小説『IS インフィニット・ストラトス 〜銀の姫と白き騎士〜』
作者:黒翼()

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第二十話『誕生日プレゼント』



Side〜ウリア〜

「ねえ、君可愛いね」

「今暇?」

「俺たちと一緒に遊びに行こうよ」

「退屈にはさせないからさ」

突然ですが、私は今ナンパされています。
見るからにチャラ男な風貌な男が四人、私を囲って誘ってきました。
私は一夏とのデートの待ち合わせでここにいるんですが、まだ集合時間の一時間前です。
だって、一夏を待たせるよりも待つ方が好きですからね。

「結構です。 待ち合わせがあるので」

「こんな可愛い子を待たせてる奴なんて放っておいて、俺たちと行こうよ」

「………………」

……しつこいですね。
もうこの際ハサンにでも頼んで殺さない程度に暗殺させましょうか……。

<ウリアスフィール。 結局殺しています>

(じゃあどうすればいいんですか! この迷惑な連中は絶対に諦めませんよ?!)

<だからといって暴力で黙らせるわけには……>

アルトリアと話していると、一人の男が私に触ろうとしてきたため、その腕を取り締め上げる。
下心丸出しの男なんて、汚らわしいです。

「いだだだだっ!」

「私に触らないでください。 迷惑です」

もうこのまま間接外してしまいましょうか……。

<少しいいですか?>

(どうしました? ディルムッド)

<こちらに近づいてくる人が一人。 彼のようです>

(え?)

ドカッ!

「ぐへぇ!」

目の前にいた男の一人が現れた男性に殴り飛ばされた。
その殴り飛ばされた男は、三メートルは飛んでいました。

「おい、俺の女に何してんだ?」

そんな格好いいセリフを言いながら登場した一夏でした。

「一夏!」

「おう。 悪いな、遅くなっちまって」

颯爽と登場した一夏はいつも以上に格好良く見えました。
素敵ですっ、一夏!

<おいウリア! それ以上は!>

突然シロウの焦った声。
そして、

コキュッ。

そんな小気味のいい音が鳴った。

「うぎゃああああっ!?」

そして近くから聞こえる男の悲鳴。
どうやら、私は締め上げていた男を無意識でさらに締め上げ、間接を外したようです。
まったく気づきませんでした。
ま、でもいいですよね、別に。
だって私は 正 当 防 衛 (ここ重要です。 テストに出ますよ?)ですから。

<さすがに過剰防衛ではないかのう?>

<おそらく、この程度ならば正当防衛で済むでしょう。 この世界は女性が優遇されているので、多少やりすぎても正当防衛で大丈夫なはず>

(そうです。 それに私は何度もお引取り願ったのに、勝手に触ってこようとするし、最悪です)

「ふう。 ウリア、大丈夫だったか?」

あ、意識を男たちに戻すと一夏に伸されていました。

「はい。 ありがとうございます、一夏」

「どこか汚されてないか? 触られてないか?」

心配そうな顔で私を見る一夏。

「触らせそうになりましたけど、その男なら間違えて関節外しちゃいましたし、大丈夫です」

「そっか、それならよかった……」

安堵する一夏。
そんなに心配してくれていたんですね。

「んじゃ、警察呼んで連れてってもらうか」




 ☆




結局あの男たちは警官に連行されました。
いい気味です。

「ごめん、ウリア!」

「一夏は謝らないでください! 悪いのはあの人たちなんですから! それに、一夏は助けてくれたじゃないですか!」

だから、一夏は何も悪くありません!
悪いのは、あの変態たちです!

「だけど、俺が遅くならなければあいつらに絡まれなかったし……」

「予定の時間よりも早く来ていた私にも非がありますし、一夏は気にしなくてもいいんですっ」

「ウリアがそういうなら……」

「行きましょう、一夏」

あ、そういえばデートって久しぶりですね。
最近出かけてもいませんし。

「ああ、そうだな」

「えいっ」

私は一夏の腕にくっつく。

「っと、どうしたんだ?」

「腕、組んじゃだめですか?」

「だめなわけ無いだろ? むしろしてください」

「正直ですね、一夏は」

「ウリアには正直でいるさ。 何たって俺の大好きな彼女だからな」

そんな真剣な眼差しで見つめながら言うなんて反則です。
また惚れ直しちゃうじゃないですか。

「ささっ、早く行きましょう一夏!」

「わかったからそんなに引っ張るなって!」

時間は有限なんですから、時間いっぱい楽しみませんとね!




 ☆




「ウリア、いいのは見つかったか?」

「どれもいいですけど、やっぱり一夏が決めてください」

今はアクセサリーショップで私の誕生日プレゼントを選んでいます。
サプライズよりも、私が気に入る物をプレゼントする方を優先してくれたみたいなんです。

「俺がか? そんなセンスないと思うけど……」

「一夏が似合うと思ったものを勝ってくれればいいんです。 私はそれが一番嬉しいですから」

「そうか? じゃあ選んでくる」

そう言って一夏は選びに行きました。
どんなものを選んでくれるんでしょうか?
楽しみです。
まあ、一夏が選んでくれたのならどんなものでもいいんですけどね。
そもそも一夏と一緒にいれるだけで、私は満足ですし。

『本当にあいつを愛しているな、マスター』

『当然です。 私は一夏が大好きですし。 未来の私も、貴方を愛していたはずです』

なんたって私ですからね。
私が、一夏を嫌いになるわけないですからね。

『そうだな。 俺はつくづくいい女に出会えたものだ』

『ふふっ、そうですか』

そういう貴方もいい男ですよ。
私にとって一夏は、未来永劫唯一愛する男性です。

「ウリア、これなんてどうだ?」

一夏が戻ってきて、私に選んだものを渡す。
それは銀のネックレスで、雪の結晶のような装飾がついていました。

「ウリアには雪が似合いそうだからこれにしてみたんだ。 どうだ? 駄目か……?」

「いいえ、これでいいです。 一夏が選んでくれた物ですから、私はそれで満足です」

「そっか。 じゃあ、これを買おう」

そう言って一夏はそのネックレスを持ってお会計をして戻ってきた。

「はい。 少し遅いけど、誕生日プレゼントだ。 誕生日おめでとう、ウリア」

「ありがとうございます、一夏。 ……あの、一夏」

「どうした?」

「その、これ、付けてもらってもいいですか?」

「ああ、いいぜ」

一夏はネックレスを持ち、手を私の首へと回す。
そして、一夏の手が放れると、首元には一夏から貰ったネックレスが光っていた。

「どう、ですか?」

「凄く似合ってる」

「そう、ですか? ありがとうございます」

「ああ。 じゃあ、次行こうぜ。 まだ時間は大丈夫だからな」

「はい、そうですね」

その日は時間いっぱいまで楽しみ過ごしました。


Side〜ウリア〜out



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