小説『IS インフィニット・ストラトス 〜銀の姫と白き騎士〜』
作者:黒翼()

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第十五話『実習』



Side〜ウリア〜

「では、本日から格闘戦及び射撃を含む実践訓練を開始する」

「はい!」

一夏と女子の疑いがあるシャルル・デュノアが到着し、なぜか鈴とセシリアが千冬義姉さんに叩かれていたが、今はラウラとシャルル・デュノアについてです。
あ、鈴が一夏を蹴りました。
あとでお仕置きしませんとね!

「今日は戦闘を実演してもらおう。 ちょうど活力が溢れんばかりの十代女子もいることだしな。 ―――凰! オルコット!」

あ、鈴のお仕置きが実行されました。

「な、なぜわたくしまで!?」

多分鈴のとばっちりです。
諦めましょう。

「専用機持ちはすぐに始められるからだ。 いいから前に出ろ」

ぶつぶついいながらも前に出る二人。
千冬義姉さんが怖いんですね。

「お前ら、少しはやる気をださんか。 ―――全力のウリアとやらせるぞ?」

「や、やはりここはイギリス代表候補生、わたくしセシリア・オルコットの出番ですわね!」

「ま、まあ、じ、実力の違いを見せるいい機会よね! 専用機持ちの!」

? 千冬義姉さんは何を言ったのでしょうか?
急にやる気になりましたが……。
しかも何かに怯えているような……。

「そ、それで、相手はどちらに? わたくしは別に鈴さんとの勝負でも構いませんが?」

「ふふん。 こっちのセリフ。 返り討ちよ」

「慌てるなバカども。 対戦相手は―――」

キィィィィン……。

「ああああーっ! ど、どいてください〜っ!」

一夏に向かって落ちていきます。
一夏はとっさに白式を展開して、その落下物を受け止めた。
ふう……、よかったです。

「山田先生、大丈夫ですか?」

む、あの落下物は山田先生だったんですか……。
教師ともあろう人が、ISに乗って落下するとは……。
一夏に何かあったらどうするんですか!

「おいアインツベルン。 殺気を抑えろ。 周りの女子たちが怯えている」

「……仕方がありませんね」

あとで個人的に殺らせてもらえるように取り計らってもらいましょう。
え? 字が違う?
そんなことはありませんよ?

「で、山田先生はいつまで私の一夏にくっついているつもりですか? 流石の私も怒りますよ?」

「す、すみませんっ!」

謝りながら離れる山田先生。
始めからそうしていればいいんですよ、まったくもう。

「(ウリア、安心しろ。 ちゃんとやらせてやる)」

「(ありがとうございます、千冬義姉さん)」

千冬義姉さんとのアイコンタクト。
やっぱりわかってくれてますね。
流石は未来のお姉様。

「さて、さっさと始めるぞ」

「え? あの二対一で……?」

「いや、さすがにそれは……」

「安心しろ。 今のお前たちなら直ぐに負ける」

負けるといわれたのがよほど悔しいのか、二人は瞳に闘志をたぎらせる。
単純ですね。

「では、はじめ!」

号令と同時にセシリアと鈴が飛翔する。

「手加減はしませんわ!」

「アタシも手加減は無し!」

「い、行きます!」

山田先生はさっきとは切り替わって目つきが違う。
なぜ最初からそうではないんですか……。
それなら、一夏に向けて落下することもなかったでしょうに……。

「さて、今の間に……そうだな。 ちょうどいい。 デュノア、山田先生が使っているISの解説をしてみせろ」

「あっ、はい」

「山田先生が使用されているISはデュノア社製『ラファール・リヴァイヴ』です。 第二世代最後期の機体ですが、そのスペックは初期第三世代型にも劣らないもので、安定した性能と高い汎用性、豊富な後付け武装が特徴の機体です。 現在配備されている量産型ISの中では最後発でありながら世界第三位のシェア持ち、七カ国でライセンス生産、十二カ国で制式採用されています。 特筆すべきはその操縦の簡易性で、それによって操縦者を選ばないことと多様性役割切り替え(マルチロール・チェンジ)を両立しています。 装備によって格闘・射撃・防御といった全タイプに切り替えが可能で、参加サードパーティーが多い事でも知られています」

さすがはデュノア社の人間です。
自社の機体だから、説明はお手の物ですね。

「ああ、いったんそこまででいい。 ……終わるぞ」

山田先生の誘導により、鈴とセシリアがぶつかったところにグレネードを投擲。
その爆発で勝負が決した。
鈴とセシリアの負けだ。
その二人は醜い言い争いをしている。

「さて、これで諸君にもIS学園教員の実力は理解できただろう。 以後は敬意を持って接するように。 ところで山田先生、もう一戦やれるか?」

「は、はい。 あまりダメージを受けなかったので大丈夫です」

「ということだ。 アインツベルン、出て来い」

「はい」

ふふふ、これで殺れますね……。

「ウリア、殺るのはいいが、やり過ぎないように」

「字が違いますぅ!」

「わかってますよ、千冬義姉さん」

「無視ですかぁ?!」

山田先生が何か言っていますが気にしません。

「さて、山田先生、殺りましょう」

「だから字が違いますぅ!」

私は【英霊・エミヤシロウ】で展開する。

(やりますよ、シロウ)

<了解した>

「では、始め!」

私は(干将・莫耶(かんしょう・ばくや))を投影します。
山田先生はアサルトライフルで撃ってくるが、それは避け、剣で弾く。

「一気に仕留めます!」

両手の剣を投擲し、さらに投影し投擲の繰り返しで五組の夫婦剣が飛び交う。
私はさらに投影して接近する。
飛び交う夫婦剣は互いに引き付けあい、交差するように山田先生を切りつける。
山田先生はそれを避け、打ち落とすが、隙を作るのが狙い。
打ち落とされた剣は霧散するから爆破しても問題ない。
私は瞬時加速で急接近して斬りつけ、通り過ぎてから後ろへ投擲する。

「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

山田先生の周りを浮遊していた三組の剣と、先ほど投げた一組の剣が爆発する。
計四組、八本の剣による爆破に巻き込まれた山田先生は落下した。

「まあ、これがアインツベルン社の企業代表の実力だ。 では専用機持ちはアインツベルン、織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰だな。 アインツベルンはボーデヴィッヒとペアでやるように。 それでは八人グループになって実習を行う。 各グループリーダーは専用機持ちがやること。 いいな? では分かれろ」

私はラウラとですか。
大方、取っ付き辛いラウラのサポートでしょう。

「ラウラ、やりますよ」

「了解しました」

ラウラって私にも従順なんですよね。
って、一夏とシャルル・デュノアの周りに女子たちが集まっていますね。
怒られますよ?

「この馬鹿者どもが……。 出席番号順に一人ずつ各グループに入れ! 順番はさっき言った通り。 次にもたつくようなら今日はISを背負ってグラウンド百周させるからな!」

ほら、怒られちゃいました。
これぞ鶴の一声ですね。
あっという間にグループが出来上がりました。
周りはぼそぼそと話しているが、私たちの班は沈黙している。
ラウラが原因ですね、きっと。

「ええと、いいですかーみなさん。 これから訓練機を一班一体取りに来てください。 数は『打鉄』が三機、『リヴァイヴ』が二機です。 好きなほうを班で決めてくださいね。 あ、早い者勝ちですよー」

山田先生はいつもよりもしっかりしている。
なぜでしょうか?

「……さて、リヴァイヴと打鉄、どちらがいいですか?」

「えっと、リヴァイヴで」

「それでいいですか?」

「あ、はい」

「では、取りに行きますよ。 早い者勝ちですからね。 ラウラも行きますよ」

「……了解しました」

『各班長は訓練機の装着を手伝ってあげてください。 全員にやってもらうので、設定でフィッティングとパーソナライズは切ってあります。 とりあえず午前中は動かすところまでやってみてくださいね』

さて、しっかりやらないと。
時間内に終わらせましょう。
でないと、居残りですからね。


Side〜ウリア〜out



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