小説『リリカル世界にお気楽転生者が転生《完結》』
作者:こいし()

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 そして、珱嗄達は飛行機で機動六課に帰って来た。着陸場で待ち受けていたのは、部隊長である八神はやてと守護騎士の内の二人、ザフィーラとシャマルだった。
 なのは達は着陸した飛行機から降り、はやてと任務成功を喜ぶハイタッチを交わす。珱嗄とフォワード勢はその後ろで飛行機から降り、無事に帰って来た事にほっと息を吐いた。また、珱嗄はそんな中欠伸をを漏らして隊舎に戻ろうと歩き出す。フォワード勢はそんな珱嗄に、マイペースだなという感想を持った物の、仕事は終わったので引きとめる声は無かった。

 ちなみに、この後フォワード勢は新デバイスを使った訓練を開始するのだが、任務完遂の喜びにまたやる気が湧いて来て、訓練にも力が入る事になる。更に言えば、珱嗄に感想やコメントじゃなく、本当の意味で褒めて貰いたいという思いもあったのだった。

「それにしても、随分とええ滑り出しやったな」

「うん。珱嗄さんのおかげでフォワードの皆もリラックス出来たみたいだし、最初の任務としては良い結果じゃないかな!」

 はやての言葉になのはは笑顔を浮かべながらそう言う。だが、フェイトとアリシアは任務成功を喜んではいるものの、お互い別の意味でちょっとした疑問を抱いていた。

「(でも、珱嗄さんって謎が多い……私達の過去に関与しているし、その記憶は私達には無いし……一体何者……?)」

「(? ……この気配って……まさかあの人が機動六課に来てる……?)」

 上がフェイトで下がアリシア。珱嗄に対して疑問を抱いたフェイトと機動六課内にその卓越した感知能力が察知したその気配がある事に対して疑問を抱いたアリシア。
 だが、アリシアの疑問はすぐに解決することになる。

「あ、そうや。今な、神崎君が機動六課に来とるんよ。今日から配属になったみたいでな?」

「ああ、だから神崎君の気配があったのか」

 そう、アリシアの感じた気配は珱嗄の出会った最初の転生者、神崎零の物。闇の書事件以来、以前の様な嫌悪感を振りまく行動は控え、他人の為にその力を振るうまさしく英雄や正義の味方と同じ姿を多くの人々の前で見えてきた男。
 珱嗄に拾われたその力は、真面目な修行の中で磨かれて行き、インテリジェンスデバイスとユニゾンデバイスもそんな神崎に好意的になっている。ちなみに忘れられたかもしれないので言っておくが、神崎のユニゾンデバイスは一度だけ出てきている。名前をマリア、珱嗄と戦った際にバインドで拘束されたユニゾンデバイスだ。

「あ、丁度来たみたいや。零君こっちや!」

「ああ、八神。久しぶりだな」

「はやてでええ言うとるのに……」

「悪い。これは俺のけじめみたいなもんなんだ。ある人に認めて貰わない限り、俺にはお前達を名前で呼ぶわけにはいかない。許してくれ」

 はやてとそう言うのは、なのは達同様に19歳となった神崎零。幼いころからの銀髪は少し肩に掛かる程度まで伸び、背丈は珱嗄よりやや低めだが高身長だ。蒼と金のオッドアイは優しさと温かさを感じさせた。珱嗄から銀髪4頭身と呼ばれていた頃とは違い、その美形と雰囲気と体格は見事にイケメンを作りあげていた。
 現在彼は、本局で一つの次元航空艦艦長を務め、それ以外では単体で次元犯罪者を何人も確保しているという実績も多い。また、修行によって魔力ランクはSSランクまで上がり、特典で得た無限の剣製(アンリミテッドブレードワークス)は十全に使いこなしている。

 その強さは管理局でも随一。将来、管理局を負って立つと言われている程だ。

「別にええのに……」

「まぁまぁ……久しぶりだな。高町、テスタロッサ」

「うん、久しぶりだね。零君」

「ひさしぶり、零」

「おひさ〜」

 神崎が軽く手を上げてなのは達に挨拶すると、なのは達も久しぶりにあった幼馴染に気軽に挨拶を返した。するとフォワード勢の4人が手を上げてなのはにおずおずと聞く。

「あ、あのなのはさん……その人って……?」

「ああ、うん。彼は神崎零君、知ってると思うけど時空管理局最強って呼ばれてる人で、私達の幼馴染なんだ」

「えええっ!?」

 なのはの説明に、神崎はにこりと笑って会釈する。すると、フォワードの全員が驚愕に声を上げた。ちなみに珱嗄は既に此処にはいない。今頃隊舎でいつも通りソファに寝転がっているだろう。

「まぁ自己紹介は後にして、とりあえず隊舎に戻ろか」

「あ、うん。それじゃ皆、隊舎に戻ろうか。1時間後にまた訓練だから、時間になったら集合してね」

『了解!』

 フォワード勢はなのはの指示に元気な声で返事を返した。



 ◇ ◇ ◇



「……神崎君の気配じゃないか。なるほど、機動六課は原作組の集まる巣窟……彼が来ない訳ないか。さてさて、10年前はああ言ってたけど―――どんな風になったかな?」

 神崎達が隊舎に戻ってきた頃、珱嗄はやはりソファの上で寝転がっていた。また、神崎の気配をしっかりと感知しており、10年前の神崎の土下座と言葉を思い出しゆらりと笑った。

「そんな事より訓練だるいなぁ……神崎君に任せておけば俺休んでていいんじゃね?」

 だが珱嗄はそんな事は置いておいてと神崎に対する思考を停止、すぐにこれからの訓練に対するだるさを一人訴える。
 

 そんな珱嗄が寝転がる部屋の扉――――その扉が開いた。


 珱嗄が視線を向けると、そこにいたのは銀色の髪に蒼と金のオッドアイ。ピシッとした管理局の黒い隊服を着こなし、気だるげな珱嗄とは正反対に誠実な雰囲気を纏う男だった。
 そしてその男は珱嗄の顔を見てその動きを止める。そして驚愕に目を見開いた。


「よー神崎君。調子はどうよ?」

「せ、先生……!?」


 こうして全く種類の違う転生者が、10年ぶりに再会したのだった。


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