小説『漂流のA(ゼロの使い魔二次)』
作者:権兵衛()

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第1章 青き春の章

第9話<邂逅死>





 外見で惑わし、驚愕させ、相手の動揺が収まるまでに殺す。それが、アクセルの戦い方だった。

 そして、そんな戦い方でこれから先もやって行ける筈がないという事は、誰よりもアクセル自身が理解していた。

 魔力の系統属性に関するアドバンテージがあるとはいえ、九歳児の肉体では、まだ筋力が足りない。そこらの平民相手なら何とかなっても、腕の立つメイジ相手ならば……。

 (何者だ?)

 あの時……ラファランを連れ、逃走した謎の男。あまりにも鮮やかな腕前に、戦慄を覚える。そして彼は言っていた、“また会おう”と。

 (メイジ、それも強力な……。初めから倉庫に潜んでいたのか? ラファランの仲間だとすれば、どうしてもっと早く現れなかった? ……どちらにしろ、敵には違いない。参ったな、もう戦える所は見せてしまった。流石にメイジと杖の固定観念は強すぎるから、ただのメイジ殺しとでも思っててくれればいいんだけど。……取りあえず、暫くアリスの姿を封印すべきか? いや、でもきっと、ナタンとバルシャは顔を覚えられているだろうから……)

 「おい、ベル?」

 ナタンの声に、意識を現実に引き戻した。アクセルは顔を覗き込んでくる彼に、そっと手を挙げた。

 「少し、問題がね……」
 「例の、謎のメイジってヤツか? そんなに気にすることか?」

 アクセルが悲観的すぎるのか、ナタンが楽観的すぎるのか……。ともかく、この問題を放っておくことは出来なかった。

 「ナタン、少し留守にするから。その間、よろしく頼むよ」
 「どこに?」
 「レオニー子爵に、ご挨拶を。ついでにクルコスの街で、情報を集めたい」

 あのラファランが、本当にレオニー子爵の息子だとすれば、その方面から謎のメイジの情報を掴めるかも知れない。子爵本人との直接の面識は無いが、ローランが知り合いだったので、その伝手を使わせてもらうことにした。

 「いや、けど、結局フラヴィはどうすんだ? あの娼婦達も、あのまま放っておくわけには……」
 「放っておいても、問題はないだろう。頼りの傭兵達がいなくなったんだ。しかも、僕らが攫ったと思いこんでいた娼婦達は、その傭兵達が売り払っていた。いいように利用されたショックは大きい。売り払われたとすれば、恐らくクルコスの街の奴隷市だろう。その義理も無いけど、発見次第確保しておくようにとは言ってある。……もし、また何か企むようであれば……今度こそ、消えて貰うけどね」








 「……少々、驚きました」
 「ん?」

 馬車の向かいに座るローランの言葉に、アクセルはメモから顔を上げた。

 「あれほど、慎重に事を運ぼうとする貴方が……」
 「本当は、臆病な、って言いたいんじゃないかい? ローラン」

 石ころでも踏んづけたのか、馬車ががたんと揺れる。メモの文字が大きく歪み、アクセルは舌打ちすると、紙と羽ペンを片付けた。

 「アクセル様。一つ、お願いしたいことがあるのですが……」
 「何?」
 「“ラパン”のフラヴィの命、許して頂きたいのです」
 「いいよ」

 事も無げに聞き入れたアクセルに、ローランは目を見開く。

 「……と言うか、どうでもいいと思ってる。マチルダやテファたちを狙ったのは許せないし、許すつもりも無いけど、もうあの女は無力だ。これ以上厄介な真似をされない限りは、僕は放っておこうと思ってる」
 「ありがとうございま」
 「と、言うかねぇ」

 アクセルは狭い馬車の中で、ぐっと上半身を突き出した。所詮は子どもの体格なので、圧迫感などないのだが、その視線は好奇心を以ってローランを射る。

 「由緒正しいホテルのオーナーで、名士として知られるローランが、何でたかが娼婦一人にご執心なのか、そっちがすごい気になってきたよ」
 「実は、私の隠し子でして」
 「マジで!?」
 「嘘です」

 ホテル『初月の館』をあそこまで大きくしたのは、ローランだった。
 まだ先々代のラヴィス子爵、つまりアクセルの祖父が隠居する前だった頃、盗賊に襲われた彼の馬車を、通りがかりに剣を振るって護ったという、なかなか豪胆な武勇伝が残っている。
 当時のラヴィス子爵はこの武功を大いに讃え、彼に家伝の秘宝を与えたという。嘗てバルビエが存命中に求めた宝は、まさしくそれを指していた。

 アクセルも、アニエスがもう少し成長すれば、ローランに正統派の剣術を指導して貰おうかと考えている。

 「本当は、友人の種でして。その友人も、既に他界しています。あの娘の母親から、何かの折には助けてやってくれと遺言を受けました」
 「じゃあ、娼婦やめさせて、ローランのホテルで雇ったら?」
 「フラヴィは、私との繋がりを知りません。それに彼女はもう、いい大人なのです。今回のこれは、たまたま私とアクセル様が知り合っていた、それだけの理由です」

 暫くローランを見つめていたアクセルは、やがて背を立てると、再び馬車の席に収まった。そして窓枠に肘を立て、頬杖を付くと、うっすら見えてきたクルコスの街を眺める。

 アクセルがクルコスの街にやって来るのは、これで四回目だったが、アクセル・ベルトラン・ド・ラヴィスとしてなら、今回が初めてだった。

 (考えてみれば、公式には初めての外出だなぁ)

 今まで、アクセルとしてラヴィス子爵領から出たことはなかったし、そうでなくても東隣のレオニー子爵領以外には入ったことがない。近隣の貴族同士、パーティーなどで招待し合ったりしそうなものだが、ラヴィス子爵がしょっちゅう領土を留守にするせいか、そういうものに誘われたことは無かった。

 もっとも、アクセル・ベルトランの名は近隣では有名だった。十歳にも満たない年齢で、ラインクラスに成長した麒麟児……アクセルとしては、あまり好ましいとは言えない評判である。やはり、魔法学院に行く、などという年齢になるまでは、精々ドット止まりで在りたかった。

 理由はやはり、リーズの喜ぶ顔が見たいから。

 (俺いつか、女が原因で死んだりするんじゃないの?)

 暗澹とした予感を、頭を振って追い出す。

 クルコスの街は、ゼルナの街とほぼ同じ規模だった。しかし、今でこそゼルナも賑やかになり始めたが、街の活気はクルコスの方が上。鉱物資源もなく、特に農業などが盛んでもないが、この街の特徴はギルド(同業者組合)だった。
 商会は大きなものだけでも三つあるし、使用人斡旋ギルドはラヴィス家を始め、周囲の貴族や富裕層に大勢の使用人を世話している。職人ギルドもあるのだが、規格化という概念が存在しないここでは、完全に商会の下っ端という位置づけになっている。また、大勢の人々や物が出入りする中継基地でもあり、常に何かしらの飯の種はある。

 この街でドロップアウトした者の行き先が、隣のラヴィス子爵領・ゼルナの街であるとも言えた。

 普段はさっさと馬車から降り、露店を冷やかしながらゆっくり進むのだが、今回はそのまま街の中心部へと向かう。屋敷は別にあるのだが、レオニー子爵は真面目な仕事人間だそうで、だいたいこの街の執政庁にいる。そこがほとんど自宅のようなもので、街の北の一画は丸ごと執政庁の敷地となっていた。

 (見事なもんだな……)

 アクセルは溜息を漏らした。

 ゼルナの執政庁のような、無機質なものではない。門や塀にまで装飾が施され、敷地内に入れば庭園の花々に迎えられる。そこで、ローランと共に馬車から降りた。
 色彩豊かな花々の間を、護られるようにして歩いていき、やがて庁舎の入り口に到着する。今度は大勢のメイドや執事が迎えてくれた。

 (うちの父親と話が合いそうだ)

 ちらりとメイドの顔ぶれを見、余計な事を考えていると、執事の一人が歩み寄ってくる。

 「ようこそいらっしゃいました、アクセル・ベルトラン・ド・ラヴィス様。セバスチャンと申します」
 「うらやましい」

 偽名やあだ名などではなく、本名がセバスチャンという執事が、である。

 「?」
 「あ、いや、何でもない。一晩、よろしく頼むよ」
 「お荷物、お運び致します」

 とは言っても、二人分の衣類と小物が少々なので、そんなに多いわけではない。
 メイドに導かれて客室へと向かい、マントを脱ぐと、ローランと二人で応接間にて待つ。

 三十分ほどして、レオニー子爵は姿を現した。

 「初めまして、レオニー子爵。アクセル・ベルトラン・ド・ラヴィスです」
 「こちらこそ、初めまして。フィルマン・ルノー・エクトル・レオニーだ」

 思ったより小柄で、アクセルの目線の高さに首がある。

 「久しぶりだな、ローラン」
 「ご無沙汰致しております、子爵様」

 ローランもまた、先々代ラヴィス子爵の伝手で、レオニー子爵と知り合っている。

 「二人とも、楽にしてくれ。忙しなくて申し訳ないが、私はまたすぐに、仕事に戻らねばならん。夕食はご一緒出来るだろうが……そうだ、アクセル君」
 「はい」
 「ラヴィス子爵領からの外出は初めてかな?」
 「ええ、楽しみにしていました」
 「それならローランを連れて、街の中を見て回るといい。夕食まではまだ時間があるのでな」
 「ありがとうございます。お忙しいところお邪魔して、申し訳ありませんでした」
 「いや、最近は私の息子達も顔を見せなくてな、寂しかったところだ。夕食は皆に腕を振るわせるから、楽しみにしていてくれ」

 軽く挨拶を済ませると、子爵は再び執務室へと戻っていった。正式な訪問というわけでもないし、また、そこまで歓迎される理由もないので、アクセルも少々申し訳ない気持ちになる。どうやら間の悪いことに、多忙な時期に来てしまったらしい。

 アクセル、ローラン、そして執事のセバスチャンの三人で、街へと繰り出した。兵士は人数に余裕が無く付けられない、と、申し訳なさそうにされたが、アクセルにとっては都合が良い。ローランと二人きりで、いや、寧ろ一人きりで歩きたいくらいだ。

 「何だか、大変な時にお邪魔しちゃったみたいだねぇ。事件でもあったのかな?」
 「……実は、傭兵ギルドが襲撃されました」
 「傭兵ギルド?」

 振り向き、背後のセバスチャンに聞き返す。

 「はい。わかりやすく言えば、期間限定で兵士を派遣したり、兵隊と個人契約を結びたいと考える人に人材を斡旋したり……。更には、傭兵志望者の育成も行っています」

 どうやら、傭兵ギルドとは何なのか、という説明を求められたと受け取ったらしい。自分が九歳児であることを、今更ながら思い出しつつ、アクセルは黙って聞いていた。

 「ちょうど今朝方、その傭兵ギルドの本部が襲撃されるという事件がありまして、現在調査中なのです」
 「その割には、街中は平然としていますね」

 普段と変わらぬ様子の町並みを眺めながら、ローランもセバスチャンを振り向く。

 「この街では、ギルドのトラブルなど日常茶飯事ですから。それに、あそこはならず者の集まりで、人々にも嫌われていました」
 「ふぅーん。行ってみようかな」
 「お止め下さい、危険です」
 「そっか……」

 暫く散歩を続けていたが、セバスチャンは相変わらずピッタリとくっついており、離れてくれない。出来れば奴隷市と連絡を取り、攫われた娼婦についての情報を得たかったのだが、それは帰りがけに行うことにした。

 夕暮れ時になり、一行は執政庁へと戻る。
 どうやら仕事も片づいたようで、レオニー子爵と食卓を囲む。

 「しかし……君の年齢で代官とは、初めて聞いた時は驚いたよ」
 「腰の落ち着かない父でして。僕はただ、父の代わりに椅子を暖めているだけですよ」
 「いやいや、謙遜することはない。私には三人息子がいるんだが、長男も次男も、君くらいの年齢の時は遊び呆けていた」

 三男のラファランについては、子爵は何も言わなかったが……アクセルも、何も聞かない。三人の息子がいる、と言ったのは、子爵にとってはミスなのだろう。
 貴族の三男坊が、不良メイジとなって傭兵ごっこをしている……お世辞にも、好ましいと言えるものではない。レオニー子爵家にとって、そのことは恥部に等しい。

 食事の後、団欒の時、アクセルは用意してきた模型を見せた。

 「実は、これを見て頂きたくて」

 そう言いながらテーブルの上に、細長い金属製の梯子を寝かせる。そして更に、四つの車輪を付けた、荷車のようなものを置いた。

 「これは?」

 レオニー子爵が見つめる模型を掴み、梯子の上を転がしてみる。

 「トロッコ、というものの話を聞きました。鉱山で鉱石を運び出す際、このようなものを用いるそうです。ご覧の通り、揺れも少ないので、より小さな力で走らせることが出来ます」

 物資、情報など、少しでも早く伝達させる手段は無いか……そう考えた時、鉄道が思い浮かんだ。
 勿論、蒸気機関など詳しい仕組みは知らないし、機関車を走らせるなど夢物語だが、線路を敷いて走らせる、というのは、案外有効なのではないかと考えた。貨物車のようなものを作り、それを連結させれば、一度に大量の物資を運ぶことが出来、牽引する馬の数も少なくて済む。

 そして、そのアイディアを是非とも誰かに教え、意見が聞きたかった。

 「なるほど、面白い考えだな」
 「盗賊に狙われる可能性も高いので、高価なものは運べませんが、木材や食料品などを大量に運ぶのには適していると思います」
 「街道を舗装する場合との、コストの違いは……。ふむ……。いや、なかなか……いやいや、素晴らしい発想だと思うぞ」

 興味深そうに模型を眺めるレオニー子爵に、アクセルも嬉しくなる。とにかく、発想の方向性は間違っていなかったのだ。
 二人で問題点や改善点などを話し合っていると、いつの間にか結構な時間が過ぎていた。そのことに気付いたのは、セバスチャンがやって来た時だった。

 「旦那様、少々宜しいでしょうか」
 「何だ、急ぎか?」

 話の腰を折られたから、レオニー子爵は憮然とする。

 「それが……」
 「おいっ、親父!」

 言いにくそうにするセバスチャンを押しのけ、大柄な男がズカズカと入ってきた。この場合は正に、“土足で入り込んだ”という表現が合う。

 「控えろ、ラファラン。客人の前だ」
 「客人? そのガキのことか?」
 「……ラヴィス子爵のご子息だ」
 「はぁ? 何でそんなヤツがいるんだ?」

 自分の息子ながら、レオニー子爵は唖然としたが、既に彼と二度も顔を合わせているアクセルは、特に驚きもしなかった。

 いくらお飾りとは言え、アクセルは正式に任命された、子爵領の代官なのだ。それを知りながらの、しかも本人を目の前にしての暴言は、ラヴィス子爵家への侮辱とされてもおかしくはない。

 「まぁいいや、金をくれ。仲間と祝杯を挙げるんだ」
 「……金が欲しいなら、働け。簡単なことだ。まだ十にも満たない年齢で、立派に代官を勤める貴族もいるというのに」

 仕事のほとんどをリーズに任せきりにしているアクセルにとっては、少々居たたまれなくなる言葉である。

 「さて、行こうか、アクセル君。話の続きは、私の書斎で」

 暫く言い合っていたが、家族内のトラブルを見せられて居心地悪そうにしていた少年に気付いたレオニー子爵は、ラファランを黙殺した。未だ背中に罵詈雑言を投げつけてくるが、二人はそのまま部屋を出た。








 レオニー子爵との話は、なかなか有意義なもので、アクセルも心地よい充実感に包まれ、そのままベッドに潜り込んだ。

 「…………はぁ」

 月明かりの下、寝間着の上にマントを羽織るアクセルは、杖で肩を軽く叩きながら、溜息をつく。足下には、心地よい充実感と安眠を、見事に奪い去ってくれた存在が倒れている。

 微睡むアクセルの部屋に、お座なりなノックの後踏み込んできたラファランは、魔法の稽古を付けてやると、彼を無理矢理に外へ連れ出した。
 ある意味、厄介な相手である。殺すわけにもいかないので、手の内を晒すことは出来ない。単純な魔法のみで戦わねばならないのだ。

 ラファランは、火のラインクラスのメイジだった。

 過去に戦った火のメイジもそうだったが、アクセルが見る限り、どうも火属性は練度というか、鋭さに欠ける気がする。攻撃力が強力すぎるので、単純に威力を上げることを優先しがちになってしまうのか、それとも属性に性格が引っ張られ、火のメイジはだいたい派手なもの好きになってしまうのか。

 フレイム・ボールも、なるほど直径がアクセルの身長の半分ほどと、大した大きさだったが、風の刃であっさり切り裂けた。唖然とする彼を、ウィンドブレイクで吹き飛ばし、さっさと気絶してもらう。

 (……これで三度目だ。いい加減、飽きたぞ)

 再び、溜息が出た。

 貴族としても、平民としても生きられない……それが、不良メイジというものなのだろう。友好的なそれならいいのだが、敵対するそれは、アクセルにとって厄介者以外ではない。

 九歳児をベッドから引きずり出し、己の鬱憤晴らしに利用しようと考えるような男など、出来れば放っておきたい。又は殺しておきたい。
 だが、彼はそれでも、レオニー子爵の息子なのだ。ひょっとしたら、兄二人へのコンプレックスや、末っ子としての僻みなど、色々あってこうなってしまったのかも知れないが、歴とした貴族なのだ。

 (何というか……お互い、無視し合いたいというか……)

 流石に九歳児に返り討ちにされたなどとは、恥ずかしくて言えないだろう。事を大きくすれば、結局ラファラン自身が恥をかくので、大々的な仕返しはして来ない筈だ。となれば、密かに復讐の機会を窺う、という行動に出る可能性もあるわけで……。

 (うーん。つい、苛ついて伸しちゃったけど……これなら、わざと負けてた方がマシだったかもなぁ)

 考えれば考えるほど、溜息をつきたくなった。



 「綺麗な月だな」



 その声が聞こえたとき、アクセルの甘い悩みなど掻き消されてしまった。思わず硬直する彼の背後に、火炎の壁が出現する。

 「あの時、“また会おう”と言ったのは……私が、それを望んだからだ。だから、なのか? その願いを、あの月は聞き届けてくれたのか? こうして君の方から、私の元に来てくれるなんて」

 暗闇の倉庫での声と同じ、壮年男性のそれ。
 火炎で紅に染まった景色の中に、いつの間にか、その男は立っていた。

 (……嘘だろ)

 自分はまだ、九歳だ。
 自分はまだ、ラインクラスだ。
 自分はまだ、転生して九年しか経ていないのだ。

 自分はまだ、満足できる強さを手に入れてないのだ。

 それなのに、何故?


 「さあ。ダンスの時間だ」


 メンヌヴィルは両手を広げ、楽しげに告げた。

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