小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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その龍児も2分後、理解に至った。
張り詰めた空気。
対バンの皆は真剣にステージを見ている。
腕を組んで余裕な態度で見ている人。
ノートを手にし、真剣に何かを学ぼうと見ている人。
コソコソと話す声などまったく通らない。
無音だった。

今日のトリをつとめる「StripeTiger」がリハを始めた。
後ろでPAが音量、歪みを調節している。
狭い箱なので、ドラムにマイクはついてなかった。
今演奏している曲はバラード、ドラムは単調に後ろから支えるように叩いていた。
ベース音が聞こえなかったが、PAの操作により音がブーストされた。
ギターの人が客席に降り、外の音を聞いていた。
「おっけーでーす」

StripeTigerは慣れた手つきで片づけを始め、続いて「SHAKE BABY」が準備を始めた。
ガタガタと片付ける音が聞こえる中でも、張り詰めた空気は変わってなかった。

はっきりいってぱっとしないバンドだった。
バラードしか聴いてないしまだ分からないけどこれが龍児の正直な感想だった。

SHAKE BABYがリハを始めた。
ハードロック調だが、各パートが簡易化されて音が薄いような雰囲気。
お遊びバンドらしく、適当に音作りをして終わった。

「なんか、俺ら場違いなんじゃね?メロコアって・・」
海斗は龍児と同じ不安をしていた。
こんな空気にガンガン音を前に出すような曲をしていいのだろうか。
そんな話をしていると、高校生バンドの「Clatch」がリハを始めた。

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