「いやー、ドラム探してるんだけどね」
龍児の思ったとおりに事が進んだ。
ずっとやりたかったバンド。
上を目指していけるバンド。
「あの、自分ドラムやってるんですけど、入れてもらえませんか!」
しかし男はベースに目を戻しながら
「いや、誰でもいいわけじゃないからな」
だめだった・・・
確かにそうだ。
見ず知らずの実力も知らない奴をひょこひょこバンドに入れるわけがない。
話を良い方向に持って行き過ぎた。
「どんなジャンル叩いてるの?」
男はベースをスタンドにかけ、またこっちを向いた。
「あ、メロコアです・・・」
男の眉が動いた。
「一応俺達もメロコアやるんだよね」
「そ、そうなんですか・・」
おっちゃんが割って入ってきた。
「12時から1時ならBスタ空いてるぞ」
「セッションしてみるか」
「は、はい!」