片路夜春である僕は、探偵だ。
きっかけとなったのは中学生だった頃、ある事件に巻き込まれ、自分の危機回避能力、咄嗟の判断力などを認められ、友達の誘いで探偵となった。まぁ事件の関係で、学校に生きずらくなったという事もあるが………
妹も探偵だ。だが妹は妹でも、僕の妹は義理だけどな。
そんな説明をしていると、詰まらん小説が一冊分出来そうなので、本題から説明しようと思う。
それはある朝、いつも通り、妹の夢雨ちゃんと一緒に寝ていて(別にいやらしいことは一度もしていない。だって見た目が小学生低学年だもん)営業時間が迫っている事に気付き、僕は寝ている夢雨ちゃんを抱え、寝室から出る為ドアを開けると、その光景はいつもの仕事場ではなく、真っ暗な、宇宙空間の様な場所だった。
僕は夢でも見ているのか?と思い、何気なくその部屋に入ってみると、ドアがバタンっ!っと大きな音を立て、閉まってしまったので、急いで戻ろうとしたが、閉まったドアは開かず、ドアは下から徐々に消えていった。
そのドアが完全に消えると同時にその宇宙空間の様な部屋から見覚えのある声が聞こえた。
「やあ、夜君。お久。百年ぶり?」
明らかに人間離れした挨拶。しかしそんな人外を僕は知っている。
「神様……何の冗談だよこれは。」
神様。時空を支配下におさめるが、表舞台に上がらない為、その存在が不確かな存在。それが神。外見は金髪に少し露出の多い羽衣。しかもモデル顔負けのイケメン。身長も170cmをゆうに超す僕より大きい190cm
「別に神は表舞台に立っていないんじゃないよ。むしろ此処こそが表舞台に近い。それに、世界って言うのは、コインの様な二通りしかない物に例えてはだめだよ。」
指で数え切れるものじゃないんだから、っと付け加える神様
心を読める能力とおしゃべりな性格の為、プライバシーの欠片もない
此処まで聞けば何となくわかると思うのだが、僕と神様はちょっとした縁あって知り合いだ。時々探偵としての仕事もまかされたりする。しかも、結構割の良い仕事。果たしてそのお金はどこで手に入れてきたのもなのか…それについては、考えないようにしている。
「……そんな表舞台に招かれるなんて光栄だけど、何で僕をこんなとこに? 仕事ならこっちに来ればいいだろ。」
「いや、今回の仕事は、ここの方が良い。」
わざわざ表舞台へ招かなくてはならない仕事。……なんとなしに嫌な予感はしていたのだが、それより好奇心の方が上回っていたのが本音だ。
「仕事内容は?」
「まず、夜君。君は本来。中学だったあの頃の事件で死ぬはずだった。」
「はぁ?」
この時、ますます嫌な予感になっていた。だから今死ねとか、余分に生き多分、たっぷり地獄で過ごしてきな、とかは、この神は言わないだろうけど………。
「君は二次小説を見たことあるかい?」
「はぁ???」
君は本来。中学生だった頃死ぬはずだったんだよ。からどうして二次小説の話題につなげれるんだ?? 大体何で神様が二次小説なんか読んでるんだよ。
とそんな疑問を嘆いていると、突然、抱えていた妹の夢雨ちゃんが顔を上げた。
「まっ!まさか!!、よるはるが居ると、こっちの世界にえーきょーをおよぼすから、別の世界に行ってほしーとかそんなテンプレ的なあれですか!!!!??」
夢雨ちゃんは凄く輝きまくった目でそう聞く。今思えば、妹の夢雨ちゃんはアニメとかそういうの好きだった。前にデス様について語っていたし。あ、因みにデス様は昔あったゲームの事です。デスクリムゾン……普通は知らないよな………
「流石、夢雨ちゃん。よく知ってるね……でも残念はずれ。死ぬはずだった人間が死ななかった事なんて、よくあることだよ。逆も然り。」
「じゃあ何でここに呼んだんだよ。」
「それはね。」
「それは?」
「本当は夜君が死んだ後、
『貴方が死んだのは、神の間違いで、死ぬはずじゃなかったのです。だから貴様はどっか他の世界で暮らして来なさい』
・・・・・・・とか言いたかったんだよ。クソっ! 何で死なねーんだよ。確かにそう言う事もあるかな? と思って死亡率も上げといたんだよ。なのに何で?? なんで??」
「夢雨ちゃん。今の此処は夢の世界です。例えあんなのが世界を作ったとか、支配してるとか、そんなのは虚言です。聞き流しなさい。」
その時、神様が余りにも狂っていたので、僕は、夢雨ちゃんの耳を塞ぎ、眼を隠した。
「それでね。お願……「断る!」」
絶対いやだよ。どうせどっかの世界に行って、原作崩壊して来いとかそんな感じだろ? 生憎生きたい世界なんてどこにもねーよ。最近のアニメとかは好きだけど、行って会いたいと思う主人公&ヒロインはいねーよ。と本音が出ていた僕が居たのだが……
「しょうが無いね。」
と神様は指をパチンっ!と鳴らした。すると僕の立っていた床に穴が空き、僕はその穴に引きづり込まれる様に落ちていく。
「わあああああああああああああああああああああ」
「きゃあああああああああああああああああああああ」
因みにアイツの依頼、全て命がけだった。しかも命がけになっているってのに神様はその横で笑っているのだ。クソっ!ちゃんと依頼料は弾めよ。と聞こえるであろう心の訴えをしながら、僕達は穴に引きづり込まれた。
そうして、僕はとある魔術の禁書目録の世界に入った。
★おまけ★
夜「絶対ハンターとか、ワンピみたいな危険な世界にだけは行きませんように!!!」
夢「けいおんとか、らきすたの様な萌え萌えファンタジーワールドに行けますように!!!」
二人の願望は少し似ていたが方向が違った。