入学試験1
あの転生から10年。
俺、星神(ほしがみ)天魔(てんま)は無事に遊戯王の世界に転生したらしい。
らしいというのは、俺にはここが遊戯王の世界なのかどうかという根拠になる知識がないからだ。
しかし、あの(自称)神様が与えてくれたアイテム(デバイスというらしい)が優秀で、この世界に来た時にいろいろと教えてくれた。
しかも、こいつはデュエルディスクというこの世界では必需品と言っても過言ではない物にもなれるという優れものだ。
ただ、デュエルする時に勝手に俺の服装を変え、左目の辺りに刺青の様なものが浮かび上がり、左目の色を変えたりする事が多々ある。
これにいったい何の意味があるんだ?
『マスター、そろそろお時間です』
俺以外に誰もいない部屋に無機質な女性の声が響く。
声の主は、先ほど紹介したデバイス、リインからだった。
天魔「お、もうそんな時間か。」
今日は、海馬ランドでデュエルアカデミアというデュエルモンスターズについて学ぶ学校に入学するための実技試験が行われるからだ。
天魔「それじゃ、行くか」
俺は待機形態であるペンダントのリインとデッキケースを持って家を出て行った。
俺は今、海馬ランドの入試会場に向かって走っていた。
理由?
電車の事故で予定よりもだいぶ遅れちまったんだよ!!
天魔「ちくしょう!もう少し早く出てればよかった・・・」
リイン『マスター、一つ申し上げたい事が』
天魔「後にしろ!今はそれどころじゃねぇから」
リイン『しかし・・・』
そんな事を言い合っていると、目の前に入試会場のドームが見えてきた。
だが、受付係と思われる黒服の人達は片付け始めていた。
間に合え!!
「「ちょっと待ったああああああ!!!!」」
俺の声と重なる様に俺の後ろから誰かの声が聞こえた。
天魔「受験番号39番、星神天魔です」
十代「受験番号110番、遊城十代、セーフだよね?」
「受験番号39番と110番だね。確認は取れたが、一応遅れた理由を聞いてもいいかい?」
遅れた理由?んなもん決まってんだろ。
「「電車の事故です」」
どうやら遊城とか言う奴も同じ電車だったらしい。
「わかった。試験官には私から伝えておくから君たちは早く会場に行きなさい」
天魔「わかりました」
十代「ありがとうございます」
そう言って、俺達は会場に向かって走って行った。
天魔「そう言えばリイン、何か言いたい事があったんじゃねぇのか?」
リイン『はい、電車の事故の際、私を使っていれば遅れなかったのではと伝えたかったのですが』
!?そ、その手があったか・・・!!!
十代「どうしたんだ、一体?」
ユベル『別に気にしなくていいんじゃないか、十代』