小説『真剣で僕に命じなさい!〜S〜』
作者:時雨葵()

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〜第九話 忍執事〜


「それはあそこに置いて下さい。」

「わかりました〜」

凪はクラウディオの指示に従っていた
と言うより

「凪〜ちょっとこれ手伝ってくれね〜」

「ステイシーさんちょっとまって…」

「凪…この皿を持って行ってください」

「李さん…どこのテーブル?」

「凪!これって…いるか?」

「何?あずみさん…いらないんじゃない?流石に邪魔だよ…」

九鬼従者部隊の人達の指示に従っていた

遡る事…朝



〜島津寮・凪の部屋〜

「日曜で…朝の鍛錬も終わって…片付けも昨日済んだし寝ようかな〜」

すると携帯電話が鳴った

「ん?あずみさん?どうしたんだろ・・・・」

「はい!もしもし?」

『凪か?すまないが今日空いてるか?』

「まー空いてますけど…どうかしました?」

『バイトしてくれ!用件は車の中で聞いてくれ』

「え!?迎えに来てるんですか?」

『向かわせたからもう直ぐ来るだろ準備しておけ!後、明日の学校の準備もな』

「ちょ!?え!?泊まり?って・・・・切れてるし・・・・」

すると外から車の止まる音がした

「凪ちゃん〜九鬼の執事の方が迎いに来たけど…」

「わかりましたー!!準備して直ぐ行くので車の中で待っててくださいと伝えてください」

麗子さんにそう伝えると準備を始めた
階段を下りると大和が起きて来ていた

「ん〜凪どうした?早くに…」

「急なバイトだよ…で、明日九鬼から真っ直ぐ学校行くから・・・」

2階から下りて来る時に持ってきた
制服の入った紙袋と学校カバンを大和に渡した

「明日これ持って来て!頼みます!じゃ!!」

凪は颯爽と出て行った
大和は少しポカーンとして

「大変だな…凪…」

呟くのであった


「スイマセン…お待たせ…し…まし…た……」

「乗ったな…それでは連れて行こう」

凪はこれから地獄に行くのかと思った
何故なら
運転手はヒュームだからである

「ヒュームさん…今日何があるんです…」

「簡単な事だ!お前が従者になりパーティーの準備・対応・片付けを手伝えばいい
簡単だろ?」

「ま〜一応…従者部隊00番なんで…手伝わないといけないでしょうけど
人足りません?沢山いるのに…」

「急遽他に人材を回したんだ…それでお前に白羽の矢が立った」


因みに
九鬼従者部隊は序列があり、強さなどで番号が決まる
ただ、凪は臨時なので空いてる番号を適当に与えればいいが
凪の実力は父親譲りで一桁台ぐらいのレベルがあると判断され
0〜10のどこかに入れようとしたが埋まっているので異例の00番となった
後、ヒュームが00番に凪を推したと言う話もある


「着いたぞ。後はあずみに聞け…俺は他に仕事がある」

「は〜い…」

九鬼ビルの前にはあずみ・李・ステイシーがいた

「おはようございます…皆さん…」

「おう!今日は頼むぞ」

「お願いしますね。凪」

「ロックなお前なら出来るだろ?」

今日のパーティーの内容や段取りを聞きながら
一室に連れて来られた

「ここがお前の部屋だ!」

「ファック!凪は特別待遇過ぎだろ〜アタシと相部屋にしようぜ!」

「ステイシーは私とじゃ不満ですか?」

「後はお前達に任せた!あたいは準備に戻る…凪も今日は頼むぜ!」

そういうとあずみさんは準備に戻っていった

「で…凪はこれに着替えて会場準備を手伝ってください」

「御意!」

凪は直ぐに執事服に着替え会場に向かった
たくさんの従者が準備をしていた

「凪…おはようございます」

「おはようございます!クラウさん」

「凪には準備の段階ではサポートをお願いします
そして、パーティー中は警護とお客様の対応をお願いします。」

「片付けはいいんですか?」

「はい。その時間は帝様や局様のお話相手をしてください
もしかすると…ヒュームが来るかも知れませんが」

そういうとクラウは微笑み準備の指示をしていた

パーティが始まると凪は迅速かつ丁寧しかも親切にお客様に対応していた
その行動をクラウとヒュームは自分の仕事をしながら見ていた

「本当に欲しい人材ですね…即戦力になるでしょう…」

「奴とは正反対な性格だな」

「衛(まもる)は面倒事はやらなかったですからね」

「奴は逆に料理を食ってたからな」

「何度怒った事か…」

「奴は今頃どうしてることか」

「そう簡単に死なないでしょう」

二人は笑い再び仕事に戻った


凪は一人ソワソワしてる人物を見つけた

(トイレを我慢してるにしては…あまりにも挙動不審だな…連絡しておくか)

「こちら凪…一人挙動不審のお客様がいるので接触します。」

「おうよ!アタシと李でサポートするぜ」

凪は挙動不審のお客に近づき話しかけた

「お客様?どうかされましたか?お手洗いならご案内いたしますが…」

「ああ…すまないね・・・で…では頼もうかな」

「わかりました!こちらです」

凪は手馴れた感じでお客様を誘導した
そして、会場から少し離れた所で凪の後ろでガチャリと音が鳴った

「案内ご苦労だ……このまま道案内を頼もうか」

お客様は凪に銃を向けていた
凪も両手を上げ無抵抗をアピールした

「お客様…どこまで案内をしろと?」

「そうだな…九鬼のパンドラメモリのある所までだな
それには世界の九鬼が集めた重要機密が余すことなく入ってるって言うじゃないか」

「それが欲しいと?」

「話がわかるな…死にたくなければ案内してくれ」

「お断ります」

「そうか…じゃあ死んでくれ…」

「お客様…今手に持ってるのは本当に銃ですか?“バナナ”だったりしませんか」

「は?何を言ってんだ?そんなわけ…は?何でバナナ持ってんだ…俺」

凪はその隙を逃さず銃を奪い取った…と同時に首に針を刺した
瞳術をかけていたので後は言葉でスイッチを入れるだけであった

「クソ!何しやがった!!」

「針で動けなくしましたっと…もうお客様じゃないから敬語じゃなくても大丈夫か…
あずみさんみたいに上手くはいかないけど止める事は出来たよ…」

そこに李とステイシーも合流した
3人で囲いどうするかと相談していた

「さて、お仕置きは確定なので…この3人の内誰がいい?」

スパイは3人をみた

最初にステイシーをみて
(金髪のメイドは何処から出したかわからんが重火器を持ってやがる…)

次に李をみて
(黒髪のメイドは…暗器だな…)

最後に凪をみて
(こいつは何も持ってないし若いからきり抜けられるだろ)

「そこの執事だ!!」

「ファック!つまんねーな…でも、ある意味ロックかもな李」

「そうですね…さっき何されたか忘れてるようですし」

「だな…まーがんばれ」

「一番酷いと思いますよ凪は…」

凪はスパイを物陰まで連れて行き
それから直ぐに

「うわぁうわぁあああああああああ……あふぇん……」

凪はスパイをクラウに渡しお仕置きは終わった

その後のパーティーも無事何事も無く終わった…

凪は片付けも手伝っていたのだが呼ばれたので
抜け出してとある部屋に向かった
ノックをし凪は返事を待った

「おう!入って来い!」

凪が入ると神々しい光景になっていた

「凪!久しぶりだな!あの馬鹿は元気にしてるのか?」

「久しいな凪!まずは座りなさい…」

「うむ!凪はよく働いてくれてる」

「学校でも問題無しで優秀ですぞ」

「さすがだな!凪!」

九鬼一家がそこにはいた
その後は凪の話を一家で聞いていた



次の日

風間ファミリーは9人で登校していた

「おい!弟よ…凪はどうした?」

「凪なら昨日から九鬼で従者してるよ
ビルから直接向かうから制服とかカバン任された」

「凪は何でもこなすな…」

学園で大和は執事服の凪に制服等を渡し自分のクラスに戻っていった
凪は教室に一旦戻り着替える前にカバンを置きに教室に戻ると

「ナギ!ゲームでもしませんか?」

冬馬は凪にゲームを仕掛けた
その後に準と小雪も乗っかった

「ナギ〜負けた奴がその執事服着て今日一日執事ってのが罰ゲームな」

「おもしろそ〜♪」

その話を聞きつけ
英雄・あずみ・義経・弁慶・与一・マルギッテも参加する事になった

「僕の拒否権は…無さそうだね…」

「シンプルでスリルのあるジジ抜きなんてどうでしょうか?」

皆意義は無く…そして
冬馬はトランプを切り、その中から一枚抜き取り
見えないように置いた

それぞれ隣の人から一枚取っていくが
凪を除き皆取る毎にペアが出来ていく…
不審に思った凪は皆の顔を見た


ニヤケテイタ


「なん・・・だと・・・・」

凪は気づいた…参加してる者皆グルだと・・
すると

「ナギ…申し訳ありません…ナギの執事姿をもっと見たかったので」

「ナギは僕の執事なのだ〜♪」

「すまねぇな!若の頼みだからな」

「凪は従者に欲しいからな!!そして、王は小細工せずとも負けはせぬ」

「英雄様の為なので観念してくださいね☆」

「すまない!義経は弁慶に頼まれたのだ」

「凪が執事になれば今日は酌をしてくれるんだろ」

「今回の件から凪が得る教訓は容易にゲームに参加しないと言う事だ」

「すいません凪…私もあなたの執事服が見ていたいので」


凪は負けを確信した



昼休みFクラスに冬馬と準が来た

「大和君今夜ホテルに行きませんか?」

「断る!」

「釣れませんね」

「何しに来た?」

「見せたい事がありまして」

大和や他の者が謎に思っていると
準は手をパンと叩いた…すると
扉が開き一人の執事姿の美人が入ってきた
Fクラスの女子は黄色い声を歓声をあげた

「凪…着替えたんじゃないのか?」

「大和様…とあるトランプのゲームをやりまして負けてしまい
今日一日中この格好で過ごすことになったのです」

「罰ゲームか・・・」

「そうでございます」

冬馬も準も笑っていた・・・

「翔一様今日は天候が優れないので出かけるのは控えたほうがよろしいかと」
「京様今日も健気に大和様を慕っておりますね」
「一子様食後は少し休んでから鍛錬なさったほうが」
「クリス様先ほどマルギッテ様から渡してくれと頼まれた物です」
「卓也様少し目が疲れてるように覗えるのでお休めになられた方がいいですよ」
「島津様今日もすばらしい筋肉です」

「褒められたのはいいが俺様だけ苗字だったぞ」

2−F風間ファミリーも凪で遊んでいると

「変質者よ!!!」

外から女子の声が聞こえた
どうやらブルマ泥棒が出たようで逃げていた

「岳人様窓を開けてください!!そして、一子様ハサミをお借りします」

そういうと凪は窓から飛び出していった
同じくS組からもあずみが飛び出していた

「変質者!待ちなさい!!」

「ちっ!追っ手か!!」

(よし!こっち見た…これで確実)

「影縫い!!」

凪はさっき借りたハサミを投げ変質者の影に刺した
変質者も動けなくなり動きが止まった

「クソ!!どうなってやがる!」

変質者の首には
執事の鎖鎌
メイドの小太刀
が添えられていた

「これで…」

「逃げられないだろ?」

各クラスから
グラウンドにいる執事とメイドは歓声を浴びていた


後日


「『学園に変質者出現!!だが執事とメイドの忍コンビにより御用!!』
ですって…ナギ」

「学園新聞一面だぜ…ナギ」

「勘弁して…」

ナギは学園新聞で一面を飾った…
そしてファンクラブも出来たそうだ
ただ・・・女子だけではなく男子も会員にいるのだとか

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