小説『IS インフィニット・ストラトス 〜銀の姫と白き騎士〜』
作者:黒翼()

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第四話『勉強』



Side〜ウリア〜

晴れて一夏と恋人同士になれた次の日。
朝の食堂で一緒に朝食を取っています。

「ねえねえ、彼が噂の男子だって〜」
「なんでも千冬お姉様の弟らしいわよ」
「えー、姉弟揃ってIS操縦者かぁ。 やっぱり彼も強いのかな?」

やっぱりここでは男である一夏は目立ちますね。
こそこそと話の話題にされてます。

「一夏、隣いいか?」

「ウリア、別にいいよな?」

一夏が私を気遣ってくれるのは嬉しいですね。
篠ノ之さんはムッとしてましたけど。

「構いませんよ」

「……では、失礼する」

ムッとしたまま篠ノ之さんは席に着く。

「……一夏、この女は誰だ? やけに親しそうだが……」

あ、もしかしてこの子、一夏に惚れているんでしょうか?

「ウリアのことか? 前に言ったのを覚えてないか? 幼稚園のときに別れた初恋の人だって」

一夏、私のことを言ってたりしてたんですね。
嬉しいですね。

「ウリアスフィール・フォン・アインツベルンです。 よろしくおねがいしますね、篠ノ之箒さん」

「なぜ名前を?」

「一夏に覚えてもらいました」

「そうか。 篠ノ之箒だ。 こちらこそよろしく」

手を出されたので握手をします。

「一夏、食べ終わったら昨日の続きをしますよ」

「おう。 わかった」

今は一夏の勉強が重要ですからね。

「ウリアスフィールよ」

「なんですか?」

「昨日の続きとはどういうことだ?」

「ISの勉強についてです。 一夏、ISに関しては無知ですから、教えておかないといけませんからね」

「そういうことか」

しゃべりながらも手は止めてません。
一夏の勉強には少しでも時間が欲しいですからね。

「ウリア、俺は終わったぞ」

「あ、少し待ってください。 すぐに食べますから」

一夏のほうが早く食べ終わってしまいました。
私のほうが量は少ないのに。
しゃべりすぎましたね。

「ごちそうさまでした。 では、行きますか、一夏」

「ああ。 じゃ、またな、箒」

「あ、ああ」

私と一夏は並んで教室に向かい、そのまま時間になるまで勉強をしました。


Side〜ウリア〜out


Side〜一夏〜

ウリアがわかりやすく教えてくれたおかげで、大分授業についていけるようになった。
たった一日でここまで覚えれるとは、ウリアにちゃんとお礼しないとな。

「織斑、お前のISだが準備までに時間がかかる」

「へ?」

「予備機がない。 だから、少し待て。 学園で専用機を用意するそうだ」

「マジですか?」

「事実だ」

ウリアの勉強のおかげで、専用機の重要性を覚えたため、俺は驚いた。
要点を纏めると……

・ISのコアは全部で467しかなく、それら全ては束さんが作ったものであり、しかもブラックボックス化されてあるため、そのため束さんしか作れない。
・国とか組織では振り分けられたコアで研究とかを行っている。
・コアはアラスカ条約により取引が禁止されている。

ざっとこんな感じ。

「本来なら専用機は国家あるいは企業に属する人間しか与えられない。 が、お前の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになった」

「つまり、俺はモルモットってことか」

「悪く言えばな」

専用機か、どんな機体なんだろうか?
刀があると嬉しいんだけどな。
俺に合ってて助かる。

「あの、先生。 篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか……?」

女子の一人がこの空気の中でおずおずと千冬姉に質問した。
……まあ、篠ノ之なんて名字、そうそういないし、いつかはバレるよな。

「そうだ。 篠ノ之はアイツの妹だ」

おい千冬姉。
教師が生徒の個人情報を勝手にばらしてどうするんだ。

「ええええーっ! す、すごい! このクラス有名人の身内が二人もいる!」
「ねえねえっ、篠ノ之博士ってどんな人!? やっぱり天才なの!?」
「篠ノ之さんも天才だったりする!? 今度ISの操縦教えてよっ」

授業中だというに箒の元に女子が群がる。
傍から見れば面白い光景だな。

「あの人は関係ない!」

突然の大声。

「……大声を出してすまない。 だが、私はあの人じゃない。 教えられるようなことは何も無い」

あれ?
箒って束さんのこと嫌いだっけ?
まあ確かに、身内が凄いからと言って、自分も凄いわけじゃないしな。
俺がいい例だ。

「さて、授業を始めるぞ。 山田先生、号令」

「は、はいっ!」

ま、今は箒と束さんの関係はどうでもいいや。
今はISだ、IS。


Side〜一夏〜out


Side〜ウリア〜

「安心しましたわ。 まさか訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど」

お昼休み、また来ましたよ、イギリス代表候補生。

「一夏とやるには私を倒さないといけないの、覚えてないの? あなたじゃあ私には勝てない」

代表候補生が相手なら、絶対に負けない。
サーヴァントを使えば何人でも大丈夫。
量産機だとしても、十人くらいなら同時に戦っても勝てる自信がある。
現に、国家代表三人とまったく同じ機体・武装で戦って勝ちましたからね。
あれは危なかったですけど。

「さて、一夏行きましょう。 勉強の時間が減ってしまいます」

「おう、そうだな」

「お待ちなさい!」

「なんですか? 一夏との時間を邪魔しないでください」

「さて、ウリア行こうぜ。 勉強の時間が惜しいんだ」

「あ、はい」

もう一夏もあの子のことを無視するようです。
捕まっているだけ時間の無駄ですしね。
それに、食堂も混んでしまいます。
急ぎましょう。




はい到着。
やっぱり混んでますね。
でも、あのまま捕まっていればもっと混んでいたでしょう。

「私は席を取っておくので、料理のほうはお任せします」

「わかった。 何でもいいか?」

「はい。 一夏と同じもので構いません」

席がなくなる前に確保しておかないと。
あ、ありました。
しばらくすると、一夏が来ました。

「はい。 鯖の塩焼き定食だって」

「ありがとうございます、一夏」

「おう。 これくらいお安い御用だ」

一夏も席に着き、料理を食べ始めます。

「ねえ。 君って噂の子でしょ?」

料理を食べていると、三年生の女子生徒(リボンの色で判断しました)が話しかけてきました。

「はあ、たぶん」

「代表候補生の子か企業代表の子と勝負するって聞いたんだけど、ほんと?」

「はい、そうですけど」

あ、一夏の隣の席にかけた。
む、この人、私の一夏に色仕掛けでもする気ですか?

「でも君、素人だよね? IS稼働時間いくつくらい?」

「いくつって……二十分くらいだと思いますけど」

「それじゃあ無理よ。 ISって稼働時間がものをいうの。 相手って代表候補生か企業代表なんでしょ? だったら軽く三百時間はやってるわよ」

私は軽く五百時間はやってますね。
しかも、密度も濃いです。

「でさ、私が教えてあげよっか? ISについて」

「結構です。 俺にはウリアがいますから」

「そうです。 一夏には私が教えますから」

「でもあなたも一年生でしょ? 私のほうが上手く教えられると思うなぁ」

一年だからって、甘く見ないでください。
貴女よりも強いですし、知識もありますし、何と言っても一夏は私の恋人です。
渡しません!

「大丈夫です。 私はこう見えても企業代表ですので、知識も技量も問題ありません」

「え? あなた、自分と戦うかもしれない相手に教えているって言うの?」

「それがなにか? そんな些細なこと、問題ありません」

同じクラスなのに、助け合わないでどうするんですか。
そもそも、自分の恋人の手助けをしないわけが無いじゃないですか。

「ですので、結構です」

「そ、そう……」

打ちひしがれて去って行く三年生。
一夏は絶対に渡しませんよ。


Side〜ウリア〜out



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