小説『IS インフィニット・ストラトス 〜闇“とか”を操りし者〜』
作者:黒翼()

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更新が遅れてすみませんでした。
学園祭の準備があって、執筆する時間がほとんどありませんでした。
学園祭も終わったので、これで更新が再開できる……かと思いきや、テストがあるのでまた途切れそうです……。
すみません……。



第四十一話『トーナメント事後』



『トーナメントは事故により中止となりました。 ただし、今後の個人データ指標と関係するため、全ての一回戦は行います。 場所と日時の変更は各自個人端末で確認の上―――』

「やっぱこうなったか」

「むしろこうならないほうがおかしいよね。 あ、一夏、七味取って」

「はいよ」

「ありがと」

一夏とシャルロットは、当事者であるのにのんびりと食事を取っていた。
批判が来そうなものだが、先ほどまで教師陣からの事情聴取、及びに一夏には独断行動に対してのお説教があったのだ。
まあ、説教に関しては、一夏は聞き流していたのだが。
で、教師陣に解放されて食堂に来てみれば食堂終了時間ギリギリで、話を聞きたいらしい女子群が待ちうけ、とりあえず夕食を食べてからということで、何とか夕食にありつけているのだ。

「寮食も学食も、普通にうまい。 まあ、琉歌姉や夜空姉たちほどじゃないけど」

「あはは。 琉歌さんたちの料理って本当に美味しいからね。 ……あれはどうしたのかな?」

シャルロットは、周りの女子を見てそう言った。
先ほどまでは、一夏たちの食事が終わるのを今か今かと待っていた女子たちが、酷く落胆していた。

「……優勝……チャンス……消え……」

「交際……無効……」

「……うわああああんっ!」

そう嘆き、ほとんどの女子が泣き叫びながら立ち去っていった。

「どうしたんだろうね?」

「さあな」

まあ、ああなった原因は噂なのだが、どの道あの噂が実現する確立は皆無なので、一夏たちが気にするだけ無駄なのだ。
一夏とシャルロットが組んでしまった以上、この学園に追随出来る者など、存在しないのだから。

「………………」

そこに、放心状態の女子が一人、残っていた。
まあ、その女子とは噂の根源である篠ノ之箒なのだが。

「あー、そういえば、お前が言っていたことだが―――」

「ぴく」

僅かに反応した篠ノ之箒。
すでに虫の息である。

「そもそも俺が了承してない時点で無意味ってことくらい、わかってたよな。 まあ、中止になった以上今更だけど」

そんな篠ノ之箒に一夏は、止めを刺した。

「俺が出た時点で無理ってこと、どうしてわかんねえかな? お前、どれだけ自分を過大評価したら俺に勝てるって思い上がったんだ?」

一夏は理解が出来ないというように、呟いていた。
その言葉は箒には届いていなかったが、箒は床に倒れた。

「あ、あはは……って、どうしたの!? 篠ノ之さん!?」

一夏の呟きに苦笑していたシャルロットは、倒れた箒に気づいて慌てて駆け寄った。

「とりあえず、そこに放置しておくのはまずいか。 どっかに運ぶか」

「でも、どこに運ぶの? 流石にこの時間に保健室は開いていないと思うし、篠ノ之さんの部屋も知らないし」

「調べるのも面倒だし、まあ、しばらくここで様子見だな」

一夏は箒を抱き上げ、近くの椅子に寝かしておいた。

「でも、急に倒れるなんて、どうしたんだろ?」

「さあな。 でも、そこまで酷そうなものではなさそうだし、そこまで危険視しなくてもいいだろう。 まあ、あってるかどうかは知らんけど」

一夏は、箒の呼吸、脈、体温でそう判断したのだ。
まあ、医療の知識があるわけではないので、推測でしかないのだが。

「とりあえず、限界まで起きなければ、運ぶしかないな」

「そうだね。 少し、ここで話してよっか」

箒の額に濡れタオルを置いて、一夏とシャルロットは話し出した。

「シャルルってさ、特殊な相互意識干渉(クロッシング・アクセス)って起こったことあるか?」

「特殊な相互意識干渉(クロッシング・アクセス)? それって、操縦者同士の波長が合うと起こることがあるって言う、あれのこと?」

「ああ」

「んー、僕は起こったことはないかな。 それって、相当レアなケースらしいから」

そこまで言ってから、シャルロットは若干不機嫌そうになった。

「……そんなこと聞くって事は、あったの? ボーデヴィッヒさんと?」

「ああ。 二人だけの空間で、あいつと話した」

「へー、そう」

一夏が肯定したことにより、より不機嫌になるシャルロット。
もっとも、そこまで表に出してはないないが。

「あ、闇影君にデュノア君。 ここにいましたか。 さっきはお疲れ様でした」

「いえ、大丈夫です。 あの程度なら、アップ程度にしかなりませんから」

織斑千冬本人ならば、本気で戦うだけの価値はあるが、意思のない機械が相手なら、所詮アップにしかならない。

「そうですか。 それよりも、朗報です!」

ぐっとガッツポーズをする真耶。
それにより、豊満な双丘が揺れ、一夏は視線を彷徨わせる。

「なんとですね! ついについに今日から男子の大浴場使用が解禁です!」

「お、ついにですか。 てっきり来月になると思っていましたよ」

「それがですね。 今日は大浴場のボイラー点検があったので、もともと生徒は使えない日なんです。 でも点検自体はもう終わったので、それなら男子に使ってもらおうって計らいなんですよ。 お兄さんも使ってくれて結構ですので、言っておいてくれませんか? 私も見かけたら言っておきますので」

「わかりました」

戦艦に風呂があるので、そこで刹那は風呂に入っているから、別に言わなくてもいいのだが、ここで了承しておかなければ、多少面倒なことになるのはわかっていたので、一夏は頷いておいた。
ちなみに、一夏は風呂好きであるが、ほとんど入れていない。
シャルロットがいなければ好きなときに戦艦に行って風呂に入れるのだが、シャルロットがいる以上、そうはいかない。
シャルロットには、まだ戦艦については教えていないので、言い訳作りが面倒なのだ。

「大浴場の鍵は私が持っていますから、二人は着替えを取りに行ってください。 脱衣所の前で待っていますね」

少し間を空けて、真耶は寝かされている箒を見た。

「先ほどから気になっていたんですが、篠ノ之さんはどうしたんですか?」

「さっき、急に倒れたので、寝かせているんです。 この時間帯だと、保健室も開いていないだろうし、彼女の部屋もわからないので」

「そうですか。 すみません、闇影君。 篠ノ之さんを運んでくれませんか?」

「構いませんが、どこに?」

「篠ノ之さんの部屋までです。 場所なら、私が知っているので大丈夫です」

「わかりました」

一夏は、ひょいっと箒を抱きかかえると、真耶の後についていった。
シャルロットも、一夏の後につき、箒を抱きかかえる一夏に不機嫌になり、同時に抱きかかえられている箒を羨ましく思っていた。


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