小説『ZOAR』
作者:ララ()

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7, 未来の世界






  「夏は、どうしてあたしがこの研究をしてるか、知らないだろ? 」

  突然、香が設計図をふらふら見せて言った。

  「うん、知らない」

  「あたしはこの?ZOAR?で、世界を改革するんだ」

  「うん………って、えぇぇ!!!?? 

  世界を改革するなんてこと、出来るの!? 」

  「知らん」

  「む、無責任な…………」









  
  「だが、あの腐った世界を改革するためには

  間違いなくこの?ZOAR?の力が必要なんだ」

  「腐った…………世界……………? 」

  「あたしのいる未来では、表向きは

  文明の大いに発達した、それはそれはすみやすいところだ。

  しかし、問題はそこではない。

  今の未来では、動物も植物も、何もありはしない、

  生きているのは、地上を支配する人間と、その配下で暮らすロボットだ」










  「動物が!?植物がないって、どういうこと!? 」

  「科学の発展について行けたのは、人間だけだったのさ。
  
  科学を知らぬ動物や植物は、次々に死に絶え

  一度地球は死の星と化した」

  「水の惑星が…………死の星に―――――!? 」

  「それを補うべく創られたのが、ロボットだ。

  人間の忠実な下僕として生み出されたロボットらは

  今も人間の為に、戦えといわれれば国一つ滅ぼし

  死ねといわれれば、何を惜しむでもなく自爆するんだ」

  「ひ、ひどい………………」
 









  「本当にひどいのはどっちだ。こんな世界を作り出した人間だろう!?

  だからあたしは、人間に復讐するんだ。

  本当は、ロボットがどれほど大切なのか

  それを世界にしらしめて、こんな腐った世界を改革するのさ」

  「ふ、復讐って……………

  香ったら、まるで自分はロボット、見たいな言い草だね」

  「くだらないことを言うな」

  「じゃぁ、そのためにこの?ZOAR?が必要ってこと? 」








  「ああ」

  「なんで? どうして?ZOAR?なの?

  未来なら、もっと高度な技術で生み出されたロボットがあるんじゃ…………」

  「あるさ。でもそのロボットの核となっているのは

  あくまで“電気エネルギー”だ。

  あたしの書いたこの?ZOAR?の核は、

  人間の生命。そう生命エネルギーでうごくロボットだろ? 

  未来じゃ、そんなロボットは生み出されてないんだ。」

  








  「んっと……だから? 」

  「人々の知らない未知の兵器で戦う方が

  精神面でも、技術面でもメリットが多いのさ」

  「う〜ん、難しいとこは分からない」 

  「別に構わん。とにかく、あたしにはどうしても

  その?ZOAR?の力が必要なんだ」

  「なるほど。」

  「だが誤算だったのは
 
  偶然助手の老人が、?ZOAR?の設計図を燃やしてしまったことだ。

  設計図の予備を探したが、複製していないからない。

  となれば、完成した段階の

  過去の自分から奪ってこればいいと判断したのさ。」 










  「なんだ、じゃぁあたしが手伝わなくても

  設計図を見たら大丈夫なんじゃない?

  助手もいるみたいだしさ」

  「いや、それは無理だ」

  「なんで? 」

  「助手は、あたしが殺しちゃったから」








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