小説『リリカル世界にお気楽転生者が転生《完結》』
作者:こいし()

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 ――それから時間が経った。現在は冬。既にはやての足の浸食はかなり進んできており、俺の気功での対抗も魔力を加えて強化することでなんとか頑張っている。多分この抵抗が無ければはやては入院生活を余儀なくされただろう。
 そして、闇の書をどうにかする為の準備だが殆ど終わった。後はページが揃うのを待つのみだ。現在は560ページ。残りは40ページだ。

「さて、今回はこれでおしまいな」

「はーい!」

 現在はアリシアの特訓を終えた所。凄いのよこの子。なんかね、やっぱ大魔導師っていう親を持った子だと思う。才能が凄すぎる。魔力資質はずば抜けているし、この半年鍛え続けたら魔力ランクはなのは達を大きく上回ってS+ランク。魔力量は既に俺を大きく上回っていた。
 さらに、俺の感覚をそのまま持ったアリシアだ。肉弾戦中心に鍛えたのだが……ヤバい事になった。

 まず、卓越したその魔力感知能力は俺を優に越え、植えつけた俺の五感と合わさって奇襲なんか掛けたら逆に返り討ちに出来る程になった。簡単に言えば、アリシアを中心に半径1km以内で魔力を使ったり変な気配を放ったりすれば、すぐにアリシアに補足されるという事。
 また、アリシアの魔力操作技術は俺に負けるとも劣らない程の物で、肉弾戦に魔力を使った近接格闘を可能にした。そのせいで、俺の衝撃を内部に届かせる技術や震脚といった技を魔力を使って再現してみせた。
 さらに、身体強化魔法を教えた所、その膨大な魔力を惜しげなく使うようになった。結果、アリシアの最大速度はフェイトのソニックフォームが足元にも及ばない程の物になった。
 試しにシグナムを相手にやらせた所、瞬殺。曰く、目の前から消えて、次の瞬間には意識を刈り取られてた。とのこと。

 とどのつまり、何が言いたいのかというと……アリシアを魔改造してしまったという事。

 今では俺が魔法や特典を使わず身体能力のみで勝負した場合なら互角の勝負をするようになった。俺以上の索敵能力や切り札を切るタイミングを見極めるスキル、そして自分の持ち札を工夫して増やす応用力は、もはや化け物かと言いたくなる。これが才能の差って奴か。

 多分、今のアリシアならなのはとフェイトとヴォルケンリッターをまとめて相手取っても余裕で勝利をもぎ取るだろう。

「ふぅー……今日は随分と大変な特訓だったね!」

「まぁ、お前の索敵能力はもう十分だからな。あとは体力を付けるだけだ」

 そう、今のアリシアには決定的に体力が足りていない。元々10歳そこそこの少女なのだから、体力が無いのは仕方ないのだけど。
 だが、それを補う為の切り札が一つだけある。それが、"肉体操作"。元々アリシアは自分の肉体年齢を自由に変える事が出来る。それを使って20歳前後の年齢になれば、体力面は大幅にカバーできるのだ。
 しかし、今のアリシアの年齢は10歳。つまり、10年もの年月を肉体に掛ければ負荷は大きい。成人化出来る時間は多く見積もって10分そこらって所だろう。

 さて、これでアリシアの強化の話はいいとして、今の状況を話そうか



◇ ◇ ◇



 ページを集めるヴォルケンリッターは、はやてと俺の約束通り人間からは取らずに次元世界のモンスター達から魔力を蒐集していた。現在のページはさっきも言った通り540ページ。目標まではあと40ページなのだが、ここで問題が起こる。

 ヴィータが焦って高町なのはを襲撃したのだ。

 結果、管理局に闇の書の存在がバレた。転生者を盗聴した結果、これも原作通りのシナリオだと分かった。そのせいか、転生者3名により、ヴィータ及びザフィーラが撃墜。シグナムとシャマルが回収して逃げ帰って来た。一応追跡は振り切って来たらしいので、はやての家はバレていないが……少し不味い事になった。残りページは40ページ。どう考えても足りない。
 なのに、管理局にバレてしまった。これは蒐集活動を大きく滞らせる。

「どうしたものかな……」

「ヴィータちゃん達大丈夫なの?」

「ああ、シャマルのおかげで二人とも完治したよ。あとは目覚めるのを待つだけだ」

「そっか…」

 アリシアはそう言って、少し安堵した表情を浮かべた。

「……仕方ない。シグナム達ははやての護衛。つまり、ここで待機だ。顔が割れてしまったから迂闊に出す事は出来ない」

「ではどうするのだ? 蒐集はまだ終わって無いぞ」

「俺とアリシアで出る。幸い、アリシアは死んだ事になっているし……俺はいくらでもやり様がある。実力的に言っても俺らがツートップだし」

「む……仕方ない。それが主はやてにとって最良の選択だろう。頼む」

「任せろシグナム」

 さて、後はアリシアだが……

「アリシア、今回お前は妹のフェイトと戦うかもしれないが……大丈夫か?」

「ん? 大丈夫だよ。だって、今回戦うだけではやては助かるし、フェイトとなのはちゃんも友達になれるじゃない!」

 どうやら、無駄な心配だった様だ。

「よし、それじゃあ明日からはヴォルケンリッターが家ではやての護衛として待機、俺とアリシアで蒐集活動を行なう」

「「「了解!」」」



「みんなーごはんやでー!」

「……じゃ、行くか」

「「「勿論」」」



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