小説『IS インフィニット・ストラトス 〜銀の姫と白き騎士〜』
作者:黒翼()

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第二十九話『自由時間の一時』



Side〜ウリア〜

私は束さんのことは気にせずに、水着に着替えました。
そんな私の手には、シートとパラソルがあります。

「お待たせしました」

「いや、そんなに待ってないさ。 その荷物、俺が持つよ」

「あ、お願いします」

私は荷物を渡します。
一夏のその気遣いが嬉しいです。

「ウリア。 その水着、似合ってるよ。 可愛いぞ」

「ありがとうございます♪ 一夏も格好いいですよ」

私の着ている水着は白桃色のビキニです。
ちなみに、一夏が着ているのはネイビーのトランクスでした。
似合ってますね。

「にしても暑いですね……暑いのは苦手です……」

「ああ、そういえばウリアの家って一年中雪景色だったんだっけか?」

「はい。 寒い方が私としては助かります」

ドイツの城は一年中冬みたいなものですからね。

「あ、織斑“夫婦”だ!」

あ、誰かが夫婦って言いましたね。
やっぱり素晴らしい響きです。

「あ、本当だ!」

「やっぱりお似合いだねっ!」

「体かっこい〜。 鍛えてるね〜」

「アインツベルンさん、すっごいスタイル……羨ましい!」

常に自分を磨いていますからね。

「ねぇねぇ、後でビーチバレーしようよ!」

「だってさ。 どうする?」

「大丈夫ですよ」

暑さはきついですが、問題ありません。
あ、そうだ。
この暑さは苦手なので、ちょっと魔術を施しましょう。

「時間があればなー」

私たちは女生徒と言葉を交わし、砂浜にシートを敷き、パラソルを刺す。

「では、お願いしますね」

私はシートにうつ伏せに寝て、背中の紐を解く。

「ああ。 背中だけでいいのか?」

「はい。 あ、できたら脚やお尻もお願いします」

「さ、流石にここでお尻を塗るのはちょっと……」

「でしたら、背中と脚をお願いしますね」

まあ、見られていますからね。

「じゃあ塗るぞ」

「ひゃぅっ!」

ひやっ、とした手が背中に触れます。
いきなりだったので、変な声を出しちゃいました。

「い、一夏、サンオイルを少し手で温めてから塗ってくれると助かります。 冷たいので」

「あ、ああ、悪い」

一夏はサンオイルを手で温めてから塗り始めました。

「んっ……はぁっ……」

一夏の手が気持ちよくて自然と声が漏れてしまいます。

「……ウリア、わざと声出してないよな?」

「わざとじゃ……んっ……ないです……はぅ……」

自然と出てしまうんです。

「あ、アインツベルンさん、声エローイ」

「織斑君の手つきもエローイ」

「いや、マッサージもしてるだけだからな? 厭らしいことは何も無いからな?」

でも、一夏の手が気持ちいいんですよ。




 ☆




一夏がサンオイルを塗り終わると、シャルロットとタオルミイラが来た。

「あ、ウリアに一夏。 ここにいたんだ」

「ああ。 ウリアにサンオイルを塗っていたんだ。 ……で、そのタオルおばけはなんだ?」

「……ラウラ、ですか?」

左目の辺りに眼帯があるので、ラウラでしょう。
普段から眼帯なんてしているのはラウラくらいですからね。

「うん、そうだよ。 ほら、出てきなってば。 大丈夫だから」

「だ、大丈夫かどうかは私が決める……」

ラウラにしては弱気ですね。

「ラウラ、せっかくの海なんですから楽しまないと。 出てこないのなら、ラウラは一人ですよ?」

「う、うう、ううぅ……」

ラウラは呻きながら全身に巻かれていたタオルを外した。
出てきたのは黒でレースをふんだんにあしらった水着を着たラウラでした。
一見セクシー・ランジェリーにも見える水着でした。
そして、ラウラはいつも伸ばしたままの髪は左右対のアップテールになっていました。
きっとシャルロットがやったんでしょう。

「か、可愛い〜♪」

私はラウラに抱きつく。
可愛すぎです〜。

「可愛いよね、一夏っ」

「おう。 俺は似合ってると思うぜ」

「なっ……!」

私に抱かれたままラウラは顔を赤くした。

「しゃ、社交辞令ならいりません……」

「お世辞じゃないよ。 ね、一夏、シャルロット」

「ああ。 俺も可愛いと思うぜ」

「うん。 僕も可愛いって褒めてるのに全然信じてくれないんだよ。 あ、ちなみにラウラの髪は僕がセットしたの。 せっかくだからおしゃれしなきゃねって」

「ナイスです、シャルロット」

おかげでこんなに可愛いラウラが見れました。

「おっりむらくーん! アインツベルンさーん!」

「さっきの約束! ビーチバレーしようよ!」

「わー、おりむーと対戦〜。 ばきゅんばきゅーん」

最後の声、一夏曰くのほほんさんこと布仏本音の声は相変わらず気が抜けます。
のほほんとしているからでしょうか?

「メンバーはどうする?」

「織斑君とアインツベルンさんにボーデヴィッヒさんの三人でいいんじゃないかな?」

「で、こっちは私たちとデュノアさんの四人!」

「んー、まあのほほんさがいるからそれでいいか」

「おりむー、それは酷いんじゃないかなー?」

私も否定できないんですよね。
それに、こっちは代表候補生で軍人であるラウラに、唯一の男性である一夏がいますから、いいハンデだと思います。

「お遊びルールでいいよね。 タッチは三回まで、スパイク連発禁止、キリのいい十点先取で一セットねー」

「おう。 じゃ、そっちのサーブで」

人数差があるとはいえ、個人スペックではこちらの方が有利ですからね。

「ふっふっふっ。 七月のサマーデビルと言われたこの私の実力を……見よ!」

あ、いいジャンピングサーブですね。

「お任せを!」

ラウラがそのサーブを綺麗に上げます。

「一夏! 打ってください!」

私がそのボールをトスして一夏に上げる。

「ナイストス!」

一夏がジャンプして力強いスパイクを打った。

「うわっ!」

それをレシーブした娘はボールを弾き、コートの外へと流れた。

「まだだよ!」

それをシャルロットが拾い、コート内へと戻した。
流石ですね。
そのボールは一旦返されたが、これは絶好のチャンス。
一夏の上げたトスが宙に舞う。

「行け、ウリア!」

「はい!」

思いっきり踏み込んで高くジャンプする。
高い打点からのスパイクが、綺麗に相手コートを貫いた。

「流石です、お姉様」

「一夏のトスが良かったからですよ」

「やるな〜! でも、まだまだぁ!」

白熱のビーチボールは千冬義姉さんの登場と共に終了し、そのままお昼になりました。


Side〜ウリア〜out



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