小説『フェアリーテイル ローレライの支配者』
作者:キッド三世()

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第三十七話 過去からの刺客







ロキからチケットをもらったその日のうちに俺達はアカネビーチの浜辺に泳ぎに来ていた。


「でけえーーー!!!」


「ひろーいねーーー!!!」


「久しぶりに来たが変わらんな、ここは」


人も多かったがその分海の広さが凄まじい。
俺はパラソルを開いてそこでサングラスをかけて横になっていた。


「何をやっているカイル!!折角来たんだから泳がないか!!」


黒のビキニをつけたエルザが怒る。
カイルは気だるそうにサングラスを押し上げた。


「海ん中でばちゃばちゃやってはしゃぐほどガキじゃねえよ。お前も横になったらどうだ?気持ちいいぞ?」


「う、う〜む。そうかもしれんな……よし、カイル。横になるからこの日焼けどめオイルを塗ってくれ」


最初は嫌がったが誘った手前断れず塗る事になった。


「う〜。ヌルヌルしててキモイな……ちゃっちゃと済ませるぞ。ほら、うつ伏せになれ」


「あ、ああ///」


赤くなりながらビキニの紐を解くエルザ。
背中をオイル塗れの手で塗ってやる。


「ひぁっ!!あ…カ、カイル…オイルは冷たいから少し温めてから塗ってくれ!」


「えー、めんどい。塗ってるうちにあったかくなるだろ」


無視してそのまま塗り続ける。時々喘ぎ声が聞こえるが無視した。


「あーーーーー!!!エルザズルーーーーーい!!!」


二人の姿を見つけたルーシィはこちらへ走ってくる。その勢いのままカイルの背中に抱きつく。


「カイル!!あたしも塗って!!」


「おいルーシィ!!今カイルは私を塗ってるんだ!!少し待っていろ!!」


「いいじゃない!!あたしだって塗って欲しい!!」


「どうでもいいがその状態で起きるなエルザ。俺は見慣れてるが色々まずいぞ?」


ビキニのブラが外れた状態で立ち上がろうとしたエルザは慌てて胸を抱えて座り込む。


「る、ルーシィ!!調子に乗るなよ!!こいつは私のモノだぞ!」


「何よ!!あたしだってもうカイルに抱かれてるんだからね!!」


それを聞くと今度は怒りの矛先が俺へと向かう……
ルーシィ、余計な事を……


「ほ〜。そうか、カイル。先日あれだけ搾り取ってやったのにまだ足りんようだな……言ってくれれば良いものを……今夜は覚悟出来てるだろうな!?」


「ま、待て待てエルザ!!フェアリーテイルの女だったらいいって言ったのはお前らだぞ!!俺はちゃんと約束は守って」
「それとこれとは話が別だーーーー!!!!」「ぎゃーーーーーー!!!!」



踊り狂う剣の乱舞。追いかけ回すエルザからカイルは本気で逃げ回ったのだった……









〜夜、エルザSIDE〜




あの後カイルに逃げきられた私は部屋で休んでいた。
全く!!あいつの女癖の悪さは!!全く!!


と思ってもやはり私はあいつが好きだ。もうこれは病気なんだろう。カイル以外の男は愛せない病気。だがこの病気が嫌いではなかった。ルーシィはわからないがおそらくカナやミラはそうだろう。


鏡に映った自分の姿を見る……顔は悪くないだろう。スタイルもいいはずだ。一般の女性以上に発育してる自信はある。
しかしどうもオシャレというのが出来ない。この姿よりやはり……


ため息をつき、いつもの鎧に換装する。


「やはりこの方が落ち着くな……私という女はしょうがないな」


こんなガサツな女を抱いてくれるだけカイルはやはり優しいんだろう。男はもっと女らしい女が好きなはずだ。


「エルザ!!今からみんなでカジノ行くって!!一緒に来なよ」


ルーシィが部屋のドアを開けて叫んだ。
やれやれ、しょうがないな。


鎧から少し大胆なドレスに換装する。


「こんな感じか?」


「ノリノリね…。」


「遊び尽くさねばカジノに失礼だからな。カイルは?」


「まだ誘ってない。部屋にいるとは思うけど」


「わかった。カイルを誘った後すぐいく」


少し不満を垂らした後、ルーシィはカジノへと向かった。
エルザはカイルの部屋に着く。


「カイル!!今からカジノへ行くぞ!!一緒に来い!!」


ドアを開け放ちながらズカズカと入ってくるエルザ。
するとカイルはやけにシリアスな顔をしてあぐらを組んでいた。


「ど、どうした?カイル…」


「カジノか……悪いがお前らだけで行ってくれよ。賭け事ってあんま好きじゃねえし、なんかやな予感がするからよ」


断られるのは想定内だった…こいつは昔からギャンブルの類は強いが強いゆえにつまらないと思っている。
だがこんなシリアスになっているとは思わなかった。


「行かないと言うなら無理には誘わないが…たまにはいいんじゃないか?自分に優しい日があっても…」


「そうだな。だからお前は行って来いよ。大勝ちして帰って来な」


手を降って送り出すカイル。
やな予感……か。あいつのカンは当たるからな…もしかしたら素寒貧にされるかもしれんな。










〜カジノ〜




エルザとルーシィはポーカー、グレイはジュビアと対談、ナツはビンゴゲームでクレームを出している。


「すごぉい!!エルザ!!また勝った!!」


「ふふ、今夜はついてるようだな…」


冷や汗かいているディーラーが他のディーラーと交代する。
そこには懐かしい、が会いたくない顔がいた。


「やあ、久しぶり。エルザ姉さん」


「……シ、ショウ…」


「会いたかったよ、姉さん。カイル兄さんはどこだい?彼にも用があるんだけどな」


そして突然照明が落ちる。エルザは魔法で睡眠薬を注射され、眠りに落ちる。
ナツ達もそれぞれ襲撃され、突然の出来事に何もできなかった…








照明がつき、周りを見渡すとそこにはエルザとハッピーがいなかった…


グレイはジュビアの水の中に隠されていた。氷で自分の人形を作っていたのだが、それが無駄になった事に少し怒っている。
ナツは自分の顎を抑え驚いていた。


「いきなりクチン中に鉛玉ぶち込むとかマジか!!下手すりゃ大怪我じゃねえか!!」


「普通はそれでアウトなんだけどね…」


「とにかくエルザとハッピーを追うぞ!!カイルを呼んで来い!!」


その後カイルの部屋に向かったが、もうそこにカイルの姿はなかった……




















〜楽園の塔〜



そこで捕まっていたエルザはショウに自分たちが何をやろうとしているかを聞かされていた。


「僕たちが世界の支配者になるのだぁああああ!!!!ハハハハハハハ!!!!」


エルザが歯ぎしりをして悔しがっていると突然ショウの笑い声が止まった。


後ろに警備兵のような人物が立っている。彼がショウの首に手刀をいれて気絶させたのだ。


「だ、誰だお前は…」


「誰だはねえだろう。折角助けに来た相棒に向かって」


その男が顔に手をやると鎧や平凡な顔が霧散して行き、そこにはエルザの愛する男がいた。


「カイル!!」


「やっぱり俺のカンは当たるな〜。我ながら感心するぜ」


背中の剣でエルザの拘束を解き放つ。
すぐに鎧に換装するエルザ。


「あのショウがここまでゆがんぢまうとは……一体何をやったんだ、ジェラールは」


「ショウは私達がジェラールを見殺しにしたと言っていた」


「そこからまずおかしいな……とにかく会いに行かなきゃなんねえだろう」


「ああ、行くぞ。ジェラールを倒しに…」


そう言うと、二人で肩を並べて歩いていく…しかしカイルは一抹の不安を抱えていた。



(お前がジェラールと闘えんのかよ…)





















あとがきです。遂に始まった楽園の塔!!過去編書こうかとばそうか迷ってます。ご意見で決めたいと思います。もし何もなかったら書かずに行きます。それでは次回【心の鎧】でお会いしましょう!!

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