小説『ZOAR』
作者:ララ()

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22, Become my slave!!!






  それだけ言うと、香は一本の試験管を手にとった。

  透き通るような青い液体が、音を立ててはじける。

  香はゆっくりと“人”を見下ろした。

  「こいつじゃ、大したエネルギーは期待できないが

  護衛程度にはなるか……………」

  そしてその身体へ向かって、試験管をゆっくり傾けた。








  中から、粘り気のあるどろりとした

  液体が流れ出す。

  それが“人”の皮膚に触れた瞬間に、大きな爆発音を立てて

  真っ白な煙を上げ始めたから大変。

  「うわぁぁぁぁっ!! 」

  と夏は悲鳴を上げてその場にうずくまるし

  黎弥に置いては、驚きすぎて口が開きっぱなしだ。








  
  「うるさいっ!! 黙ってな!! 」

  香はそう叫ぶと同時に、煙の立ち上る“人”の上に

  新たな薬品をかけ始めた。

  白い煙は一段と激しさを増し、悪臭もひどくなる。

  そんな中で、香は次の行動に移った。








  2回目にかけられた液体の作用で

  だんだんと“人”からの煙は薄れていったが

  今度はもっと不気味だった。

  まるで“人”の全身の血管が暴れだすように

  体中の血管が全身に浮かび上がったのだ。

  ドクンドクンと鼓動をたてて、はちきれんばかりの血管がうごめきだす。









  
  「おぇっ……………」

  吐き気を誘うような光景に、夏は口を押さえた。

  「だ、大丈夫? 夏ちゃん」

  震え上がる2人をよそに、香はにやりと微笑み

  こう叫んだ。










  「Become my slave!! 」(あたしの奴隷となれ)
  











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