( このままでは一生おまえの目を真っ直ぐに見て、「正しいことをするんだぞ」とか 「嘘をついてはいけないよ」などと言えないんだものな。 私自身が馬鹿げた行いをしてしまっているから。 私は父親失格だ。アマンダに対してもそうだ。私は夫として彼女に値しない。 情けない話だが、私はついに自分の犯した罪をアマンダに告白することができなかった。 勇気がなかった。軽蔑されるのが怖かった。 今だって怖い。 彼女がどれだけ私を愛し信頼してくれているか知っているからこそ、 本当の自分──愚かで子供っぽくて嘘つきで、過去の罪の告白さえできない意気地なしの男── とわかって愛想を尽かされたくない。 そういうわけで、 おまえの誕生後、私は精神的に不安定になって随分アマンダを苦しめてしまった。 今思い返してもあの頃の私は最悪だった。 自分の採るべき道をあれこれ考えて夜眠れず、 ベッドを抜け出しては幾晩もこの洞窟で盗んだ像達を眺めて過ごしたり、 かと思うと、彫像を取り戻すべく〈墓堀人〉が追いかけてくる夢を見た翌日、 とり憑かれたように、略奪品を運搬したヨットを例の入江沖に沈めたりした。 こんな常軌を逸した行為も、その時点では自分の犯罪の証拠を隠蔽し、同時に、 財宝の隠し場所を〈墓堀人〉からカモフラージュするのに有効だと本気で考えていたんだ。 だが、私のやった最も浅墓な行為は(勿論、古代遺物略奪を除いてはという意味だ。) 幼いおまえの肌を傷つけたことだ。 アマンダがおまえを連れて出て行くのも時間の問題だと悟った時、 私はおまえの右足の裏に刺青を彫らせた。