3, 未来からの訪問者
香夏は耳を疑った。
“宮浪 香夏”、自分と同姓同名じゃないの………
さらに気味が悪くなった香夏は、短く悲鳴を上げた。
目の前の香夏と名乗る女性は、フゥ〜っと煙を吐き出す。
「名前が一緒なくらいでそんなに怖がんないで。
うっとうしいし」
「い、い、一緒って…………どうしてあたしの名前を……………」
「何でって、さっきアンタが自分の名前の書かれた
作文用紙をあたしに見せたじゃないのさ」
「――――――あ、そっか………」
それを聞いて、すこしだけ安堵の声を漏らす。
しかし香夏と名乗るその女性は、さらにおかしなことを言った。
「まぁ、そんなの見なくても知ってるんだけど。
自分のコトくらい知ってて当たり前」
「今……何て? 自分の………コト?
あなたさっきから何言ってるの? 」
「まだわかってないの? 自分ながらにも、悲しくなってくるよ」
「え? 意味が分からない…… 」
「だからぁ! ほんとにアンタがあたしなの!? 」
「―――――――ま、まさか…………――――」
「気づくの、遅いったらないね。
そのまさか。
あたしは未来のアンタだよ」