ビスッ ビスッ ビスッ ───。
雄也は2mほど吹き飛ばされながらも、即座に硝煙たなびくサイレンサーを視界に捉える。
「何度言えば分かるんだ? 闘いの最中に気を抜くなとあれほど言っておいただろう?」
三発の銃弾をその身に受けた岩は、言ってからジロリとその銃を構えた女を睨みつけた。
「どういうつもりだ? 洋子。」
「あら、貴方がピンチに見えたから手を貸そうと思っただけよ?」
いけしゃあしゃあと言い放ちながらも、銃口はピタリと雄也をマークしている。
「お前のおかげで油断したこいつにとどめをさせなかったんだがな?」
「片腕で? 貴方が彼に勝てるとでも?」
「ふん。まあいい。ポジションの守れない者とは仕事はできない。 今日は引かせてもらうぞ。」
洋子に吐き捨てるように言うと、雄也に向き直る。
「いいか?『眠り姫のガーディアン』を倒すのは俺だ。 それまで他の誰かに殺されるようなドジは踏むんじゃないぞ。」
そう言うと、くるりときびすを返し、来た時と同じように堂々と正門から去ってゆく。
銃弾を受けているにもかかわらず、しっかりとした足取りで。
洋子はその背中に止めを刺すべく、銃口を向けようとした時、雄也が口を開いた。
「その銃口が、俺から僅かにでも外れれば、お前の命はないぞ?」
洋子はハッとして雄也を見る。
『眠り姫のガーディアン』を宿した雄也を。
「やっと逢えたわ。」