小説『ちっぽけなバンドの物語』
作者:Dissonance★()

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実は龍児はスタジオは初めてだった。
初めて叩く生ドラム。
今更電ドラと生じゃ要領が違うなんていえない。
イスに腰かけた。
いつも使ってるスティックとツインペダルはおっちゃんが店から貸してくれた。

「どんなバンドが好きなの?」
「dustboxとかlocofrankあたりのメロコアです」
中学の頃からこればっかりだった。

金物、太鼓類一式を軽く叩いてみる。
やっぱり違った。
練習どおりできるか不安でいっぱいだった。

「across time叩ける?」
across timeはlocofrankの代表曲ともいえるほどの名曲だ。
「はい」
手が汗ばんできた。
膝が浮いてるようだった。

練習どおり、練習どおり。

スネアの位置を調整し、ライドをハイタムの横にセッティングした。

「じゃやろうか」

龍児は無心でカウントを取った。

-8-
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