小説『真剣で僕に命じなさい!〜S〜』
作者:時雨葵()

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〜第五話 凪の朝〜



凪の朝は早かった・・・

「はじめるかな」

まだ陽も上がってないのに
凪の朝鍛錬は始まる

陽が上がりスズメが鳴く頃には
もう走り込みは終わっていて
川原で瞑想していた・・・

「勇・往・邁・進!勇・往・邁・進!」
そこにタイヤを引きずりながら走っている一子が通りかかった
一子もまた朝早くから鍛錬をしているのだ

「あ!凪だ〜!おはよ〜ナ〜ギ〜!」
その声に気づき一子の方を向いた

「おはよう!ワン子」

「凪は今から始めるの?」

「ほぼ終わったかな」

「早いわね・・・」

一子は何時からやってるのだろうと思っていた・・・

「瞑想もいいけど・・・ワン子!組手しない?」

「それいいわね〜やるわ!」

一子もやる気になり装飾品(タイヤやオモリなど)をはずした

「「よろしくお願いします!」」

挨拶をするや否や一子は鋭いパンチを出した
凪はそれを見て紙一重で避ける
難なく、一子から繰り出される拳を見て避けているだけで
反撃はして来ない

一子は体力には自信がある
そう簡単にバテることは無い
だが、一子と凪の動きはピタリと止まった

一子の顔目前には凪の拳があった

「はい!一発」

「まったくモーションが見えなかったわ・・・」

一子には今何故目の前に凪の拳があるのかわからなかった
凪の拳が目の前に来るまでのモーションは見えてなかった
時を止めたかのように

「おっと・・・戻って汗流さないと」

「私はまだ走ってくるわ!早く凪の動きも見えるようにならないと!!」

二人は別れ、凪は寮に一子はまた走りこみに戻った

寮に戻ると台所では包丁のリズミカルな良い音が聞こえてきた
台所を覗き凪は挨拶をした

「おはようございます。麗子さん」

「あ!おはよう!凪ちゃん早いわね〜」

この寮「島津寮」の寮母をしていて岳人の母親である
昔は川神の鬼女と言われていたそうな

凪は風呂場に向かった
中に誰もいない事を確認し、汗を流した・・・

そして、学生服に着替え食卓に向かうと翔一を除き皆が集まっていた

「凪、おはよう」

「おはよう」

「おはようございます。凪さん」

皆に挨拶し自分の席に座るとお茶が置かれた

「ほら・・・飲むだろ!熱いから気をつけろよ!」

源忠勝ことゲンさんがお茶を淹れてくれた

「ゲンさん!俺も〜」

「うるせー!!自分で淹れやがれ!」

そう言いながらも淹れているあたり
忠勝は優しいのだった

忠勝には金曜集会から帰宅した際に挨拶した



「今日からここにお世話になる三上凪です」

「ああ、源忠勝だ」

「「タッちゃん」」

「黙れ!風間!直江!」

翔一と大和はヘッドバットを喰らっていた

「ワン子から聞いてるよ!施設に居た時好くしてくれたって
源君これからよろしく」

「あーなんだ・・・他の奴等みたいにゲンでいい」

「じゃあ・・・皆と同じゲンさんって呼ばせてもらうね」



そんな事があった前日の夜である

「マイスターが起きないよ」

食卓に入ってきたのはロボのクッキーであった
クッキーは九鬼により作成されたロボットで丸い大きい卵型が第一形態
人型になり戦闘用の第二形態があり全108形態あるそうだ
京に懐いている

どうやら翔一が起きないようで困っていた

「任せてクッキー・・・僕が起こすよ」
凪はクッキーと一緒に翔一の部屋に向かった

すると翔一の部屋のほうから

「ほぎゃほ!!」

その時、食卓にいた者は皆自分で起きようと心から思った
クリスを除き

翔一も来て皆で朝食を食べていた

「いや〜朝はビックリしたぜ!凪に起こされて
でもよ〜体が軽いんだよな〜疲れが無い」

「ついでに疲れもとってみた・・・あ!京ソース取って」

「はい・・・ククク。」

凪は京からソースをもらい朝食のクリームコロッケにかけていた
ソースは赤い
皆は止めようとしたが遅く、凪は普通のソースのようにかけていた
京はその光景を見て微笑んでいた

京は大の辛党で岳人は京の食べ物をもらい2週間入院したぐらい激辛なのだ
なので、この後の展開に想像つくのだ
皆は凪は倒れると思った・・・京もそう思っていたのだが

凪は普通に食べていた

「え!?・・・辛くないの?凪」

「ん?辛いけど?」

「普通なら倒れるぐらいの辛さだけど・・・・」

京は聞いてみたが普通に食べれているので仲間ができたと嬉しそうだ
他の者は凪は今まで何を食ってきたのか恐ろしくなった



風間ファミリーはいつも一緒に登校している
忠勝は一人で先に出て行ってしまうので
翔一・大和・京・クリス・由紀江・凪
最初は6人
それから岳人・卓也が加わり最後に川神姉妹が合流する
この大所帯での登校はある意味名物である
凪にとってこの中に自分がいるのが嬉しかった

学園に着くと大和達は百代・由紀江と別れ
その後大和達も凪と別れた
凪も自分の教室に向かったその頃・・・S組教室では



〜2ーS教室〜


「何です?不死川心」

「久しいのマルギッテ」

「任務があったので」

「そうじゃ〜S組に一人男子が来たのは知っているかの?」

「来たみたいですね・・・それがどうかしましたか?」

「その者がクリスにちょっかい出してる所を見たのでな〜知らせようと思ってな」

「クリスお嬢様に・・・情報感謝します」

マルギッテは心に敬礼をした

「マルギッテ・・・まー大丈夫だと思うがその者は結構出来る奴なのじゃ」

「そうですか・・・でも、猟犬は簡単にやられはしないと知りなさい」

マルギッテはトンファーを装備し教室の扉の前に立った殺気を出しながら
「お嬢様にちょっかいを出した事を後悔させてあげます・・・」


「若・・・ナギに知らせた方が良いか?」

「大丈夫でしょ・・・ナギなら」

「ナギは強いから大丈夫〜それより、準は病気治した方がいいよ〜」

「幼女好きなのは病気じゃありません」

冬馬・小雪・準の3人は凪にこれから起きる事に同情した

-6-
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