小説『真剣で僕に命じなさい!〜S〜』
作者:時雨葵()

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〜第二十二話 倒れてるのは?〜



「ここまで離れれば…」

凪と焔はルーから逃げたのだ
掴まったらそこでリタイアになってしまう

焔は俯いて耳まで赤くなっていた
何故ならお姫様抱っこなんて
された事など無いからだ

「すまん・・・おろしてくれないか?」

「あ!ごめん・・・」

凪は焔をおろした
焔も動揺しているのを隠すように
凪に聞いた

「凪は忍者なのか?逃げが速かったぞ」

「まー一応・・・」

「鉢屋より動きが速いな」

凪の話をしながら二人は歩いていると目の前で倒れている人物がいた
体操服で赤い髪をポニーテールで
手には薙刀を握っていた

「ワン子…」

「東の…」

一子は二人が近づくと気づいて顔を上げた

「凪?に…天神館の…」

「ワン子…負けたのか?」

一子は凪の質問に首を横に振った
それを見た凪は自分のリュックから
干し肉を出し一子の前にチラつかせた

「肉だわ…目の前に肉が…」

一子は目が輝いて肉を目で追っていた
その光景は餌を欲しがる犬のようで
焔も微笑ましいと思ってしまった

「お腹が空いたのか…食うか?」

「うん!!…あ!でも…」

「気にするな。これは僕が持ってきた分だから」

一子はそう聞くと貰い食べ始めた

「まぐまぐまぐ・・・・ゴックン!で二人でどうしたの?」

凪は一子に分かりやすく説明した
頷きながら凪の話を聞いていた一子は

「ワタシも付いて行くわ!!食べ物貰ったし」


川神一子が仲間になった!!

焔は一子が簡単に納得したのが驚きだった
その事を聞くと一子は

「凪の事だもの・・・考えがあるのよ〜」
焔は一子が凪の事をもの凄く信頼しているんだと
思った


凪は一子と焔から鍵を見せてもらうことにした

「僕が持ってるのは「春」で二人のが「火」「下」「言」?」

焔と一子は二人とも首を傾げていた
凪もまだ分からなかった・・・

「四字熟語とかなのか?」

「どうだろう…もっと鍵を集めないと・・・」

「全然わからないわ」

一子を加え凪一行は歩き出した
だが誰とも出会わず陽が沈みかけていた

「そろそろ休もうか・・・」

「まだ歩けるわよ?」

「大友も大丈夫だ!」

「夜は奇襲される可能性があるから…見晴らしの良いうちに休んでおかないと」

三人は丁度良い岩に腰を下ろし
火を起こし食事をしていた

「凪は強いのか?」

「強いわよ!本気はわからないけど」

二人が会話しても凪は地面に鍵の文字を書き
考えていた
その光景を見た二人は左右から
頬を引っ張った

「わに?(なに?)」

「「少しは休んだらどう(だ)?」」

「考えすぎて疲れたらもともこうもないわ!」

「そうだぞ!休めるときに休まなければ!」

凪は二人を見て
諦め、考える事を止めた

「それじゃ・・・」

凪は木に背中を預け目を閉じると直ぐに静かな寝息をたてた

「もう少し頼って欲しいものだわ・・・」

一子は犬の様に落ち込んだ

「そうだな・・・会って間もないが大友もそう思うぞ」

二人は周りを警戒しながらも
凪の休む時間を少しでも長くした
休憩は交互に行われ
そして、場所も少しずつ移動した
ある洞穴があったのでそこで3人で
夜が明けるまで休む事にした・・・

「ん・・・?」

凪は目を覚まし外が明るくなってきている事がわかった
そして、外に出ようと思ったが・・・

「んん・・・むにゃむにゃ・・・」

「すー・・・すー・・・」

一子と焔は凪の腕に掴まり寝ていた・・・
凪は二人を起こさぬように抜け
外に出て空を眺めた…

「大体・・・朝7時って所かな・・・太陽の位置からして・・・」

凪は目を閉じ耳を澄ませた
鳥の鳴き声
風の音
木々の音
そして、少し離れた所に
水の流れる音が聞こえた

「小川があるかも・・・行ってみるかな・・・」

凪は二人が起きても自分がここに戻ってくる事を
わかるように最低限の荷物は置いていった

数分後
二人は掴んでいたはずの腕が無くなり
目が覚めた

「あれ?・・・凪がいない・・・」

「どこいったんだろうな・・・」

二人は荷物があることから戻っては来ると考えたが
少し心配なので直ぐに移動できる準備をしていたのだが・・・

「大友さん…二人ぐらい居る・・・」

二人は武器を構え外に出ると…

「ん?ワン子じゃねーか!生き残ってたみたいだな!」

「大友か!」

「ガクト…」

「長宗我部…」

「俺様たちのように手を組んだみたいだな…」

「がはははは!!小さい者同士仲良くなったようだな」

長宗我部も岳人も笑っていた
馬鹿にされている二人は・・・

(類は友を呼ぶと言うが…筋肉馬鹿が二人も・・・)

(暑苦しいわ・・・)

兎に角二人は戦う事にした


一方凪は・・・

「飲めそうな小川発見!よかったって…よっと!!」

後ろからの奇襲を避けていた

「あれ?プレミアムに奇襲したのだけど・・・おふぅ!!」

凪は手刀を入れ気絶させた
と同時に腰にある鍵を取っていた…

「詰めが甘いよ…後……何?」

凪は大樹の方を見た
気を二つ感じたのである
すると、樹の影から二人
一人はおじさんのような顔つきの少年?と
イケメンに入るであろう顔の刀を持つ少年である

「出世街道一直線の俺に相応しい相手が居る…戦うぞ」

「御大将…先陣は私が勤めます」

「早速戦いですか…
と、言いたいけどルールに引っかからないのかな」

「某はおぬしと歳は変わらん!」

「島は老け顔だからな!!」

それぞれ敵と戦う事になった

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