小説『真剣で僕に命じなさい!〜S〜』
作者:時雨葵()

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〜第十二話 球技大会 参〜


「前回までの簡単なあらすじ

一子が何とか心に攻撃をしたが浅く
アウトになり前半戦終了
これから後半戦が始まる」

「おいモロ、一人で何やってんだ?」

「僕…最近出番無いから・・・」


〜3回表 S組の攻撃〜
[9番レフト 義経]

「あわっわわ・・・どうしよう義経は当てたことないんだ」

(これはチャンスかもしれん…ここで調子を戻そう)

(行くよ!ガクト)

義経は振るが振るがぎこちなく
三振に終わり1アウト

「ごめん・・・二人とも・・・義経は役に立たない・・・」

「落ち込まないでください。落ち込んでるあなたも可愛いですが」

「冬馬…口説くなら他所で口説いて!」

[1番サード 弁慶]

「う〜ん球がいっぱい見えるんだけど〜」

「「酔ってるな…完全に」」

三振 2アウト

[2番ショート 忍足]

「F組の皆さん!球種や癖などはもう見極めましたので☆」

(やばいか!?)

(そう易々と打たせない)

京は完全に読まれている
あずみだけではなく凪もいるのだ
完璧に見極められている
でも、京は投げて愛している人のために尽くしたかった
そして、思いを込めた一球は

カキーーーーン!!

『これは大きいぞ!ホームランだ!』

『これは確実に入ったね』

S 2ー0 F

打たれてしまった
これは京の精神にダメージは大きい
ヒットならまだしもホームランは
大和もタイムを出しマウンドに皆集まった

「京…大丈夫か?」

「さすがに今のは辛い…」

「ホームラン級の打球はな・・・」

「あのさー?ちょっといいかしら?」

そこで一子は自分の考えた策を伝え
皆はその作戦を聞いて驚いた

「ごく稀にワン子って凄いよな」

「何よそれバカにしてんの!?」

翔一の言葉に一子は噛み付いた
大和も被せてきた

「ある意味そうだな。いいかワン子お前はバカだ」

「だ、断言されたぁ」

「バカは普段、普通の人より劣る。が、しかし
ふとした時に常人には理解できない芸当をやってのけるところがある。
そこがバカの凄いところだ」

「ムキー!なによ大和そんな事言うなんて!」

「褒めてるんだって。ちなみにアホは何やってもアホだ」

「なるべく三振取れるように私もがんばるよ」

『F組の選手の移動をお知らせするね〜まず〜』

一子の作戦を実行するには守備移動が必要になった
ファーストのクリスがセンターに
センターにいた翔一をレフトに
レフトにいた忠勝をファーストに

そして、
セカンドの一子をライトに
ライトの大和をセカンドに

この作戦が吉と出るか凶と出るか
その状態を見てS組は何をするのか興味深々であった
ただ一人理解している者がいた

「おお〜随分と移動したな〜」

「何か企んでますね。あれは」

「ホームランでは点取れないかな…簡単に…ワン子なら出来るか・・・」

「ナギ?」

[3番センター 榊原]

「いぇーーい!打っちゃうよ〜♪」

「ライト寄りに飛ぶように……とぃ!」

「いっけーーー!!」

小雪は見事ライト寄りにホームラン打球を打った
それを待ってましたと言わんばかりに一子とクリスは
フェンス際で何かやっていた

「飛距離確認。角度良し!」

「アタシはきちんとやる!クリ!!しくじらないでよ」

「お前こそな。さぁ来い!腕に力を集中し、インパクトの瞬間に全解放!」

「せやあああーーーーっ!!!ボールをキャッチ!!」

一子の作戦は
まずクリスがバレーのレシーブの体勢をとり
そこに一子がダッシュで走っていく
クリスの腕を踏みきり台として跳躍し
一子の跳躍にあわせてクリスが腕を跳ね上げる
それにより凄まじい跳躍力を生み出したのだ

これによりホームランは捕る事ができる
ホームランを打つならこれを越える高さが必要になるのである

速く動けて身軽の一子と
砲台としてのクリス
そして、うまくライトよりに打たせるコントロールの京
三人の力による連携である

この作戦により小雪はアウトになり
3アウトチェンジになった


〜3回表 S組の攻撃〜

[7番ピッチャー 椎名]

「粘って行きます。」

(こやつ・・・見事に見極めている)

(そいやぁ〜クラスはアーチャーだったな…)

京はボールとストライクを見極めファーボールで出塁した

「大和も粘って自分のモノにしてみせる!」

京…恐ろしい娘(こ)

[8番セカンド 直江]

「ワン子、見ていろ俺とお前の共同作業だ!」

「え?」

「小細工でも企んでいるのか?」

「さぁてどうだかねぇ」


S組ベンチ

「大和君…企んでますね。あの顔は」

「ま〜京が出塁してて大和が出ても策はある…反則ギリギリだけど」

「ナギが悪い顔になってるな〜直江…南〜無〜」

場所は戻ってグラウンド

与一は重い変化球を投げるが
大和はバントをした
転がったボールを与一はセカンドを見たが間に合わないのでファーストに投げた
この場面でバントをするのは得策ではある
自分を犠牲にしランナーを一つ進めれるのだから
京はセーフになり
大和はアウトになる…普通なら
だが大和はセーフになる自信があった

「ファースト、容赦なく潰せ!」

「頭脳派が柔道部に勝てる訳がないでごわ!」

「勝てないだろうね〜…でも、今のお前は!!」

大和は巣潟に服を掴まれそうになったが
同時に巣潟の首にラリアットをかました。

「首がガタガタだろ?ワン子のバックドロップで」

巣潟はダウンし大和はセーフになった
ノーアウト 1・2塁である
ファーストがダウンしたのでそこに準が配備された

「おーナイス大和!さーすがだね!」

「なーに。ワン子が痛みを飢え付けておいてくれたから。
野球はチームプレイ。俺とワン子の2人の勝利さ」

「え、アタシも喜んじゃっていいの?」

「おう。好き放題にはしゃぐがいい」

「わーい!わーい!大和ありがとねー!」

「良くやったけど気をつけろよー大和ー!」

「って事でこんにちは大和。うちの大将が何か企んでいるが…うらむなよー」

翔一と準の言葉に妙に嫌な感じが大和は感じた
痛みとかの類ではなく違う何かを

[9番サード 羽黒]

「打ってイケメン捕まえる系!」

さすが悪役レスラーの子供な羽黒は力もありヒットを出した
その隙に京・大和も塁を進めるため走っていると

「京愛してる!!俺の胸に飛び込んで来い!!」


「!!!!」


大和の声が響いた
この声に敏感に反応した京は次の塁に向かわず
Uターンし大和に抱きつき押し倒した

「大和!!ハァハァ…大勢の前で大胆な!!ハァハァ…」

「京!?落ち着け!俺は叫んでない!叫んでないから!!」

「悪いな2人とも・・・アウトだ・・・」

2人とも与一にタッチされゲッツーになった

「え?大和叫んだよね?」

「叫んでないって!!だからどいてくれ…」

すると

「ンン…2人とも何遊んでるの?混ぜて混ぜて!」(一子ボイス)

「ンン…ずぅりーぞ!大和!面白そうな事をして」(翔一ボイス)

大和・京は声の主の2人を見るが
2人とも首を横に振っていた

「言ったろ〜直江さんちの大和君…うちの大将が何か企んでるって…」

準のその一言で2人はS組のベンチを見た
すると一人ニヤッとした人物がいた

「凪のやつ…俺の声真似しやがったのか!?」

「真似ってレベルじゃないよ…私が聞き間違える程だもん」

S組ベンチでは

「凄いですね・・・ナギ」

「妨害はしてない…ただ叫んだだけって事で…もう使えないね」

凪はこれ以上はルールに引っかかる恐れがあるので
使うのをやめた

羽黒はセーフなので
2アウト1塁で
クリスが打席に立った
その時心は与一の所に行き何かを言っていた

[1番センター クリス]

「やっと来たぞ!自分の出番だ!」

「クリス!何かある!気を付けろ!羽黒さんも」

「直江!大丈夫系やられる前にやってやるって!」

クリスは見事にセカンドに打たされた
心はキャッチし羽黒を迎え撃つ気である

「そう簡単にやられない系」

「ほほほ。愚かな牛じゃ…血祭りの贄にしてやるのじゃ」

「タックルだコラーーー!!って避けられた」

羽黒のタックルは心にひらりと避けられ
しかも、足払いされ転んだ

「転んだのじゃ。うむ、ほうら足の大逆、膝十字固めじゃ!」

「アゴッ!アオッ、アオオオオオーーー!!」

「痛かろう。痛くしておるのじゃからな、牛」

さすがにこの状況は一子や凪も抗議をした

「ちょ、やり過ぎよ!審判!」

「不死川さん!やり過ぎ!審判早く宣言を!」

「うむ。アーウト!」

審判は宣言をしたが心はやめようとしなかった

「牛は、処理するものじゃ。そぉら」

「ハオオオーーーッ!!!」

「ホホホ。嫌な音と感触がしたのじゃ!!醜い!」

鉄心もそして凪も心の元に向かった

「こら!アウトと言っておろうが!」

「不死川さん、やり過ぎです!宣言があった時点で攻撃を止めてください」

「おっと、プレイに白熱していて気がつかなかっ―」

「気がつかないといったか?」

「うーっぐ!いやいや以後気をつけるのじゃ。学長の後ろに毘沙門天が視えたのじゃ…」

羽黒は担架に運ばれそれに付き添うように凪もいた
真与と千花も一緒にいた

「ちょ、これ大丈夫なの?」

「骨に異常があるかも知れませんね」

「勝負がついていたのにヒドイです!」

その言葉に心は噛み付いた

「ほほほ。猿一人痛めつけたから何じゃ!」

さすがにその一言で凪も限界だった

「不死川!いい加減にしろ!!」

心はビクッとし言うのをやめた
いつもの凪を知ってる者は今の凪を見て恐怖を感じた
普段穏やかな人間が禍々しい気を纏っているのだから
心が静かになると凪はF組の方を向き

「F組の皆さん、うちの組の者が酷い事をした事をお詫びします。」

いつもの凪に戻り深々と頭を下げていた
ベンチの冬馬も頭を下げていた
その後凪は担架の羽黒の元に戻り
応急処置を手伝っていた

「今の本当に三上君だった?」

「一瞬別の人のように感じました。私達も手伝いましょう」

真与と千花も手伝いに向かった…

「許せないわ!アタシが羽黒の仇をとるわ!メラメラ」

一子は燃えていた


その頃
F組ベンチの
翔一・大和・卓也・岳人は

「なぁ…大和…俺…今度から凪を怒らせないようにする」

「奇遇だな…キャップ俺もだ…」

「あれは恐いね…ブルブル」

「俺様もさすがに恐かった」

凪を怒らせまいと誓っていた

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