たま彦は、病院のベッドの上で薬漬けにされていた。
たま彦「ぜぇぜぇ…苦しい…」
主治医「自分の身体を、何だと思ってるんだ?」
たま彦「ぜぇぜぇ…肺が…先生…苦しいんです…」
主治医「当たり前だ!池袋から、横浜まで全力疾走したんだろ?」
たま彦「ぜぇぜぇ…だって…千秋が…千秋が…」
主治医「もう、喋るな!生きてるのが奇跡なんだぞ!」
看護婦「先生!すぐ来てください!患者さんの様態が急変しました!」
主治医「何だと、誰だ?」
看護婦「ペ さんです!」
主治医「なんてこった!
西園寺財閥の会長、
西園寺 ペ 四淳様の様態が急変しただと?
確かに今は、西園寺の名を捨て、
旧姓の ペ
を、名乗っているとはいえ、
日本屈指の財閥の会長だぞ!
理由は分からないが、
たま彦さんと、
千秋さんの後ろを…
追いかけていて、
川崎あたりで倒れていた
ペ さんが急変だと?」
たま彦「うるせぇなぁ!早く行ってやれよ!何だその説明セリフ?」
看護婦「先生! ペ さんが、たった今、亡くなりました。。。」
たま彦「だから言ったじゃないか!」
主治医「なんてこった。。。
日本屈指の財閥、
西園寺グループが傾きでもすれば…
稲森コーポレーションが、
のさばってくるのは…
目に見えている!
そうなると…
中村カンパニーも、
圧力を受けることになるぞ!」
たま彦「何だって?俺の会社が…?」
暮れゆく夕焼けの空に、
たま彦は何を見たのか?
その時はまだ、
自分の身に起こる惨劇を、
知る由もなかった。
ヒグラシが鳴いていた。。。