20, ZOAR製造方法
そんなこととは知らずに、香たち3人は
詳しいZOAR製造方法の作戦会議を開いていた。
特別機械に弱い黎弥は
必死に香や夏の話についてくる。
「と、いうことだ。
ここの648−A線にB2回路を接続してだな……」
「香、そこの6番回路は………」
「待って待って待って!!!
ちょっと待ってよ!香も夏ちゃんも!! 」
「え? 」
「何だ、言うの速いか? 」
「速いって!! えっと、簡単に言えばどういうことなんだ? 」
いまいち理解できず、首を傾げる黎弥に
いらいらと香が答える。
「一回しか言わないからな!!
ZOARには、生命エネルギーを縮小させた“核”と呼ばれる部分があるんだ。
人間で言う脳とか心臓とかの部分な」
「核? 」
「ああ。
直径0,02?程度の一つの核が、ZOARの体内には存在する。
それを破壊されないかぎり、ZOARは決して壊れることはないし
どんなダメージでも、何度でも再生することができるんだ」
「なるほど、で、それはどうやって作る? 」
「核といっても要は、生命エネルギーの凝縮された細胞だ。
人から採取したエネルギーを、あたしの技術で
細胞0,02?に置き換える」
「す、すげぇな」
「簡単なことだ。
後は、その一つの核から肉体を作り上げる」
「つくりあげる? 」
「簡単にいうと、核から全身細胞を作り出して
人の形に積み上げるんだ。この細胞一つの強度は人間の数十倍だな」
「え? そこよく分からないんだけど……」
黎弥が頭をかきながら言う。
しかし香は首を横に振った。
「いーよいーよ、そこはあたしが一人でやるし。
ZOARの構造をある程度知ってれば、それでいいから」
横で聞いていた夏は、
防弾用の強度ガラスで何重にも保護されている設計図を見つめながら言った。
「香ぃ。
ひとまずエネルギーの採取方見せてよ」