お昼休みも終わって午後の部、ガレット領に戻って俺は待機をしていた。
『さぁ、お昼休みを挟んで午後の部いよいよ開始です』
解説さん、俺それ言いました。
『両軍とも布陣を敷き直して再開に向けて万全の体制、解説のみなさんも午後からは戦場に参戦です』
あぁ、バナードさんやビオレさん、ロランさんにダルキアンさんも解説に回ってたんだな。
『レオ様とミルヒ姫様もそれぞれの本陣で指揮につかれます』
『姫様の戦装束、凛々しくていらっしゃいます!』
その情報は・・・・・・・・・・・・こっちの戦では必要か。
『午後の決戦まもなく『その戦ちょぉっと待ったぁ〜〜〜!!』』
さて、始まった。先ほどのお昼休みで決まったこと。撃破ポイント制の三国混戦バトルロワイヤル。勇者プラス魔神は(本人承諾済みで)攫われたレベッカを取り戻す特別ルール付きだ。それにしてもクー様はノリノリだな。カメラ2機も使っちゃって。そしてミルヒさんはぎこちないな、まぁ、仕方がないけど。
『パルネット湖水上戦、午後の部スペシャルマッチ!』
『開戦!』
3国代表の宣言と共に戦はスタート。全員元気良く(セルクルが)走っていった。もちろん俺も既に(サンダーバードタービュラーモードで)走り出している。ちなみに色々ごたごたがあって後ろには七海が乗っている。
「うわぁ!凄いねこれ。どうやったの?」
「ん?輝力武装っていうんだけど、輝力を集めて形態をイメージして・・・・・・てか七海だったらシンクの見たら理解出来ると思う」
七海は頭が悪いわけではないが、見て聞いて経験した方が吸収しやすい人間だ。だからここで説明するより実践で覚えた方が早いだろう。
「そっか。でも駿って免許あったっけ?」
「ははは、フロニャルドって免許いったっけ?」
そんな戦場に似合わない話をしている俺と七海、だけどやっぱりここは戦場、前に向き直るとブランシールが大量にこっちに向かってきていた。しかも既に乗っているパスティヤージュの人々はこっちに銃口を向けている。
「晶術砲、用意!」
「・・・・・・・・・・・・は!七海、ちょっと揺れるぞ!」
「え?うわぁ!?」
七海が返事する前にパスティヤージュのみなさんは晶術砲を発射、数およそ15、俺はサンダーバードを巧みに運転して何とか避ける。それはもう必死で、死に物狂いで。
「う、わぁ!?ちょ、駿!?」
「ち、紫電15連弾!」
何とか最近覚えた晶術を発動、周りから15の雷の弾丸が発射されて相手の晶術を撃ち落とした。その際に出た爆風が目くらましぐらいになってくれるだろう。
「七海、今のうちに降りろ。あっちは俺が引き受けた」
「わかった。頑張ってね」
「おう!」
七海はジャンプして湖に立っている棒の上に降りていった。降ろそうと思ったのだが、必要無かったな。
ともかく今は目の前の敵だ。俺はアクセルを回してジグザクに進む。相手は銃、こうすれば標準が定めにくくなるだろう。その間にエルディーナ・アルティウムをソードモードにして一気に晶術隊へ近づく。
サンダーバードの名は伊達では無く、そのスピードに晶術隊の皆々様は翻弄されて案外簡単に晶術隊に近づけた。そしてその勢いのまま剣をじ振るう。その間スピードが遅くなった所為で何人かに標準を合わせられて3人しかけもの玉に出来なかった。
晶術砲が発射されたので一旦避難、避けながら2人程倒すことも出来た。結構順調だが、ここで足止めを食らっている場合では無いので早く終わらせたいので出し惜しみは止めよう。
俺はハンドルを両方離してエルディーナ・アルティウムを両手でしっかりと握る。そして自身の身体能力を格段に上げるライジングモードを発動、座席を力いっぱい蹴って晶術隊に目視出来るか出来ないかギリギリのスピードで向かう。
「轟雷連斬!」
雷の様なスピードで一気に晶術隊の間を抜けると同時に全員けもの玉に変わる。そして晶術隊のみんながそれに気づいたときには俺は既にそこから離れてサンダーバードに乗っていた。
『おぉと!一瞬にしてパスティヤージュ晶術隊が倒されました!さすが魔神です!』
解説どうも。と今は一刻も早くクー様とレベッカがいる逆ピラミッド型の謎の乗り物の元へ急がないといけないんだった。
キャラウェイさんはシンクと七海を相手にしているのでたぶんこっちに来れないだろう。今のうちにさっさとレベッカを救おう。そう思ってサンダーバードで先に進むと思いのほか簡単に逆ピラミッド型の乗り物にたどり着いた。
そこにはレベッカに歩み寄るクー様とまだ勇者になっていないレベッカがいた。
「クー様、俺たちの勝ちです」
「ほう、さすがじゃな、駿よ」
明らかに負けて悔しがる様子が無い。まさかまだ秘策があるというのだろうか。
「ふふふ、お主は今秘策が残っているのか、と考えたな。その通り!」
クー様の宣言と共にクー様の横にいきなり人が現れた。そいつはついこの間まで白かった髪を美しく綺麗な黒髪に戻している。そいつは狐の様な耳を生やして黒い着物を着ている。
そう、少し前に俺を魔神騒動に巻き込んだ上に一目惚れしたと言って良くベッドに潜りこんでくる少女、ドルチェだった。
彼女はここまでいつも戦には参加していなかった。そんな彼女が参加してきたのは驚きだ。だが、その横にそれすら霞む程の驚きが横にいた。
「美、保・・・・・・!」
そこには戦には参加しないと言った友人がいた。
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ここまで待たせてこの短さ、すいません。
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