小説『俺はめだかの世界にいるそうです』
作者:如月暦()

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第2章第3話 筑紫条さんは裏表のない素敵な人です


「反省したか?」

「…ちっ」

「はあ…ったく。俺みたいな化物にてえだすんならともかく、一般人に手を出すのやめろよな…?」

「わかったよ。仕方がない…寛大なる俺が、その条件をのもう」

説教を終えた俺は王様野郎。つまりは都城王土先輩とともに学校へと向かっている。
皆は異様なものでも見るようにこちらをみている。
そりゃあそうだ。13組の生徒と、1組の生徒が一緒に登校しているのだから。

「おうどー!ちょっと待ってよー!」

後ろのほうから、明らかショタコンが喜びそうな声が聞こえる。

都城先輩「行橋か…すまないな。すっかり忘れてた」

「ひどいなー。僕は王土がいないと死んじゃうんだから」

なにそれ。何処の兎?
つーかあなたもしかしてヤンデ―

「それ以上言ったら、あなたの過去をバラすよ。三ヶ木くん♪」

「俺の本名をなぜ知っている!?つーか、俺の思考を読んだな手前ぇ」

「さあどうかなー?」

どうやら、思考を読む=こいつの異常(アブノーマル)らしいな

「じゃあ俺はここで」

「じゃあねー♪」

「…ああ」

そういって、行橋先輩と都城先輩と別れた。


今日も無事に授業を得た俺は家に帰ろうとした。が。

「おーい。つっくー!」

「ん?なんだ?」

「いや。お前に手伝ってほしいことがあってよー」

「…なんすか?」

「…あからさまに嫌な顔すんなよ。生徒会は関係けえねえし、めだかちゃんも…ちょっとは関係してっかな?」

「まあいいよ。…ったく(俺もずいぶんお人好しになったな)」

「わりいな。こんなこと頼めんのは親友のお前だけなんだぜ?」

親…友ね…
カッ。嬉しいこと言ってくれんじゃねえ。



〜柔道部室〜

部員D「こんなにボロボロにされて 引き下がれるか!!」

部員B「コラァァァァ!!たのもーーー!!! 」

部員A「更生なんざしねーぞ!やれるもんならやってみろやーー!!」

…は?
まてまて。ちょっとまて。
何で部員全員がめだかちゃんに戦い挑んでんのさ?
そして何で、何よりお前は…
俺好みのかっこうをしているんだ?

「…いいだろう。私は誰の相談でも受けるし誰の私は誰の」

めだかさん。その格好に似合わないそんなセリフを口にしないで…!
俺泣いちゃうから…!

「…つーくん?何でお前は涙を流してるんだ…?」

時すでに遅し。どうやら俺はもう泣いていたようだ。

「おいめだかちゃん!俺が勝負を挑んでやったか感動してひざまづきな!」

「…む。筑紫条同級生か。よかろう!昨日色々あったが私は誰の挑戦も受ける!」

「おい!?つーくん!?」

すまない善吉!!
俺のわくわくが止まらねえ!!



Side善吉
つーくん…つまりは筑紫条輝明はなぜか俺の記憶に引っかかる。
あいつは死んだはずなのに…何処かあいつの影と重なるのだ。
なんでだか…あいつは…もう死んだのにさ…。なんでそんな夢物語言ってんだろうな。
やっぱり俺は…本当は、めだかちゃんを否定したがってたんじゃないか?

みんなお前みたいに執念深くない。

みんなお前みたいに強くない

みんなお前みたいに…

正義になれないんだ。

間違ってるものを間違ってるといえる。
そんなあいつに憧れてたんだな…俺は。

実際はあの3年生達はなんだかんだ文句言いながらも、更生しないと言いながら、
道場に戻ってきていた…
だから間違ってるみたいと感じた。
そして。生徒会室での言葉を思い出していた。

(私には貴様が必要だから そばにいてほしいだけなのだ)を・・・

「ち…馬鹿げてる…」

本当に…ばかげてる。

まあ、だからこそだな。
後ろの衝撃にぜんっぜん気づかなかった。



― 一方その頃めだかと筑紫条は ―

「ドォラララララララララ!!」

ガガガガガガガガガガ!!

「はははは!どんどんこい!」

「けっ!調子こォーーーーくゥーーーーなァーーーー」

「ぬぬお!?ふっははははは!おもしろい!」

校庭で空中戦をしていた。

-7-
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