への旅行です!

「で、天理君どうしたらいいの?」

『とりあえず俺の家に行ってくれ』

「は〜い」

でもどうやって異世界に行くんだろ?使者とか来るのかな?それとも魔法陣?

私がそんなことに頭を回している間に天理君の家に到着、そこには少女と少年、1人ずつが待っていた。お、あれはもしかして使者かな?

「前に人立ってるけど、使者か何か?」

『まぁ、そんなもんだ。そいつらに手紙見せたらもうOKだよ。俺色々準備あるから切るな』

「うん、わかった〜」

私は携帯を閉じて少年少女の元へと向かう。あっちもこっちに気付いたらしい。確か手紙は、このポケットに・・・・・・・・・・・・あった!

「君がシンク君かな?私神崎美保。天理君の友達かな」

「聞いてます、聞いてます」

「え、私知らないんだけど」

「あははは、サプライズだよ〜」

2人とも仲良いな〜幼馴染とかかな〜もしかして恋人?

「もぉ・・・・・・・・・・・・」

「ごめん、ごめん。それじゃ、行きましょうか、神崎さん」

「そうだね、シンク君。あ、それと美保でいいよ」

はい、と言ってシンク君は歩き始める。私は少女と並んで歩くことにした。

「あなたは?」

「レベッカ・アンダーソンです」

レベッカ、私の偏見かも知れないけどよくありそうな名前だった。それにしても・・・・・・綺麗な子だな〜。顔整ってるし、髪もきめ細か、まるで漫画か何かから飛び出してきた様な子だ。

「よろしくね、レベッカちゃん」

「は、はい」

うん、初対面だしこんな反応で当たり前か。でも私はここで止まらないよ!

私はレベッカちゃんに少し近づき声を潜めて

「レベッカちゃんってシンク君の恋人?」

と訊いた。

「えっ!?」

「どうしたの?ベッキー?」

いきなり聞かれたことでレベッカちゃんは大きな声で驚いていた。そしてシンク君はそれに反応した。それはそうとシンク君はレベッカちゃんのことベッキーって呼んでたけど・・・・・・愛称ってやつかな。

「な、何でもないよ、シンク。神崎さん、私とシンクはただの幼馴染です」

「美保でいいよ。それじゃ、恋人なりたいって思ってる?」

私は攻撃の手を休めない。さっきの驚いた時の赤面した顔、凄い可愛かったから。

「・・・・・・・・・・・・は、はい」

「ほぉ・・・・・・うんうん。いいね〜青春してるね〜。レベッカちゃん私に質問ある?親睦深めよう〜」

「それじゃ、美保さんって天理さんのお友達なんですよね?」

「だよ」

「凄いですね。私、なんか少し怖くて・・・・・・」

怖い。天理君が?いや、そういえば最初の頃は私もそんないい印象無かったかも。

「大丈夫だよ。今はだいぶマシになってるから。それに私がなれたんだからレベッカちゃんなら余裕だよ」

会って間もない私が言うのはおかしい気がするけど・・・・・・・・・・・・。

「まぁ、天理君は根がいい人だからこれからは仲良くしてやって」

「はい。美保さんって天理さんの話をする時、いきいきしてますね。天理さんのこと、好きなんですか?」

「うぇ!?」

なんということだ、反撃されてしまった。しかも結構ノリノリだし。レベッカちゃんこういう話好きなんだ、これはますます気が会うな。

「ま、まぁ・・・・・・好き、かな」

「それじゃ、私も美保さんのこと応援しますね!」

「う、うん」

こうして私はレベッカちゃんと親交を深めながら目的地を目指すのだった。



駿side

7月22日、今日は勇者様帰還祭ということで戦が行われるのだが・・・・・・・・・・・・そんな時に俺はシンクとその他諸々を迎えに行く為にサンダーバードに乗っていた。

「それにしてもエクレ、ずいぶん嬉しそうだな。シンクに会えるのがそんなに嬉しいか?」

「な、な!そ、そんなわけないだろ!」

こういうのなんて言うんだっけ?確かツンデレ?難儀な性格だよな〜。

「リコはシンクに会えて嬉しいよな〜」

「嬉しいであります!」

いや〜リコは本当に素直な子だな〜。こういう妹とかいたら楽しそうだな〜。

リコから視線を外すとそこには、耳をピコピコさせながら尻尾を左右に振っているユッキーがいた。

「ユッキーも嬉しいよな」

「もちろんでござる!」

満面に笑みで答えた。う〜む、なんかお姉さんの風貌をしながらもこういう幼い一面を見せられると・・・・・・・・・・・・いいな。

ここまでみんなに訊いてきたのだが、もう1人訊かなければいけない人物がいるのだが・・・・・・・・・・・・。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

俺は黙って横で走る馬(セルクル)車を見る。その中に先述の人物、ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティがいるのだが、先ほどからというか城を出てからずっと馬車越しでも分かるくらいウキウキオーラ全開だった。

うん、触らぬ神に祟りなし。時々ミルヒさんと話した時、シンクの話が数十分続いたことがあった覚えがあるし。

「お・・・・・・」

それを誤魔化す様に空を見上げるとそこにはピンク色の流れ星が落ちてきた。

「来たな」

「本当ですか!」

ミルヒさんはとびきりの笑顔をしながら扉を開けて、自分の目で確認した後、馬車を出て走っていってしまった。

「姫様!」

「ありゃりゃ・・・・・・・・・・・・俺達も急ぐか」

「そうでありますね」

と言いつつもあまりスピードを上げない。たぶん、みんなミルヒさんにシンクとの再会を楽しんでほしいのだろう。まぁ、レベッカと美保がいるから、その心遣いは報われるかと言うと強く頷けないが・・・・・・。

そうして儀式台の近くまで到着、どうやら上ではシンクとミルヒさんが再会しているみたいだ。そして少ししてミルヒさんとレベッカを背負ったシンクとキョロキョロしている美保が降りてきた。

「あ!みんな〜!」

「勇者様〜」

「シンク〜、お帰りでござる〜」

リコとユッキーはそれぞれ大変嬉しそうにシンクを呼ぶ。エクレはしかめっ面をして小さな声で「全く、帰ってくるのが遅い」とか言っている。素直に喜んだらいいものを、やっぱり損する性格だな。

俺は・・・・・・まぁ、シンクへの再会の挨拶は後でいいだろう。今は知らない人に囲まれすぎている美保を迎え入れるとしよう。

「美保、久しぶり」

「あ、天理君〜」

とことこと美保はこっちに走ってきて俺の手を握る。余程寂しかったのだろう、俺と会えただけなのに相当な喜びようだった。

「なんか本当に変わったね。髪伸びたし、目も赤い・・・・・・・・・・・・中二病?」

「いや、その症状に関しては知識が無いから分からないけど、たぶん違うからな?これは魔神になっちゃっただけだから」

だけ、という言葉だけで言いあらわせることでは無い気もするが中二病というものではないのは確かだ。俺の本能がそう告げる。

「魔神になったって・・・・・・中二病じゃん」

「あの〜俺の事情聞いたよな?しっかりと話した気がするんだが・・・・・・・・・・・・」

「あはは、冗談だよ。天理君、昔より返し良くなってるな〜」

何故俺がいじられ役になってるんだ。

「まぁ、いいか。とりあえずあっちの輪に入ろう」

「だね」

横を見るとシンクがリコとユッキーに抱き着かれていた。とりあえずあそこはほっておこう。最初はミルヒさんの所いくか。

「ミルヒさん」

「どうかしましたか、駿さん?」

「いえ、あっちは時間かかりそうなので先に美保を紹介しようと」

俺はそう言って美保の背中をポンッと押した。

「あ、神崎美保です」

「ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティです。よろしくお願いしますね、美保さん」

こっちの自己紹介が終了、それと同時か少し前にシンクはリコとユッキーを何とか引き剥がし、エクレの手を握っていた。おぉ、尻尾振ってるよ。すっごい嬉しそうじゃん。

「お、勇者様、勇者様」

「レベッカ殿、お目覚めのようでござるよ」

お、どうやらレベッカのお目覚めらしい。てかどうして眠ってたんだ?あ、そういえばレベッカは何も知らされてないのか。いきなり何も知らされずに異世界に連れてこられる、まぁ、気絶するのも頷けるな。

その後、例によって美保とレベッカとフロニャルド組の自己紹介が行われた。尻尾とか耳とかの件があったがまぁ、いいだろう。



2期開始。

何か駿が変な電波を取り入れている気がするけど気にしないでください。

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