小説『IS インフィニット・ストラトス 〜銀の姫と白き騎士〜』
作者:黒翼()

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第五十五話『葉王の力の片鱗』



Side〜ウリア〜

「はぁっ!」

私は持っていた剣をラウラに付きたて、決着です。
もう鈴と箒は倒したので、ラウラも倒して私たちの戦闘は終了です。

「流石です、お姉様。 私たち三人を相手にしても傷一つつけられないとは」

「ラウラたちも強くなっているのは感じています。 自信を持ってください」

『さあ! ただいまからフリーエントリー組の参加です! みなさん、王子様の王冠目指してがんばってください!』

楯無のアナウンスと共に、シンデレラの群が舞台に解き放たれました。

「織斑君、おとなしくしなさい!」

「私と幸せになりましょう、王子様!」

「そいつを……よこせぇぇぇ!」

王冠を手に入れた者は一夏と一週間同室になれ、そして一度だけデートをすることが出来るという特典があり、一夏がまだ諦めれない諦めの悪すぎる人たちがいるんです。
それがこんなにいるとは思いませんでした。
少なからず二、三十人はいますよ。
というか、この中に絶対面白がってやってる人がいるでしょ。

「さて、私も本格的に潰しに掛かりますか」

一夏を守るのが私の役目です。
手加減はしますが、容赦はしません!

「王子!」

「姫!」

ノリノリで女子たちの無力化をしだします。
とりあえず、未だに逃げ延びているセシリアが多少厄介なので先に倒しましょう。
ちなみに、シャルロットは一夏にもうやられています。
私は左手に剣を持ち、右手に鈴が使っていた飛刀を持ってセシリアに当たらないように投擲します。

「ウリアさん!? くっ、ついに来てしまいましたか……!」

セシリアは私を狙いますが、剣で弾き、避けてセシリアに接近します。

「終わりです」

剣を振るってスナイパーライフルをばらばらにすると、関節技をかけます。

「ぎぎぎぎ、ギブアップですわ、ウリアさん! い、いたたたたっ!」

セシリアがギブアップすると同時に関節技を止めます。
これで厄介な相手は全員倒しましたね。
後は残りのシンデレラを無力化するか、時間いっぱいまで逃げ切るかのどちらかで私たちの勝利ですね。


Side〜ウリア〜out


Side〜葉王〜

やあ、僕視点は意外だったかな?
まあいいや。
ちなみに、僕は次期マスターの夫を狙う者がいるということで、それを潰しに来たんだ。
殺す方が楽なんだけど、現マスターや次期マスターもあまりこういう場面では望まないから仕方が無い。
面倒だけど、潰すだけにしておくよ。

「くそっ、どうやれば誘き出せる……!」

ああ、いたいた。
舞台裏に長い黒髪の女がぶつぶつと言いながら一夏の動きを見ている。
完璧にあいつだよね。
それ以外ありえないし。
とりあえず、僕はここじゃあ戦えないな。
移動させないとね。

「やあ、初めまして、と言っておこうかな」

「!?」

僕が声をかけると、驚いてこっちを向いた女。
こんな奴が亡国機業の幹部ねぇ……。
殺気も存在感も何もかもが、ちっちぇえなぁ。

「亡国機業を排除にしに来たんだけど、生憎ここじゃあ戦えないね。 まったく、マスターも面倒な役目を押し付けてくれた物だよ」

「テメェ! 何者だ!」

「うるさいなぁ。 ここで暴れたら君の存在がばれるよ。 つまり、ここにいてはどちらも攻撃できない。 だけど、ここに長時間いれば君が見つかる。 僕もここにいるしね、マスターには感知されるだろうね」

「くそっ!」

簡単に掛かってくれたね。
この女、頭の方も残念みたいだ。
女は走り去っていく。
僕はそれを追っていき、更衣室と思しき場所についた。
まあ、やれればそれで構わないかな。

「見られた以上、テメェを生かしておくわけにはいかねぇ!」

その女は背中から八つの足の生えたISを纏う。
まさか、この僕を殺すつもりかい?
そんなちっちぇえもので?
笑わせるな。

「燃やせ、ベビー・オブ・ファイア」

小さなスピリット・オブ・ファイアことベビー・オブ・ファイアを出して女を燃やす。
スピリット・オブ・ファイアは大きすぎるし、魔力消費も多いし、そもそもこの程度の敵はベビーで十分だ。
そもそも、この程度の存在に、この僕が直々に手を下してあげることが破格のことなんだから。

「何だと!? ISがそんなものに……まさかお前!」

ベビーの炎がISの装甲を溶かしていく。

「ようやく気づいたんだ。 そっちにも似たような存在がいるから気づいていると思ったんだけどな。 まあいいや」

それにもう厭きた。
終わらせよう。

「やれ、ベビー・オブ・ファイア!」

炎の火力が上昇し、装甲を一気に燃やしていく。
殺さない程度で炎を消し、ISのコアだけが残って女は倒れた。
ああ、ホントつまらない。
ホント、

「ちっちぇえなぁ」


Side〜葉王〜out


Side〜一夏〜

さっきからでかい存在が魔力を使っているのを感じていた。
当然ウリアも感じていたが、落ち着いていたので問題は無いのだろう。
にしても、あの魔力の大きさは、あの葉王って奴だな。
ウリア曰く、最強の英霊らしい。

「これで最後だ」

俺は最後の一人を無力化して劇を終わらせる。

『王子と最強のシンデレラは見事灰被り姫の軍勢を返り討ちにし、機密情報は守られました。 そして、二人の絆もより強固な物となりました』

『そして、その二人が治める国は平和な国となりました。 めでたしめでたし』

楯無さんのアナウンスで劇が終わった。
観客たちは盛大な拍手をしてくれた。
俺たちは舞台から降り、ウリアと一緒に葉王がいたと思しき場所……といってもなぜか更衣室だったんだけど、そこへ向かう。

「焦げくさっ!」

更衣室の扉の前は焦げ臭かった。
しかも、金属みたいな臭いもしている。

「入りますよ」

ウリアはそれが何なのか知っているのか、気にした様子もなく更衣室に入っていった。
俺も後に続いてはいるとそこには、更衣室の壁が、床が、ロッカーが熔け、壁に大穴が出来ていた。
金属やコンクリートが熔けるほどの熱を出したってのか!?

「葉王はちゃんと手加減をしていたようですね」

「これで手加減していただと!?」

これだけの破壊の痕跡があって、これで手加減だと!?
全力を出したら一体どうなるんだ!?

「にしても葉王らしいですね。 要を済ませたらそのまま放置ですか。 おかげで逃げられてしまいました」

「逃げられたのか?」

「ここには敵がいたんですよ。 それを葉王に任せたんですけど、葉王がその人を放置していたから、別の人が救出したのでしょう」

ウリアは逃げられたと言うのに落ち着いている。

「どうしてそんなに落ち着いていられるんだ? 敵に逃げられたんだぜ?」

「確かに逃げられましたけど、その敵を相手にしたのが葉王なんですよ。 葉王が相手にした以上、その相手が使っていたISはしばらくは使い物にならなくなる。 それに、少なからず恐怖が刻み込まれているはずです」

確かに、こんな火力の攻撃を受ければトラウマになってもおかしくはないな。

「まあぶっちゃけると、葉王の力を直接受けた相手がまともに動けるわけが無いんですよね。 どうせ葉王なら、相手のプライドも破壊してますからね」

……絶対戦いたく無いな、うん。
一度戦って見たいと思っていた俺をぶん殴りたい気分だ。

「一夏、戻りましょう。 もうここにいても意味はありませんから」

「まあ、着替えてからな」

俺たちはまだ王子様服とドレス姿であった。
俺の服とかはとりあえずというか奇跡的に無事だった。
よくあの被害を出した炎の中で無事だったよな。
強化とか固定化とか、何にもして無いのに。
まあ、服とかは無事だったからとにかく着替えよう。


Side〜一夏〜out


Side〜ウリア〜

やっぱり葉王の力は強いですね。
ベビー・オブ・ファイアでもこれだけの火力を出せるんですから。
スピリット・オブ・ファイア、グレート・スピリッツの火力はこれを軽く凌駕するというか、次元が違う火力を見せますからね。

「はい、御爺様。 逃げられましたが、問題は無いでしょう」

『うむ。 そうであろうな。 葉王を出したのだ。 当然であろう』

私は今、御爺様に連絡をしています。

「ところで御爺様。 知っていればでよろしいんですが、その女を救出したのは誰だったのですか?」

『バイザーで顔が隠されていた所為でわからぬが、奴が乗っていたのはイギリスの『サイレント・ゼフィルス』じゃったぞ』

「サイレント・ゼフィルスですか……」

セシリアが見たら、絶対に戦うでしょうね……。

「御爺様、ありがとうございました」

『何、このくらい構わぬ。 何せ、可愛い孫娘だからのぅ。 もっと儂らを頼ってくれても構わぬのじゃぞ?』

「その時はお願いします。 私だって、無闇に困らせたいわけではありませんので」

『まったく、本当に良く出来た娘じゃのう』

「では御爺様、私はこれで失礼します」

『うむ。 何かあったら儂たちに連絡をするようにな』

「はい。 では、おやすみなさい、御爺様」

『ではな』

通話が切れ、私は眠りに付きました。


Side〜ウリア〜out



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